屋敷を囲む78メートルの土塀
藤岡家住宅築地塀は、奈良県五條市近内町にある江戸時代末期の土塀で、平成18年(2006年)に国の登録有形文化財に登録された。藤岡家住宅の東辺から南辺を経て西まで折れ曲がりながら続き、総延長は約78メートルに及ぶ。
塀は敷地の東辺にある薬医門から南へ下がり、南辺を通って、西面の新座敷まで至る。土を築き固めた塀に瓦屋根を載せた築地塀で、外周の大部分をこの一続きの塀が占めている。
仕上げは面によって異なる。東面は浅葱色のモルタル塗とし、それ以外の面は内側を漆喰仕上げ、外側を中塗り仕上げとする。南面のほぼ中央には潜戸が設けられている。
大規模屋敷の構えをつくる
藤岡家住宅築地塀は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説は、大規模屋敷にふさわしい重厚な景観を形成していると評している。
築地塀は、もともと寺院や公家の屋敷を囲む格式の高い塀であった。村の庄屋屋敷がこれで外周を囲むことは、家の格を通りに向けて示す意味を持った。塀そのものの造りに加え、78メートルという長さが、屋敷の大きさを外から一目で伝えている。
東面だけがモルタル塗であるのは、街路に面して傷みやすい面を、のちの時代に補修した結果とみられる。モルタルは近代の材料であり、江戸末期の塀に後世の手が加わってきたことを示している。浅葱色という淡い青緑の色は、藤岡家住宅の東の通りの印象を決める要素にもなっている。
色の違いと潜戸を見る
東の街路に立つと、薬医門の南から続く浅葱色の塀が目に入る。そのまま塀に沿って南の角まで歩き、南辺へ視線を移すと、仕上げが中塗りの土色に変わる。面によって違う仕上げを見比べることで、この塀が一度に仕上げられたままではなく、手入れを重ねて保たれてきたことが実感できる。
南面の中ほどにある潜戸は、塀に開けられた小さな出入口である。身をかがめて通るほどの口で、築地塀の厚みを間近に確かめられる場所でもある。
藤岡家住宅築地塀の見学
藤岡家住宅築地塀の外側は、東の街路から自由に見られる。内側の漆喰仕上げは、藤岡家住宅に入館して庭から見ることになる。塀に触れたり寄りかかったりすると土壁を傷めるので控えたい。
Q&A
- 藤岡家住宅築地塀はどれくらいの長さですか?
- 薬医門から南辺を経て新座敷まで、折れ曲がりながら総延長約78メートル続いています。江戸時代末期に築かれ、平成18年(2006年)に国の登録有形文化財に登録されました。
- 藤岡家住宅築地塀の東面だけ色が違うのはなぜですか?
- 東面は浅葱色のモルタル塗で、ほかの面は内側が漆喰、外側が中塗りの仕上げです。モルタルは近代の材料なので、街路に面した東面が後の時代に補修されたものとみられます。
- 藤岡家住宅築地塀はどこから見られますか?
- 外側は東の街路から自由に見られます。内側は藤岡家住宅に入館すると庭から見られます。
- 藤岡家住宅築地塀はなぜ登録有形文化財になったのですか?
- 「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録されました。大規模屋敷にふさわしい重厚な景観を形成していると文化庁が評価しています。
- 藤岡家住宅築地塀の潜戸はどこにありますか?
- 敷地の南面のほぼ中央にあります。身をかがめて通るほどの小さな出入口です。
基本データ
| 名称 | 藤岡家住宅築地塀(ふじおかけじゅうたくついじべい) |
|---|---|
| 所在地 | 奈良県五條市近内町526 |
| 指定区分 | 国登録有形文化財(建造物) 登録番号29-0105 登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの |
| 指定年 | 平成18年(2006年)3月2日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 土塀、瓦葺、延長78メートル(折曲り) |
| 所有者 | 個人(藤岡家)。管理・運営はNPO法人うちのの館 |
| 公開状況 | 外側は道路から見学可。内側は藤岡家住宅の開館日に入館して見学 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁) — 藤岡家住宅築地塀
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005346
- 五條市 — 五條市の登録有形文化財
- https://www.city.gojo.lg.jp/soshiki/kankoshinko/5_1/5/2110.html
- 奈良県観光公式サイト あをによし なら旅ネット — 藤岡家住宅
- https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/03history/02old_house/04south_area/fujiokake/
最終更新日: 2026.09.26