屋敷の南正面を構える門

松村家住宅長屋門は、大阪府羽曳野市島泉二丁目にある江戸時代後期の長屋門で、平成18年(2006年)8月3日に国の登録有形文化財に登録された。南島泉村の庄屋をつとめた松村家の屋敷地の南辺中央に建ち、主屋の土間玄関の南に位置して、屋敷へ入る正門となっている。

文化庁データベースによる年代は江戸時代後期(1751年から1829年の範囲)。木造平屋建、瓦葺で、建築面積は62平方メートルある。

供部屋と蔵を抱えた表構え

松村家住宅長屋門は、登録基準のうち「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で登録された(登録番号27-0378)。

規模は桁行7間、梁間2間で、棟を東西に通す。門口をはさんで東側を蔵、西側を6畳2室の供部屋とする。供部屋は、来客に付き従ってきた供の者を待たせたり、屋敷の奉公人が使ったりした部屋で、門そのものに部屋を抱え込むところに、長屋門という形式の意味がある。

羽曳野市は、長屋門の供部屋と蔵からなる構成が、同じ島泉の吉村家住宅と似ていることを挙げ、松村家の大庄屋としての格式を示すものと説明している。門に蔵まで組み込んだ造りは、村の年貢や家の財を扱う家の門らしい備えといえる。

表と裏で葺き分けた屋根

松村家住宅長屋門でまず目を留めたいのは屋根である。東の端を入母屋造とし、南側の屋根面を本瓦葺、北側の屋根面を桟瓦葺と、表と裏で瓦を葺き分けている。

本瓦葺は平瓦と丸瓦を交互に重ねる重厚な葺き方で、手間も材料も多くかかる。道に面した南側にだけそれを用い、屋敷の内側を向く北側は軽い桟瓦で済ませた。人に見られる面に費用をかけるという、表構えに対する考え方がはっきり表れた葺き分けである。

正面の壁には横連子窓と出窓が設けられ、壁一面が単調にならないよう整えられている。供部屋の窓は、門の前の道を見通す位置にもあたる。

門の西側には土蔵三が接して並び、長屋門と一続きになって屋敷の南の構えをつくる。南東の端からは外塀が東へ延びている。

見学について

松村家住宅長屋門は、屋敷の建物のなかで最も外から見やすい一棟である。南の道に立てば、本瓦葺の南面の屋根、横連子窓と出窓、東端の入母屋の妻を確かめられる。北側の桟瓦葺の屋根面は屋敷の内側にあたるため、道からは見えない。

門の内側は個人の住まいで、2026年9月時点で公開の案内はない。門をくぐったり、門の奥を撮影したりすることは控え、外観の撮影も通行の妨げにならない位置から手短に済ませたい。屋敷への行き方は松村家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q松村家住宅長屋門はいつの建物ですか?
A文化庁データベースでは江戸時代後期(1751年から1829年の範囲)の建築とされ、平成18年(2006年)8月3日に国の登録有形文化財に登録されました。
Q松村家住宅長屋門の屋根の特徴は?
A東端を入母屋造とし、道に面した南側を本瓦葺、屋敷内側の北側を桟瓦葺と葺き分けています。
Q松村家住宅長屋門の中はどうなっていますか?
A桁行7間、梁間2間の建物で、門口の東側を蔵、西側を6畳2室の供部屋としています。
Q松村家住宅長屋門は外から見られますか?
Aはい。屋敷の南正面に建っているため、南の道から外観を見ることができます。門の内側には入れません。
Q松村家住宅長屋門の隣にある建物は何ですか?
A西側に土蔵三が接して建ち、長屋門と並んで屋敷の南の表構えをつくっています。土蔵三も登録有形文化財です。

基本情報

名称松村家住宅長屋門(まつむらけじゅうたくながやもん)
所在地大阪府羽曳野市島泉2丁目196他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年2006年8月3日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積62平方メートル
所有者文化庁データベースに記載なし
公開状況非公開(外観は南の道から見られる)

参考文献

松村家住宅長屋門(国指定文化財等データベース/文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005647
松村家住宅土蔵三(国指定文化財等データベース/文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005646
松村家住宅外塀(国指定文化財等データベース/文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005649
松村家住宅(羽曳野市)
https://www.city.habikino.lg.jp/soshiki/shougaigakushu/bunka-sekai/bunkazainikansurukoto/bunkazai_shokai/edo/17204.html

最終更新日: 2026.09.26