棟と棟をつなぐ2階建て

藤岡家住宅渡廊下は、奈良県五條市近内町にある明治29年(1896年)建築の廊下棟で、平成18年(2006年)に国の登録有形文化財に登録された。前方の主屋と、後方の離座敷・別座敷をつないでいる。

渡廊下といっても、ただの通路ではない。木造2階建で、屋根は西面を入母屋造、東面を切妻造とし、桟瓦葺とする。1階は納戸と階段室で、便所が付属する。2階は床の間付きの3畳間である。建築面積は23平方メートルと、10件のなかで最も小さい。

屋敷の構成に欠かせない建物

藤岡家住宅渡廊下は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説は、建築年代が明確であり、大規模屋敷の構成上欠かせない建築物として貴重であると評している。

藤岡家住宅は、道路を挟んだ米蔵を除いて、すべての建物が廊下でつながっている。主屋を起点に奥の座敷群へと人を導くこの渡廊下は、屋敷全体をひとつにまとめる要の位置にある。明治29年に加えられたことで、江戸時代に建った主屋・離座敷・別座敷が一筋の動線で結ばれた。

2階の3畳間は、管理者の案内で俳人・藤岡玉骨の書斎として紹介されている部屋にあたるとみられる。管理者によれば、書斎は明治29年の建造で、主屋と奥の座敷とをつなぐ「橋」のなかに部屋を設けたような空間だという。天井は低く、机の前に座るとちょうどよい高さになる。

書斎の窓から見えるもの

書斎の窓からは、中庭の長兵衛梅と金剛山が見える。3月、紅梅が咲く時期にこの小さな部屋に座ると、玉骨が季節の句を練った視線をたどることができる。

外から見るときは、屋根の両端の形に注意したい。西は入母屋、東は切妻と、左右で異なる屋根を持つ。周りの建物との取り合いに合わせて形を変えた結果で、渡廊下が既存の棟の間に後から差し込まれた建物であることを示している。

藤岡家住宅渡廊下の見学

藤岡家住宅渡廊下は、藤岡家住宅の開館日に入館すると、主屋から奥の座敷へ進む途中で通ることになる。2階の書斎へ上がれるかどうかは展示の状況によるので、館内で確かめたい。階段は急なので注意が要る。

Q&A

Q藤岡家住宅渡廊下はいつ建てられましたか?
A明治29年(1896年)の建築です。建築年代が明確な点も評価され、平成18年(2006年)に国の登録有形文化財に登録されました。
Q藤岡家住宅渡廊下にはどんな部屋がありますか?
A1階に納戸と階段室、便所があり、2階は床の間付きの3畳間です。この2階の部屋は、俳人・藤岡玉骨の書斎として案内されている部屋にあたるとみられます。
Q藤岡家住宅渡廊下はどうすれば見学できますか?
A藤岡家住宅の開館日に入館すると、主屋から奥の座敷へ向かう途中で通ります。2階に上がれるかどうかは館内で確認してください。
Q藤岡家住宅渡廊下の屋根はなぜ左右で形が違うのですか?
A西面は入母屋造、東面は切妻造です。既存の棟の間に後から差し込まれた建物のため、周りの建物との取り合いに合わせて形を変えています。
Q藤岡家住宅渡廊下の2階からは何が見えますか?
A管理者の案内では、書斎の窓から中庭の長兵衛梅と金剛山が見えるとされています。梅は例年3月上旬から下旬に咲きます。

基本データ

名称藤岡家住宅渡廊下(ふじおかけじゅうたくわたりろうか)
所在地奈良県五條市近内町526
指定区分国登録有形文化財(建造物) 登録番号29-0102 登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの
指定年平成18年(2006年)3月2日登録
員数1棟
寸法木造2階建、西面入母屋造・東面切妻造、桟瓦葺、建築面積23平方メートル
所有者個人(藤岡家)。管理・運営はNPO法人うちのの館
公開状況藤岡家住宅の開館日に入館して見学可(有料・月曜休館)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) — 藤岡家住宅渡廊下
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005343
五條市 — 五條市の登録有形文化財
https://www.city.gojo.lg.jp/soshiki/kankoshinko/5_1/5/2110.html
奈良県観光公式サイト あをによし なら旅ネット — 藤岡家住宅
https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/03history/02old_house/04south_area/fujiokake/

最終更新日: 2026.09.26