種月寺本堂―弥彦山麓に建つ曹洞宗の大本堂

種月寺本堂は、新潟県新潟市西蒲区石瀬にある江戸時代中期、元禄12年(1699年)建立の曹洞宗の本堂で、平成元年(1989年)に重要文化財に指定された。

種月寺は越後の曹洞宗を代表する古刹のひとつである。寺伝では文安3年(1446年)、村上の耕雲寺三世にあたる南英謙宗が、越後守護上杉房朝の命を受けて開創に着手したとされる。新潟市が公開している年表によれば、文安5年(1448年)に最初の本堂が竣工し、僧堂や浴司を含む伽藍が享徳2年(1453年)までにほぼ整った。のちには耕雲寺・慈光寺・雲洞庵とともに「越後四か道場」のひとつに数えられ、多くの雲水が修行した。

ただし、いま境内に建つ本堂は中世の堂そのものではない。元禄年間に建て替えられた堂で、国の指定もこの建物に対して行われている。

種月寺本堂が重要文化財に指定された理由

種月寺本堂は平成元年(1989年)9月2日に重要文化財に指定された。文化庁の解説は理由を順に述べる。まず、新潟県を中心に活躍した出雲崎大工の手で元禄12年(1699年)に建てられたこと。次に、前面に土間を設け、その奥を八室に分ける平面が曹洞宗本堂の特徴をよく示していること。そして全体に改造が少なく保存状態がよく、越後の曹洞宗本堂の代表例として貴重であること、である。

指定の記録では、規模は桁行24.0メートル、梁間18.4メートル、一重の寄棟造で、屋根は茅葺の上に鉄板を仮葺きしている。背面には開山堂が付属し、桁行9.4メートル、梁間5.5メートル、一重の切妻造、鉄板葺で、その東端が本堂に接続する。附として棟札2枚が指定されている。なお新潟市のページは梁間を18.8メートルとしており、本記事は文化庁の数値に従った。

新潟市によると棟梁は出雲崎の大工小黒甚七で、元禄11年(1698年)に起工している。背後の開山堂は文化10年(1813年)に増設されたものである。

種月寺本堂の平面を読む

種月寺本堂の内部は、文化庁が「曹洞宗本堂の特徴をよく示す」と書いたそのままの構成で、ゆっくり見る価値がある。堂の正面は東を向く。正面側に露地(土間)と大縁をとり、その奥を前後2列、各列4室に仕切っている。

新潟市の説明に従って南から並べると、前列は優婆塞・大間・優婆夷・茶の間、後列は位牌堂・内陣と室中の2室となる。優婆塞と優婆夷は、在家の男性信者と女性信者を指す仏教の言葉である。内陣と位牌堂だけが板敷きで、ほかの室は畳敷き。床の仕上げを見れば、本尊と位牌を納める室がどこかがわかる。

柱にも目を向けたい。特別な柱を除いて、すべて面取りをした角柱である。文化庁は柱が太く構造が強固であることを特記しており、新潟市も同じく面取角柱を挙げている。二つの資料が揃って注目する部分である。

外から見て最も大きな要素は屋根だ。新潟市の年表によると、昭和34年(1959年)に茅葺の上へ鉄板を仮葺きし、平成19年(2007年)から平成20年(2008年)にかけて屋根の葺き替えを含む保存修理が行われた。鉄板の下にはいまも茅が残っているため、指定の記録は屋根を金属屋根ではなく「茅葺(鉄板仮葺)」と書いている。

種月寺本堂の見学方法

種月寺本堂は新潟市西蒲区石瀬3356、弥彦山の北麓にあり、岩室温泉にも近い。新潟市観光ガイドによれば、JR越後線の岩室駅、JR弥彦線の弥彦駅のどちらからも車で約10分で、寺に駐車場がある。

参道は山門をくぐり、さらに廻廊門を抜けた先で種月寺本堂の前に出る。新潟市の年表では山門と廻廊門の建立は安政4年(1857年)で、山門は明治10年(1877年)に再建された。本堂の外観は境内から見ることができる。堂内の拝観時間や料金は寺・市とも公表していないため、内部の拝観や撮影を希望する場合は事前に種月寺(電話0256-82-2160)へ問い合わせてほしい。本堂では法要も営まれ、その間は堂内を見られないことがある。

Q&A

Q種月寺本堂はいつ建てられましたか?
A元禄12年(1699年)に出雲崎の大工によって建てられました。背面に付属する開山堂は文化10年(1813年)の増設です。
Q種月寺本堂が重要文化財に指定されたのはいつですか?
A平成元年(1989年)9月2日です。改造が少なく保存状態のよい越後の曹洞宗本堂の代表例として評価され、棟札2枚も附として指定されています。
Q種月寺本堂の屋根は茅葺ですか?
A下地は茅葺ですが、昭和34年(1959年)から茅の上に鉄板を仮葺きしています。そのため指定の記録では「茅葺(鉄板仮葺)」と表記されています。
Q種月寺本堂へのアクセスは?
AJR岩室駅またはJR弥彦駅から車で約10分です。所在地は新潟市西蒲区石瀬3356で、寺に駐車場があります。
Q種月寺本堂の中に入って拝観できますか?
A外観は境内から見られますが、堂内の拝観時間や料金は公表されていません。内部の拝観や撮影を希望する場合は、事前に種月寺(電話0256-82-2160)へ問い合わせてください。

基本情報

名称種月寺本堂
所在地新潟県新潟市西蒲区石瀬3356
指定区分重要文化財(建造物)
指定年平成元年(1989年)
員数1棟(附 棟札2枚)
寸法本堂 桁行24.0m、梁間18.4m/開山堂 桁行9.4m、梁間5.5m
所有者種月寺
公開状況外観は境内から見学可、堂内は寺へ要問い合わせ

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース:種月寺本堂
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/645
新潟市:重要文化財 種月寺本堂
https://www.city.niigata.lg.jp/kanko/bunka/rekishi/bunkazai/shokai/shugetuji.html
新潟市:市に所在または関係する国指定文化財一覧
https://www.city.niigata.lg.jp/kanko/bunka/rekishi/bunkazai/ichiran/kunishitei.html
新潟市観光ガイド:種月寺
https://www.nvcb.or.jp/spot/detail_1015.html

最終更新日: 2026.10.04