欅でつくった一間の門

藤岡家住宅薬医門は、奈良県五條市近内町にある明治時代後期の門で、平成18年(2006年)に国の登録有形文化財に登録された。敷地の東辺の南寄りにあり、北側で内蔵に接している。

柱間が1つの一間薬医門で、屋根は本瓦葺、材はすべて欅とする総欅造である。間口は文化庁の解説文では1.8メートルとされ、同じデータベースの構造欄には間口2.4メートルとある。

薬医門は、門の正面に立つ親柱と、その後ろの控柱の上に屋根を載せる形式の門である。屋根の棟が親柱より後ろに寄るのが特徴で、武家屋敷や寺院のほか、格式のある民家の表門にも用いられた。

凝った組み方

藤岡家住宅薬医門は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説は、控柱の頭貫を親柱の冠木に架けて正面へ肘木状に延ばし、斗と肘木で桁を受けるなど、凝った造作を見せると評している。

頭貫は柱の頭をつなぐ横材、冠木は親柱の上に渡した太い横材である。藤岡家の門では、控柱の頭貫を冠木の上に架け渡すだけでなく、そのまま正面へ突き出し、腕のように桁を受ける部材に仕立てている。構造材に装飾の役目を兼ねさせた工夫である。

欅は堅く、木目の美しい高価な材である。これを門の全体に使うことは、明治後期の藤岡家の財力を街路に向けて示すものでもあった。解説は、この門が大規模屋敷の風格ある景観を形成していると結んでいる。

頭貫の突き出しを見る

門の正面に立ったら、冠木の上に目を上げたい。冠木の上から前方へ突き出た部材が、頭貫を延ばしたものである。その先に斗と肘木が載り、屋根の桁を受けている。組み方の筋道が見えると、単なる飾りではないことが分かる。

欅の木肌は年月を経て色が深まり、柱や冠木に木目が浮かんでいる。北隣の内蔵の白い妻壁と並べて見ると、木と漆喰の対比が東の通りの景色をつくっている。

藤岡家住宅薬医門の見学

藤岡家住宅薬医門は東の街路に面しており、外観は通りから自由に見られる。組物は門の正面の真下からより、少し離れて斜めから見るほうが立体的に読み取りやすい。

Q&A

Q藤岡家住宅薬医門はいつ建てられましたか?
A明治時代後期の建築です。平成18年(2006年)に国の登録有形文化財に登録されました。
Q藤岡家住宅薬医門の見どころはどこですか?
A控柱の頭貫を親柱の冠木に架けて正面へ肘木状に延ばし、斗と肘木で桁を受ける凝った組み方です。材はすべて欅で、屋根は本瓦葺です。
Q藤岡家住宅薬医門の間口はどれくらいですか?
A文化庁の解説文では1.8メートルの一間薬医門とされ、同じデータベースの構造欄には間口2.4メートルとあります。資料によって値が異なります。
Q藤岡家住宅薬医門はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録されました。大規模屋敷の風格ある景観を形成していると文化庁が評価しています。
Q藤岡家住宅薬医門はどこから見られますか?
A東の街路に面しているので、外観は通りから自由に見られます。組み方は少し離れて斜めから見ると読み取りやすくなります。

基本データ

名称藤岡家住宅薬医門(ふじおかけじゅうたくやくいもん)
所在地奈良県五條市近内町526
指定区分国登録有形文化財(建造物) 登録番号29-0104 登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
指定年平成18年(2006年)3月2日登録
員数1棟
寸法木造、一間薬医門、総欅造、本瓦葺、間口2.4メートル(解説文では1.8メートル)
所有者個人(藤岡家)。管理・運営はNPO法人うちのの館
公開状況外観は道路から見学可

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) — 藤岡家住宅薬医門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005345
五條市 — 五條市の登録有形文化財
https://www.city.gojo.lg.jp/soshiki/kankoshinko/5_1/5/2110.html
奈良県観光公式サイト あをによし なら旅ネット — 藤岡家住宅
https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/03history/02old_house/04south_area/fujiokake/

最終更新日: 2026.09.26