旧仲里間切蔵元石牆とは
旧仲里間切蔵元石牆は、沖縄県島尻郡久米島町真謝に残る享保年間(1716〜1735年)の石積みの塀で、琉球王国時代の役所「蔵元」の周囲をめぐり、昭和47年(1972年)5月15日に国の重要文化財に指定された。
読みは「きゅうなかざとまぎりくらもとせきしょう」。間切は琉球王府時代の行政区画で、仲里間切はのちの仲里村、いまの久米島町の東側にあたる。蔵元はその間切を治めた役所を指し、本土で酒や醤油の醸造元をいう「蔵元」とは意味が違う。琉球新報の『沖縄コンパクト事典』によれば、蔵元は宮古・八重山の両先島と、久米島の二つの間切に置かれた。
役所の木造建物はひとつも残っていない。いま真謝の集落に立つのは、敷地を四角く囲んだ石牆(石垣の塀)だけである。指定は石牆一周を1棟として数え、文化庁のデータベースは延長177.5メートル、アーチ形の門2か所を含むと記している。
旧仲里間切蔵元石牆が重要文化財に指定された理由
文化庁の解説は、旧仲里間切蔵元石牆を、蔵元の構えを示す沖縄地方で唯一の遺構と位置づけている。建物が失われても、塀の配置と門の位置から、役所の敷地がどう区切られ、どこから人が出入りしたかが読み取れる。建設年代は比較的新しいとしながらも、意匠と構造は堂々として見事であり、沖縄の石造技法をよく示すと評価している。
高さは場所によって異なり、南側で2.7メートル、北側で3.3メートルある。南面に表口を開き、北面と西面にはそれぞれ単アーチの門を設ける。表口とアーチ門2か所の3つの門が、敷地への出入り口のすべてである。
造られた年については資料によって幅がある。文化庁のデータベースは時代を江戸中期、年代を享保年間(1716〜1735年)とする。一方、『沖縄コンパクト事典』は1763年の建設と書き、沖縄観光コンベンションビューローの案内も18世紀半ばに完成したと伝えている。本記事では文化庁の記載を基本とし、1763年説を併記しておく。
旧仲里間切蔵元石牆の見どころ
旧仲里間切蔵元石牆の前に立ったら、まず石の積み方の違いを見比べたい。沖縄観光コンベンションビューローの紹介によると、門のまわりは石を四角に切りそろえた布積で、それ以外の壁は自然の石の形を生かした「あいかた積み」になっている。門の周辺だけ目地がまっすぐ通り、壁の面に入ると石の輪郭が不ぞろいになるので、境目は近づけばすぐに分かる。
北と西のアーチ門は、旧仲里間切蔵元石牆でいちばん印象に残る部分だ。同じ紹介によれば、通用門の上部は塀よりも一段高く積み上げられ、門の存在を外から際立たせている。アーチの曲線は、切石を一つずつ組んで支えたものである。
石材は珊瑚石灰岩で、塀の四隅は角を落とし、丸みをつけて隙間なく積まれている。白っぽい石の面は、日差しの強い昼よりも、斜めから光が当たる朝夕のほうが凹凸がよく浮かぶ。
石牆は現在、町立美崎小学校のすぐ隣、学校の敷地と接する場所にある。塀の外周を一回りすると、177.5メートルという長さが体で分かる。
旧仲里間切蔵元石牆の見学方法
旧仲里間切蔵元石牆は屋外の遺構で、塀は外からいつでも見られる。入場料や公開時間を定めた案内は、町や観光団体の資料には見当たらない。隣の美崎小学校の授業時間帯には、児童の妨げにならないよう静かに見学したい。撮影についても特別な制限の案内はないが、学校の敷地や児童が写り込まないよう配慮が要る。
久米島へは那覇から飛行機で渡るのが一般的で、沖縄観光コンベンションビューローの案内では、那覇空港から久米島空港まで約30分、久米島空港から旧仲里間切蔵元石牆までは車で約25分である。島内の移動はレンタカーかタクシーが現実的だ。
地元ガイドと真謝の集落を歩く散策プログラムでは、旧仲里間切蔵元石牆が立ち寄り先の一つになっている。石積みの見分け方を現地で聞きたい人は、こうした案内を利用するのもよい。
Q&A
- 旧仲里間切蔵元石牆とはどのようなものですか?
- 琉球王国時代に仲里間切を治めた役所「蔵元」の敷地を囲んでいた石積みの塀です。役所の建物は残っておらず、延長177.5メートルの石牆と、アーチ形の門2か所が残ります。昭和47年(1972年)5月15日に重要文化財に指定されました。
- 旧仲里間切蔵元石牆の「蔵元」は酒蔵のことですか?
- いいえ。ここでの蔵元は、琉球王府時代に間切(行政区画)を治めた役所のことです。本土でいう醸造元の意味ではありません。
- 旧仲里間切蔵元石牆はいつ造られましたか?
- 文化庁のデータベースは江戸中期、享保年間(1716〜1735年)としています。琉球新報の『沖縄コンパクト事典』は1763年の建設としており、資料によって年代に幅があります。
- 旧仲里間切蔵元石牆は見学できますか?料金はかかりますか?
- 屋外の遺構で、塀は外から見学できます。入場料や公開時間の定めは案内されていません。隣接する美崎小学校の授業中は静かに見学し、児童が写り込まないよう注意してください。
- 旧仲里間切蔵元石牆へはどう行けばよいですか?
- 那覇空港から久米島空港まで飛行機で約30分、久米島空港から車で約25分です。島内はレンタカーかタクシーでの移動が便利です。
基本情報
| 名称 | 旧仲里間切蔵元石牆(きゅうなかざとまぎりくらもとせきしょう) |
|---|---|
| 所在地 | 沖縄県島尻郡久米島町字真謝122番地 |
| 指定区分 | 重要文化財(建造物) |
| 指定年 | 昭和47年(1972年)5月15日 |
| 員数 | 1棟(石牆一周、アーチ門2か所を含む) |
| 寸法 | 延長177.5m、高さ 南側2.7m・北側3.3m |
| 所有者 | 久米島町 |
| 公開状況 | 屋外の遺構で外観は見学可(料金・時間の定めの案内なし) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):旧仲里間切蔵元石牆
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/3666
- 琉球新報デジタル 沖縄コンパクト事典:仲里間切蔵元跡
- https://ryukyushimpo.jp/okinawa-dic/prentry-42364.html
- 沖縄観光情報WEBサイト おきなわ物語(沖縄観光コンベンションビューロー):旧仲里間切蔵元跡
- https://www.okinawastory.jp/spot/30000083
- 沖縄しまさんぽ(沖縄観光コンベンションビューロー):久米島の歴史を感じよう 美しい自然の中を歩く真謝集落散策
- https://ritohaku.okinawastory.jp/kumejima/8399
- J-TRIP Smart Magazine 沖縄:[久米島]散歩で新たな発見 真謝のチュラフクギ
- https://www.smartmagazine.jp/okinawa/article/sight/30162/
最終更新日: 2026.10.03