中山家住宅 ― 別所村の庄屋が守ってきた14棟の屋敷

中山家住宅は、大阪府松原市別所6丁目にある江戸時代後期の豪農の屋敷で、文化2年(1805年)に建てられた主屋をはじめとする14棟が、平成16年(2004年)3月2日に登録有形文化財(建造物)として登録された。

登録されたのは主屋・湯殿・寝部屋・寮・二階蔵・南蛮蔵・炭蔵綿蔵・北二階蔵・米蔵・瀬戸物蔵・本蔵及び裏門・長屋門・長屋・塀の14件。瀬戸物蔵と本蔵及び裏門の2棟が明治時代で、ほかは江戸時代後期にさかのぼる。松原市にとっては市内で初めての登録文化財であり、登録当時の市の情報誌は、1軒の住宅の登録件数として大阪府内で最も多いと伝えている。

中山家住宅は現在も中山家の人々が暮らす住まいで、一般には公開されていない。この記事では屋敷全体の成り立ちと配置をまとめ、各棟の構造はそれぞれのページで扱う。

庄屋・大庄屋をつとめた中山家

中山家は江戸時代、河内国丹北郡別所村の庄屋をつとめ、あわせて八上郡の大庄屋も担った家である。別所村ははじめ幕府領だったが、宝永2年(1705年)から秋元家の領地となった。秋元氏は河内の丹北・丹南・八上の3郡43か村を治め、八上郡長曽根村(現在の堺市)に陣屋を置いた。

秋元家は武蔵国川越の大名で、その後の国替えで山形、上野国館林と居城を移したが、河内の飛び地の支配は幕末まで続いた。3郡にはそれぞれ1人ずつ大庄屋が置かれ、郡内の村々の庄屋を束ねた。松原市の解説によれば、中山氏はおもに三宅村から現在の堺市域にかけての八上郡を受け持ったという。

主屋の建築年は、家に伝わる古文書で分かる。寛政11年(1799年)正月の日付をもつ記録に、主屋を文化2年に建て、奥座敷を天保元年(1830年)に増築したことが記されている。

中山家住宅の配置 ― 長屋門から北の裏門まで

中山家住宅の敷地は、外周を石積みの水路に囲まれた方形の屋敷地である。正面は南で、南東の角に長屋門が南を向いて建ち、その西隣に白壁の二階蔵が接続する。長屋門の東半分は供部屋で、北へ延びて客間の寮に達し、寮の北には南蛮蔵が続いて主屋の東端に接する。

主屋は敷地のほぼ中央にある。玄関の南には炭蔵綿蔵があり、主屋の南西、奥座敷の南には湯殿が建つ。主屋の北、台所の側には北二階蔵がつながり、その北へ米蔵、瀬戸物蔵と蔵が一列に並ぶ。北二階蔵の東に接して建つ小さな片流れ屋根の建物が寝部屋で、使用人の休憩所だった。

敷地の北辺には、裏門と文庫蔵を一つにした本蔵及び裏門と、薪や水車をしまった長さ18間の長屋が並び、そのあいだと西側を瓦葺の塀が結ぶ。表の長屋門と二階蔵、裏の本蔵と長屋が、それぞれ屋敷の南と北の顔をつくっている。

中山家住宅が登録された理由

14棟はいずれも登録基準「国土の歴史的景観に寄与しているもの」によって登録された。平成16年1月16日に文化審議会が文部科学大臣へ答申し、同年3月2日に登録、3月29日に告示されている。

松原市は評価の理由として、改造された部分が全般に少ないこと、付属屋がほとんど残っていて屋敷構えがよく分かること、そして古文書によって建築年代がはっきりしていることを挙げる。主屋だけでなく、客を泊めた寮、砂糖などの舶来品を納めた南蛮蔵、陶磁器を収めた瀬戸物蔵、水車を置いた長屋まで、用途の異なる建物がそろって残る点に、近世後期の河内で先進的な農業を営んだ豪農の暮らしぶりが表れている。

中山家は村の政治だけでなく学芸の面でも地域と関わった。幕末の当主が大坂の文人を寮に迎えたことは寮のページで触れる。明治に入ると一族の中山潔が大阪の漢学塾・泊園書院に学び、師の藤沢南岳は別所村の氏神である熱田神社の社号標(大正8年、1919年)の文字を書いている。

中山家住宅の見学について

中山家住宅は現在も住まいとして使われているため、敷地内と建物内の見学はできない。松原市も公式サイトでその旨を案内している。主屋の土間や座敷の様子は、市のページに掲載された写真で見ることができる。

敷地の外から見えるのは、南側の表構えと北側の裏構えである。南からは長屋門と、その左手(西)に立つ二階蔵の白壁が並んで見える。北側では、裏門を開いた本蔵から塀をはさんで長屋までが一続きの外観をつくっている。

場所は別所6丁目の熱田神社の東隣にあたる。最寄りの近鉄南大阪線河内松原駅からは北へ2キロあまりで、歩くと30分ほどかかる。周囲は住宅地なので、外観は道路から静かに眺め、門の内側や窓越しに住まいへカメラを向けないようにしたい。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)中山家住宅主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003998
国指定文化財等データベース(文化庁)中山家住宅湯殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003999
国指定文化財等データベース(文化庁)中山家住宅寝部屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004000
国指定文化財等データベース(文化庁)中山家住宅寮
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004001
国指定文化財等データベース(文化庁)中山家住宅二階蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004002
国指定文化財等データベース(文化庁)中山家住宅南蛮蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004003
国指定文化財等データベース(文化庁)中山家住宅炭蔵綿蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004004
国指定文化財等データベース(文化庁)中山家住宅北二階蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004005
国指定文化財等データベース(文化庁)中山家住宅米蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004006
国指定文化財等データベース(文化庁)中山家住宅瀬戸物蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004007
国指定文化財等データベース(文化庁)中山家住宅本蔵及び裏門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004008
国指定文化財等データベース(文化庁)中山家住宅長屋門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004009
国指定文化財等データベース(文化庁)中山家住宅長屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004010
国指定文化財等データベース(文化庁)中山家住宅塀
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004011
松原市 国登録有形文化財 中山家住宅
https://www.city.matsubara.lg.jp/docs/page3510.html
松原市 松原歴史ウォーク100 国の登録文化財の中山家住宅
https://www.city.matsubara.lg.jp/bunka/work/11/7750.html
松原市文化財情報誌『たじひのだより』No.3(PDF)
https://www.city.matsubara.lg.jp/fs/1/9/9/4/7/2/_/tayori03.pdf

最終更新日: 2026.09.25

基本情報

名称中山家住宅
所在地大阪府松原市別所6-623
所有者個人
指定登録有形文化財 14件
座標34.58906, 135.56467