屋宜家住宅主屋とは

屋宜家住宅主屋は、沖縄県島尻郡八重瀬町字大頓にある昭和27年(1952年)建築の赤瓦葺の民家で、平成21年(2009年)11月2日に国の登録有形文化財に登録された。

読みは「やぎけじゅうたくしゅおく」。沖縄で赤瓦葺の家を指すカーラヤーの一棟で、戦後まもなく屋宜家の一代目・屋宜松が建てた。文化庁の記録では木造平屋建、建築面積77平方メートル、員数は1棟。同じ屋敷のアサギ・井戸・ヒンプン・石垣とともに登録され、5件のうち屋宜家住宅主屋だけが「造形の規範となっているもの」を登録基準としている。

屋宜家住宅主屋が登録有形文化財になった理由

文化庁の解説は、屋宜家住宅主屋を地域の特色をよく残す建築と位置づけている。桁行13メートル、梁間6.6メートルの平屋で、屋根は寄棟造の赤瓦葺。瓦の継ぎ目を白い漆喰で塗り固める目漆喰塗とし、南面と東面には深い軒下の雨端(アマハジ)をまわす。

部屋は一番座・二番座・三番座・裏座・台所からなる。一番座には床(トコ)と棚を、二番座には仏壇を設ける。屋宜家の案内でも一番座は客間とされ、客を迎える座敷と祖先をまつる座敷を分ける沖縄の民家の決まりごとが、戦後7年目の新築でもそのまま守られている。

屋宜家住宅主屋は昭和27年の新築でありながら、赤瓦の寄棟屋根、目漆喰、雨端、座敷の並びという伝統の形を一通り備えている。地域の民家の手本となる形を示している点が、登録基準の「造形の規範」に対応している。

屋宜家住宅主屋の造り

屋宜家の案内によると、部屋の内訳は6畳の畳敷きが2室、6畳の板張りが1室で、これに9畳の台所が付く。裏座はかつて物置として使われ、味噌や豚の三枚肉の塩漬け(スーチカー)を蓄える大きな甕が置かれていた。

骨組みにも特色がある。柱と梁、梁と梁は釘を使わず楔で締め、家そのものは土台に固定していない。屋根は垂木の上に山原竹を敷き並べ、その上に土を載せて琉球瓦を葺く。瓦と土と木材の重みで建物を土台に押さえつける仕組みで、屋根の土は湿気の多いときに水分を吸い、乾くと吐き出して室内の湿度を和らげるという。

沖縄の赤瓦葺の家は間取りがほぼ共通しており、畳の広さや廊下の幅、天井の高さ、軒の出の長さ、部屋の数で家の大きさが決まる、と屋宜家は説明している。

屋宜家住宅主屋の見どころ

屋宜家住宅主屋には、いわゆる玄関がない。ヒンプンを回り込むと、目の前に縁側と座敷が開けている。屋宜家の案内は、ヒンプンを抜ければもう家の中だと書き、近所の人や知り合いは縁側に腰掛けて茶を飲みながら話し込んだと伝える。

縁側に立ったら、頭上の雨端の深さを確かめたい。屋宜家によれば、広く取った軒下は夏の日差しをさえぎり、冬は日の光をほどよく室内に入れ、雨の日には吹き込む雨を防ぐ。南と東の二面にまわる雨端は、屋宜家住宅主屋の外観でいちばん目を引く部分でもある。

座敷では、一番座の床と棚、二番座の仏壇の位置関係を見ておきたい。屋宜家の案内によると、正面に置かれた火鉢は一代目の屋宜松が愛用していたものである。屋根を見るなら、少し離れて南から眺めると、赤瓦の列を白い目漆喰が区切る寄棟屋根の形がよく分かる。

屋宜家住宅主屋の見学方法

屋宜家住宅主屋は「沖縄そばと茶処 屋宜家」の客席として使われ、予約のない客は主にこの主屋の座敷に通される。店の案内では大人30人まで入る。座敷へは縁側で靴を脱いで上がる。

建物の内部を見られるのは、店の営業時間内に利用するときに限られる。二番座の仏壇は家の祭祀の場なので、むやみに近づいたり触れたりしないこと。撮影についての公式の案内はないが、食事中の客が多い座敷では、ほかの人が写り込まないよう気を配りたい。

Q&A

Q屋宜家住宅主屋の中に入ることはできますか?
A屋宜家住宅主屋は「沖縄そばと茶処 屋宜家」の客席になっているため、営業時間内に店を利用すれば座敷に上がれます。入店は午前11時から午後3時まで、火曜日と1月1日は定休日です。
Q屋宜家住宅主屋はいつ、誰が建てたのですか?
A文化庁の記録では昭和27年(1952年)の建築です。屋宜家の案内によると、戦後まもなく一代目の屋宜松が、乏しい資材を港や材木店で探し集めて建てました。
Q屋宜家住宅主屋の大きさと間取りを教えてください。
A桁行13メートル、梁間6.6メートル、建築面積77平方メートルの木造平屋建です。一番座・二番座・三番座・裏座・台所からなり、一番座に床と棚、二番座に仏壇があります。
Q屋宜家住宅主屋に玄関がないのはなぜですか?
A昔ながらの沖縄の赤瓦葺の家は玄関を設けず、ヒンプンを回り込んで縁側から座敷に上がる造りだからです。屋宜家住宅主屋もこの形を守っています。
Q屋宜家住宅主屋は戦後の建物なのに、なぜ登録有形文化財になったのですか?
A赤瓦の寄棟屋根、目漆喰塗、南と東にまわる雨端、一番座から台所までの間取りといった沖縄の民家の特色をよく残し、地域の建物の手本となる造形を示しているためです。登録基準は「造形の規範となっているもの」です。

基本情報

名称屋宜家住宅主屋(やぎけじゅうたくしゅおく)
所在地沖縄県島尻郡八重瀬町字大頓1172
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成21年(2009年)11月2日登録
員数1棟
寸法桁行13メートル、梁間6.6メートル、建築面積77平方メートル
所有者個人(文化庁データベースに所有者名の記載なし)
公開状況「沖縄そばと茶処 屋宜家」の客席として営業時間内に利用可(火曜日・1月1日定休)

参考文献

国指定文化財等データベース「屋宜家住宅主屋」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007947
屋宜家住宅主屋(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/164831
平成21年度県指定文化財と国の登録文化財について(八重瀬町)
https://www.town.yaese.lg.jp/docs/2014032000233/
屋宜家 STORY 2(屋宜家公式サイト)
https://www.ne.jp/asahi/to/yagiya/story2.html
屋宜家 STORY 4(屋宜家公式サイト)
https://www.ne.jp/asahi/to/yagiya/story4.html
屋宜家 STORY 5(屋宜家公式サイト)
https://www.ne.jp/asahi/to/yagiya/story5.html
屋宜家 STORY 6(屋宜家公式サイト)
https://www.ne.jp/asahi/to/yagiya/story6.html
客席(屋宜家公式サイト)
https://www.ne.jp/asahi/to/yagiya/kyakuseki.html
予約について・営業時間(屋宜家公式サイト)
https://www.ne.jp/asahi/to/yagiya/yoyaku.html

最終更新日: 2026.10.03