冨士屋旅館主屋とは

冨士屋旅館主屋は、大分県別府市鉄輪の鉄輪温泉にある明治31年(1898年)建築の木造2階建の旅館建築で、平成13年(2001年)に国の登録有形文化財に登録された。読みは「ふじやりょかんしゅおく」。

建築面積は361平方メートル。屋根は瓦葺で、文化庁の記録では建物の種別が「産業3次」、つまり商業・サービス業の建物に分類されている。冨士屋旅館の4件の登録物件のうち、屋根と壁をもつ建物はこの主屋だけで、前門・石段・石垣はすべて主屋へ客を導くための外構である。

冨士屋旅館主屋が登録された理由

冨士屋旅館主屋は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録有形文化財に登録された。登録番号は44-0069である。

文化庁の解説が価値の根拠として挙げるのは、東面中央に残る入母屋造の式台玄関の跡である。式台は格式の高い客を迎えるために玄関に設ける板敷きの段である。大正期に南側へ別の玄関が増築されて表の入口の役は移ったが、旧玄関の痕跡がこの旅館の格の高さを示している、と解説は述べる。

冨士屋旅館主屋の見どころ

L字に組まれた二つの棟

冨士屋旅館主屋は一つの屋根の建物ではない。東を正面とする南北棟が本館部で、屋根は寄棟造の2階建。その南端に、棟の高さを一段下げた東西棟の2階建が取り付く。こちらも寄棟造である。外から見ると、高い南北棟の大屋根の手前に、低い東西棟の屋根が重なって見える。

二つの玄関

東面に回ると、中央に旧式台玄関の構えが残る。いでゆ坂から石段と前門を経て入ってきた客が最初に向き合ったのがこの面で、前門はちょうどこの玄関に正対する位置に立つ。南側に回ると、大正期に増築された入母屋造の玄関がある。運営者は、玄関に千鳥破風を備えた外観を鉄輪の目印として紹介している。二つの玄関を見比べると、客を迎える向きが東から南へ変わったことが分かる。

手仕事の残る内部

運営者によれば、主屋は別府・亀川の大工の棟梁、豊嶋彌九郎(とよしま やくろう)を中心とする職人たちが手がけたと記録に残る。内部は昭和と平成に何度か改修されているが、ホールでは建築当時の梁を見せる造りにしている。近年の改修では日田の左官職人が土壁を新たに塗り、カフェラウンジからその壁を眺められる。明治の木組みと現代の左官仕事が同じ空間に並ぶのも、冨士屋旅館主屋のいまの姿である。

冨士屋旅館主屋の見学方法

冨士屋旅館主屋の内部は、カフェラウンジの営業時間(午前11時から午後5時まで、月曜・火曜定休)に入ることができる。ホールは演奏会や展示の会場として使われ、催しのある日に入れる。カフェとホール以外の部屋に入れるかは公式の案内に記載がないので、運営者に確かめてほしい。館内の撮影についても同様である(2026年10月1日確認)。

外観は敷地の東側から眺めるのがよい。旧式台玄関の構えと、その正面に立つ前門が一つの視野に収まる。冨士屋旅館への行き方は冨士屋旅館のページにまとめてある。

Q&A

Q冨士屋旅館主屋はいつ建てられましたか?
A文化庁のデータベースでは明治31年(1898年)です。運営者は明治32年(1899年)と案内しており、資料により1年の差があります。
Q冨士屋旅館主屋はどのような建物ですか?
A木造2階建、瓦葺、建築面積361平方メートルの旅館建築です。寄棟造の南北棟(本館部)の南に、寄棟造の東西棟が取り付きます。
Q冨士屋旅館主屋の見どころはどこですか?
A東面中央の入母屋造の式台玄関の跡です。大正期に増築された南側の玄関と見比べると、客を迎える向きが変わったことが分かります。
Q冨士屋旅館主屋の中に入れますか?
Aカフェラウンジの営業時間(午前11時から午後5時まで、月曜・火曜定休)とホールの催しの際に入れます。その他の部屋の公開は運営者に確認してください。
Q冨士屋旅館主屋はいつまで旅館でしたか?
A平成8年(1996年)まで旅館として営業し、その後ギャラリーとホールに転用されました。

基本情報

名称冨士屋旅館主屋
所在地大分県別府市大字鉄輪字ウカリユ735-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成13年(2001年)登録
員数1棟
寸法建築面積361平方メートル(木造2階建)
所有者文化庁データベースに記載なし
公開状況カフェ営業時間(午前11時〜午後5時、月・火定休)とホールの催しの際に内部へ入れる

参考文献

冨士屋旅館主屋(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002567
冨士屋旅館主屋(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/115647
冨士屋ホテルについて(冨士屋ホテル 公式サイト)
https://kannawa-fujiya.com/about
カフェで過ごす(冨士屋ホテル 公式サイト)
https://kannawa-fujiya.com/cafe
ギャラリー・ホール(冨士屋ホテル 公式サイト)
https://kannawa-fujiya.com/hall

最終更新日: 2026.10.01