隠居と呼ばれた離れ

藤岡家住宅離座敷は、奈良県五條市近内町にある江戸時代末期の座敷棟で、平成18年(2006年)に国の登録有形文化財に登録された。家では「隠居」と呼ばれてきた建物で、当主の座を退いた人が暮らす離れにあたる。

主屋の西にあり、渡廊下で主屋とつながる。南には新座敷が取り付く。木造平屋建で、片側だけを入母屋とする片入母屋造とし、屋根は桟瓦葺。東と北には角屋を突き出している。建築面積は73平方メートル。

内部は北から、床と棚を備えた6畳、6畳、納戸の3室が並ぶ。東と西の両側に縁を設けている。

簡素さのなかの丁寧さ

藤岡家住宅離座敷は「造形の規範となっているもの」として登録された。文化庁の解説は、隠居と称する簡素な建物であるが細部のつくりは丁寧であると評している。

隠居は、客をもてなす座敷とは役割が違う。家督を譲った先代が日々を過ごす場であり、広さも飾りも控えめでよい。6畳2間と納戸という構成は、その暮らしに見合った規模である。それでも奥の6畳には床と棚を構え、隠居の身となっても書画を掛け、花を活ける場所は手放さなかった。

両側に縁を持つ点にも目を留めたい。東西どちらの縁からも庭が見え、光と風が室内を通り抜ける。大きくはないが、居心地を細かく考えた建物である。

屋敷の奥の静けさ

藤岡家住宅離座敷は、主屋から渡廊下を伝ってたどり着く屋敷の奥にある。街路の気配が届きにくく、主屋の店の間とは空気が変わるのが分かる。

床と棚のある北端の6畳に座って縁の外を見ると、隠居の住まいとして選ばれた位置の意味が伝わってくる。角屋の突き出し方は、外から見ると屋根の形に表れているので、庭に出たら建物の東側と北側も確かめておきたい。

藤岡家住宅離座敷の見学

藤岡家住宅離座敷は、藤岡家住宅の開館日に入館すれば見学できる。主屋から渡廊下を通って進む順路になり、途中に段差がある。部屋は催しに使われていることもあるため、確実に見たい場合は事前に問い合わせるとよい。

Q&A

Q藤岡家住宅離座敷はどんな建物ですか?
A江戸時代末期に建てられた隠居用の離れです。床と棚を備えた6畳、6畳、納戸の3室からなり、東西両側に縁があります。平成18年(2006年)に国の登録有形文化財に登録されました。
Q藤岡家住宅離座敷は屋敷のどこにありますか?
A主屋の西にあり、渡廊下で主屋とつながっています。南側には新座敷が取り付いています。
Q藤岡家住宅離座敷は見学できますか?
A藤岡家住宅の開館日に入館すれば、主屋から渡廊下を通って見学できます。催しで使われている場合もあるため、事前の問い合わせが確実です。
Q藤岡家住宅離座敷はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A「造形の規範となっているもの」として登録されました。隠居と称する簡素な建物ながら、細部のつくりが丁寧であると評価されています。
Q藤岡家住宅離座敷の中は撮影できますか?
A商用以外の目的であれば撮影が許可されています。所蔵品は藤岡家の所有物のため、販売を目的とした撮影はできません。催しの最中は来場者が写り込まないよう配慮が求められます。

基本データ

名称藤岡家住宅離座敷(ふじおかけじゅうたくはなれざしき)
所在地奈良県五條市近内町526
指定区分国登録有形文化財(建造物) 登録番号29-0100 登録基準:造形の規範となっているもの
指定年平成18年(2006年)3月2日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、片入母屋造、桟瓦葺、建築面積73平方メートル
所有者個人(藤岡家)。管理・運営はNPO法人うちのの館
公開状況藤岡家住宅の開館日に入館して見学可(有料・月曜休館)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) — 藤岡家住宅離座敷
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005341
五條市 — 五條市の登録有形文化財
https://www.city.gojo.lg.jp/soshiki/kankoshinko/5_1/5/2110.html
奈良県観光公式サイト あをによし なら旅ネット — 藤岡家住宅
https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/03history/02old_house/04south_area/fujiokake/

最終更新日: 2026.09.26