客を迎えるための別棟

藤岡家住宅別座敷は、奈良県五條市近内町にある嘉永6年(1853年)建築の接客用の座敷棟で、平成18年(2006年)に国の登録有形文化財に登録された。藤岡家住宅の敷地の北西隅に建ち、屋敷のなかで最も格式の高い建物である。

木造平屋建、南北に棟を通した入母屋造で、周囲に下屋を廻らす。東に入母屋造の式台玄関を設け、西には茶室などを角屋として突き出している。屋根はすべて桟瓦葺。建築面積は99平方メートル。

内部は床と棚を構えた上質の8畳2室が中心で、玄関の奥に6畳を設ける。

格式の高い接客施設

藤岡家住宅別座敷は「造形の規範となっているもの」として登録された。文化庁の解説は、全体として格式の高い接客用施設であると評している。

庄屋の家には、役人や身分の高い客を迎える機会があった。そのための座敷を家族の暮らす主屋から切り離し、専用の式台玄関を備えた別棟として構えたのがこの建物である。天保3年(1832年)の主屋から約20年後、屋敷がもっとも充実した時期に加えられた。

管理者の案内では、館内に江戸時代末期に建てられた「貴賓の間」と茶室があり、貴賓の間は控えの間より敷居が一段高く造られて、高貴な客を招いたことがうかがえるという。南北に並ぶ8畳2室と西に突き出す茶室という別座敷の構成から、この「貴賓の間」と茶室が別座敷にあたるとみられる。

敷居の段差と茶室を見る

藤岡家住宅別座敷で注目したいのは、2つの8畳の境にある敷居である。奥の部屋が一段高くなっていれば、それが上座の印になる。座ってみると、わずかな高低差が客と主人の位置関係をはっきりと分けることが分かる。

建具にも目を向けたい。菱形の桟と直線の桟を組み合わせた障子や、欄間の意匠が、座敷に落ち着いた華やぎを添えている。調度品のなかには、菊の紋と葵の紋がともに入った火鉢があり、来館者の目を引く。

西の奥には、にじり口から入る本格的な茶室が設けられ、その先に厠がある。接客から茶の湯までを1棟で完結させる造りで、藤岡家が客をもてなすことに心を砕いていたことが伝わる。

藤岡家住宅別座敷の見学

藤岡家住宅別座敷は、藤岡家住宅の開館日に入館すれば見学できる。座敷と茶室は、句会や茶会、食事会の会場として申し込みにより借りることもできるため、催しの日には見学が限られる場合がある。

Q&A

Q藤岡家住宅別座敷はいつ建てられましたか?
A嘉永6年(1853年)の建築です。平成18年(2006年)に国の登録有形文化財に登録されました。
Q藤岡家住宅別座敷はどんな目的の建物ですか?
A客を迎えるための格式の高い座敷棟です。専用の式台玄関を持ち、床と棚を構えた8畳2室と、にじり口のある茶室を備えています。
Q藤岡家住宅の「貴賓の間」はどこにありますか?
A管理者が「貴賓の間」「茶室」として案内している部屋は、構成から別座敷にあたるとみられます。控えの間より敷居が一段高く造られています。
Q藤岡家住宅別座敷は見学できますか?
A藤岡家住宅の開館日に入館すれば見学できます。茶会や句会の会場に使われる日もあるため、事前に問い合わせると確実です。
Q藤岡家住宅別座敷はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A「造形の規範となっているもの」として登録されました。床と棚を構えた上質の8畳2室を持つ、全体として格式の高い接客用施設と評価されています。

基本データ

名称藤岡家住宅別座敷(ふじおかけじゅうたくべつざしき)
所在地奈良県五條市近内町526
指定区分国登録有形文化財(建造物) 登録番号29-0099 登録基準:造形の規範となっているもの
指定年平成18年(2006年)3月2日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、入母屋造、桟瓦葺、建築面積99平方メートル
所有者個人(藤岡家)。管理・運営はNPO法人うちのの館
公開状況藤岡家住宅の開館日に入館して見学可(有料・月曜休館)。催しの日は使用中の場合あり

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) — 藤岡家住宅別座敷
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005340
五條市 — 五條市の登録有形文化財
https://www.city.gojo.lg.jp/soshiki/kankoshinko/5_1/5/2110.html
奈良県観光公式サイト あをによし なら旅ネット — 藤岡家住宅
https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/03history/02old_house/04south_area/fujiokake/
ええ古都なら(南都銀行) — 登録有形文化財「藤岡家住宅」一般公開中
https://www.nantokanko.jp/osusume/5875.html

最終更新日: 2026.09.26