高良家住宅とは
高良家住宅(たからけじゅうたく)は、沖縄県島尻郡座間味村字慶留間にある明治時代中頃の民家で、昭和63年(1988年)5月11日に重要文化財に指定された。慶良間諸島の慶留間島(げるまじま)の集落のほぼ中央に建ち、文化庁のデータベースでは所在を示すため「高良家住宅(沖縄県島尻郡座間味村)」の名で登録されている。
文化庁の解説によると、高良家は琉球王府時代に船頭職を勤めた旧家である。座間味村の案内では「船頭主家(しんどうしゅーやー)」と呼ばれ、王府時代末期に公用船の船頭を務めた仲村渠親雲上(なかんだかりぺーちん)が中国との交易で得た財をもとに建てたと伝わる。
慶留間島は那覇の西方約40キロメートル、座間味村の3つの有人島のうちいちばん小さな島で、村の資料では面積1.22平方キロメートル、人口は50人に満たない。この小島に、王府の船を預かった家の屋敷が石垣ごと残っている。
寄棟造・本瓦葺の主屋
文化庁のデータベースは、高良家住宅の主屋を桁行12.7メートル、梁間8.7メートル、寄棟造、本瓦葺で、玄関が附属すると記す。南を向いて建ち、建築当初の屋根は草葺だったが、大正年間(1912〜1926年)に沖縄特有の赤瓦へ葺き替えられた。寄棟なので、屋根は四方へ流れ下る形になる。
附として、ひんぷん1棟と石牆1棟も指定に含まれる。ひんぷんは門を入った正面に立てる目隠しの塀で、外から母屋の中が直接見えないようにし、来客の動線を左右に振り分ける。石牆は屋敷のまわりをめぐる石垣で、旅行案内ではサンゴ石を相方積み(多角形に加工した石をかみ合わせる積み方)で軒の高さまで積み上げたものと紹介されている。
重要文化財に指定された理由
文化庁の解説が高良家住宅の特色として挙げるのは、炊事場を独立した建物とせず、主屋の中に設けている点である。沖縄の伝統的な民家では、居住の棟と台所の棟を分けて建てる形がよく知られるが、高良家住宅はそれを1つの屋根の下にまとめた例として評価された。
主屋を囲む石垣や樹木などの環境がよく残ることも指定の理由に挙げられ、解説は沖縄離島の民家として価値が高いとまとめている。沖縄戦で本島の古い民家の多くが失われたなか、離島の集落に元の場所のまま建つ民家であることにも意味がある。
建築年代については資料の表現が分かれる。文化庁のデータベースは「明治中頃」とし、座間味村や沖縄観光コンベンションビューローの案内は琉球王府時代末期、19世紀後半の建築と伝える。琉球王国は明治12年(1879年)に沖縄県となるので、両者は数十年の幅の中で重なるものの、どちらが正確かは一次資料からは決めきれない。
高良家住宅の見どころ
集落の路地から近づくと、まず軒近くまで積まれた石垣が目に入る。赤瓦の屋根はその上にのぞく程度で、屋敷が石垣の内側に包み込まれていることがわかる。
門をくぐると、正面をひんぷんがふさぐ。左右どちらかへ回り込んで初めて、南を向いた主屋の全体が見える。この順序を体で確かめるのが、高良家住宅を訪ねるいちばんの面白さかもしれない。
主屋の中では、炊事の場所が居室と同じ屋根の下にあることを確かめたい。文化庁が指定の理由とした部分であり、ほかの沖縄の民家を見たことがある人ほど違いがわかる。屋根を見上げると、大正期に葺き替えられた赤瓦の重なりも近くで観察できる。
高良家住宅の見学方法とアクセス
高良家住宅は一般に公開されており、建物の中と屋敷内を見学できる。休館日は月曜日で、旅行案内では開館時間を午前9時から午後5時とし、開館日でも正午から午後1時までは閉まると案内されている。入場料は沖縄観光コンベンションビューローの案内で大人310円、高校生・大学生260円、小学生・中学生170円。料金や時間は変わることがあるので、訪問前に座間味村教育委員会(電話098-987-2153)へ確かめると確実である。トイレなどの設備はない。撮影の可否については公式の案内が見当たらず、現地で管理の方に確認したい。
慶留間島へは、那覇の泊港から座間味村の村営船で阿嘉島へ渡る。村の資料では、那覇から座間味村まで高速船「クイーンざまみ」で約50分、「フェリーざまみ」で約90分。阿嘉港から阿嘉大橋を渡って慶留間島へ入り、高良家住宅までは自転車で約20分、車なら10分ほどである。便数は季節や海況で変わるので、時刻表は事前に確認しておきたい。
Q&A
- 高良家住宅とはどのような建物ですか?
- 慶留間島にある、琉球王府時代に船頭職を勤めた家の民家です。寄棟造・赤瓦の本瓦葺の主屋に、ひんぷんと石垣が附属し、昭和63年(1988年)に重要文化財に指定されました。
- 高良家住宅はなぜ重要文化財なのですか?
- 炊事場を別棟にせず主屋の中に設けた民家の好例であり、石垣や樹木を含む屋敷の環境もよく残る、沖縄離島の民家として価値が高いと評価されたためです。
- 高良家住宅の開館日と入場料は?
- 月曜日が休館で、正午から午後1時は閉まります。入場料は大人310円、高校生・大学生260円、小学生・中学生170円と案内されています。
- 高良家住宅へは那覇からどう行けばよいですか?
- 泊港から村営の高速船かフェリーで阿嘉島へ渡り、阿嘉大橋を越えて慶留間島へ入ります。阿嘉港からは自転車で約20分です。
- 高良家住宅の屋根はもとから赤瓦だったのですか?
- いいえ。建てられた当初は草葺で、大正年間に沖縄特有の赤瓦に葺き替えられました。
基本情報
| 名称 | 高良家住宅(沖縄県島尻郡座間味村) |
|---|---|
| 所在地 | 沖縄県島尻郡座間味村字慶留間62番 |
| 指定区分 | 重要文化財(建造物) |
| 指定年 | 昭和63年(1988年)5月11日指定 |
| 員数 | 1棟(附 ひんぷん1棟、石牆1棟) |
| 寸法 | 桁行12.7m、梁間8.7m、寄棟造、本瓦葺、玄関附属 |
| 所有者 | 座間味村 |
| 公開状況 | 公開(月曜休館、有料) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 高良家住宅(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/3669
- 文化遺産オンライン 高良家住宅(文化庁)
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/110967
- 村の概要(座間味村)
- https://www.vill.zamami.okinawa.jp/sonsei/intro/overview/
- 高良家住宅(おきなわ物語・沖縄観光コンベンションビューロー)
- https://www.okinawastory.jp/spot/30000079
最終更新日: 2026.10.03