環翠楼大正の間とは

環翠楼大正の間は、新潟県阿賀野市村杉の村杉温泉にある旅館環翠楼の客室棟で、大正4年(1915年)に建てられた木造2階建の建物であり、平成28年(2016年)2月25日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「かんすいろうたいしょうのま」。登録番号は15-0424で、第83回の登録にあたる。

環翠楼大正の間は、名前に「間」とあるものの1部屋ではなく、客室をいくつも収めた1棟の建物を指す。建築面積は116平方メートル、屋根は瓦葺である。1階と2階に2室ずつ、計4室の客室が入り、宿の料金表では「鶴」「亀」「竹」「梅」の名で呼び分けている。各室は8畳の和室2間が続く間取りで、4室ともほぼ同じ造りだと宿は説明している。

環翠楼大正の間が登録された理由

環翠楼大正の間の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、杉林に囲まれた環翠楼の敷地にこの客室棟が建つことを最初に述べ、そのうえで建物の特徴を4点にまとめている。横に長い平面を持つこと、正面の中央を前へ張り出して玄関ポーチとしたこと、東側の広縁を通って各室に入る動線であること、そして軒天井などに洋風の意匠を取り入れつつ、室内は丁寧な造作の数寄屋風に仕上げていることである。

外まわりに洋風の手法をのぞかせ、座敷は和風で通す。この取り合わせを、温泉宿の客室棟という日々使われる建物で残していることが、環翠楼大正の間の価値といえる。

登録有形文化財は、外観を大きく変えなければ内部の改修が認められる制度である。環翠楼大正の間も、宿の案内によれば令和元年(2019年)に改装され、水回りと空調が新しくなった。築100年を超えた客室棟は、いまも宿の客室として使われている。

環翠楼大正の間の見どころ

まず見たいのは正面である。横長の2階建の中央だけが前へ突き出し、そこが玄関ポーチになっている。客室の並ぶ横長の棟に、この張り出しが正面の目印を与えている。ポーチの下に立ったら、軒の裏を見上げてほしい。文化庁の解説が洋風意匠の例に挙げる軒天井は、和風の瓦屋根の下にありながら、その仕上げで洋館の気配を伝える部分である。

室内では広縁が主役になる。各室へは東側の広縁を通って入る造りで、宿はこの広縁から緑がおよそ180度に広がると案内している。広縁に座ると、約6,000坪ある庭の木々が視界の大半を占める。

座敷の造作は、数寄屋風の繊細さが見どころとなる。文化庁の解説が「丁寧な造作」と評する内装は、柱や天井、建具の細部に目を向けると分かりやすい。1階と2階の部屋はほぼ同じ造りなので、泊まった部屋の上下や隣の部屋も同じ設えだと考えてよい。

環翠楼大正の間に泊まるには(見学の条件)

環翠楼大正の間は営業中の客室で、見学だけの受け入れは案内されていない。建物に入るには宿泊するのが基本である。1室の利用人数は1名から6名で、宿の料金表によると平日に2名1室で泊まる場合、1泊2食付で1人26,400円から(税込、入湯税150円別)となる(2026年10月5日確認)。土曜日や休前日、繁忙期は割増がある。

環翠楼大正の間には、ほかの客室と異なる条件がいくつかある。小学生未満の子どもは泊まれない。4室のうちどの部屋になるかは指定できず、足腰に不安のある客には1階を用意するという。木造のため防音工事をしても上下階の音が聞こえることがあり、音に敏感な人には勧めていない。室内に浴室はなくトイレ付で、入浴は大浴場か、予約の要らない貸切風呂を使う。

外観は庭から眺められるが、泊まっていない人が庭に入れるかは案内がない。撮影の決まりも公式サイトに載っていないので、ほかの宿泊客が写らないよう配慮し、気になる点は宿に確かめたい。宿への行き方は環翠楼のページにまとめてある。

Q&A

Q環翠楼大正の間は宿泊しなくても見学できますか?
A見学だけの受け入れは案内されていません。環翠楼大正の間は現役の客室棟なので、内部を見るには宿泊するのが基本です。料金や空き状況は環翠楼の公式サイトか電話(0250-66-2131)で確かめてください。
Q環翠楼大正の間はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか?
A大正4年(1915年)に建てられ、平成28年(2016年)2月25日に国の登録有形文化財に登録されました。登録番号は15-0424です。環翠楼の建物で登録されたのはこれが最初で、令和3年(2021年)に臨泉閣と中広間が続きました。
Q環翠楼大正の間にはどんな部屋がありますか?
A1階と2階に2室ずつ、計4室の客室があり、宿は「鶴」「亀」「竹」「梅」と呼んでいます。各室は8畳の和室が2間続き、東側の広縁が付きます。4室ともほぼ同じ造りで、部屋の指定はできません。
Q環翠楼大正の間には子ども連れで泊まれますか?
A小学生未満の子どもは環翠楼大正の間には泊まれません。環翠楼のほかの離れの客室は子ども連れでも利用できると宿は案内しています。
Q環翠楼大正の間のどこに洋風の意匠が見られますか?
A文化庁の解説は、軒天井などに洋風の意匠が見られると記しています。正面中央に張り出した玄関ポーチの下で軒裏を見上げると分かりやすい部分です。室内は数寄屋風の和室で、外まわりの洋風の手法と対照をなします。

基本情報

名称環翠楼大正の間(かんすいろうたいしょうのま)
所在地新潟県阿賀野市村杉字薬師平4520
指定区分登録有形文化財(建造物)、登録番号15-0424
指定年平成28年(2016年)2月25日登録(第83回)
員数1棟
寸法木造2階建、瓦葺、建築面積116平方メートル
所有者文化庁データベースに記載なし(旅館 環翠楼が客室として使用)
公開状況宿泊客のみ利用可。見学だけの受け入れは案内なし

参考文献

環翠楼大正の間(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010950
環翠楼大正の間(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/245201
お部屋(村杉温泉 環翠楼 公式サイト)
https://www.kansuirou.jp/guestroom/
料金のご案内(村杉温泉 環翠楼 公式サイト)
https://www.kansuirou.jp/price/
よくあるご質問(村杉温泉 環翠楼 公式サイト)
https://www.kansuirou.jp/faq/

最終更新日: 2026.10.05