諸橋家住宅主屋とは

諸橋家住宅主屋(もろはしけじゅうたくしゅおく)は、新潟県新潟市江南区茗荷谷にある大正10年(1921年)頃建築の木造平屋建の農家の主屋で、平成13年(2001年)11月20日に登録有形文化財となった。文化庁は、地元で屈指の大農家の住まいとしてこの建物を紹介している。

諸橋家住宅主屋の建築面積は277平方メートル。屋根は瓦葺で、勾配の緩い桟瓦葺である。同じ敷地の南には、明治38年(1905年)の諸橋家住宅土蔵が北を向いて建つ。

ニワを前に突き出した中門造

諸橋家住宅主屋の平面は中門造である。農家の母屋の正面から一部を前方へ突き出し、その突出部に出入口や作業の場を収める形式で、雪国の農家に多いとされる。この主屋では、土間にあたる「ニワ」の部分が前へ張り出している。

突出部があるため、正面に立つと建物は平たい一枚の壁ではなく、手前に出た棟と奥に控える棟の2段に見える。

屋根の勾配が緩いことにも目を向けたい。文化庁の解説は、勾配の緩い桟瓦葺の屋根が外観を質素に見せていると記す。大きな農家の主屋でありながら、外から見ると構えは控えめである。

登録の理由 良材を使った座敷と古材の梁

諸橋家住宅主屋の登録基準は「造形の規範となっているもの」である。評価されたのは、質素な外観とは対照的な内部のつくりだった。

主屋の表側には座敷が一列に並ぶ。文化庁によると、その座敷の柱、長押、差鴨居には良材が用いられている。差鴨居は柱と柱の間に渡す背の高い鴨居で、建具を受けながら構造も支える部材であり、ここに質のよい木を選んでいる点に、客を迎える表の部屋への力の入れ方が表れている。

もう一つの特徴は架構である。諸橋家住宅主屋は古材の梁を転用し、その梁を天井で隠さずに見せている。新しく建てた大正期の主屋に、それ以前から使われてきた梁を組み込んだことになる。梁の出所は文化庁の解説には書かれていない。

表の座敷に良材を使い、架構では古い梁を見せる。文化庁はこうした造りを「意匠的に凝った」と評しており、外の素朴さと内の手の込み方の差が、この建物の個性になっている。

諸橋家住宅主屋の見学

諸橋家住宅主屋は個人が所有する住宅で、いまも諸橋家の住まいとして使われている。内部は公開されておらず、座敷や梁を見ることはできない。外観も敷地に立ち入って見るものではなく、公道から見える範囲にとどめてほしい。

諸橋家住宅主屋が公道からどの程度見えるかは、確認できた資料には記載がなかった。写真撮影をする場合も、住まいであることに配慮し、家の人や敷地内を写さないようにしたい。

Q&A

Q諸橋家住宅主屋はいつ建てられたのですか?
A大正10年(1921年)頃の建築です。同じ敷地の土蔵は明治38年(1905年)の建築で、主屋のほうが新しい建物です。
Q諸橋家住宅主屋の中門造とはどんな形ですか?
A母屋の正面の一部を前方へ突き出した平面の形式です。諸橋家住宅主屋では、土間にあたるニワの部分が前に張り出しています。
Q諸橋家住宅主屋はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A表側の座敷の柱・長押・差鴨居に良材を使い、古材の梁を転用した架構を見せるなど、意匠を凝らした内部が評価されました。平成13年(2001年)11月20日に「造形の規範となっているもの」として登録されています。
Q諸橋家住宅主屋の中は見学できますか?
Aできません。個人の住まいとして使われており、内部は公開されていません。敷地には立ち入らないでください。
Q諸橋家住宅主屋と長岡市の諸橋家住宅主屋は同じ建物ですか?
A別の建物です。長岡市来伝の諸橋家住宅主屋は明治11年(1878年)建築の2階建で、平成19年(2007年)に別に登録されています。

基本情報

名称諸橋家住宅主屋
所在地新潟県新潟市江南区茗荷谷410
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成13年(2001年)11月20日登録
員数1棟
寸法建築面積277平方メートル
所有者個人(新潟市の一覧による)
公開状況非公開(個人の住宅)

参考文献

国指定文化財等データベース 諸橋家住宅主屋(新潟市江南区、文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002534
国指定文化財等データベース 諸橋家住宅土蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002535
国指定文化財等データベース 諸橋家住宅主屋(長岡市、文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00006666
新潟市 市に所在する国登録文化財一覧
https://www.city.niigata.lg.jp/kanko/bunka/rekishi/bunkazai/ichiran/touroku.html

最終更新日: 2026.10.04