西山家住宅主屋とは

西山家住宅主屋は、大阪府豊中市岡町南の西山家住宅の敷地北寄りに建つ大正元年(1912年)の木造住宅で、平成30年(2018年)に国の登録有形文化財に登録された。読みは「にしやまけじゅうたくしゅおく」。

構造は木造平屋一部2階建、瓦葺で、建築面積は175平方メートル。北を正面とし、東西に延びる平屋の棟と、その西端に南北に延びる2階建の棟が組み合わさって、平面はL字形になる。登録番号は27-0755である。

西山家が大正元年(1912年)10月に土地付きで買った建売住宅が、この主屋の出発点である。敷地の中では最も古い建物にあたる。

西山家住宅主屋が登録された理由

西山家住宅主屋は、平成30年(2018年)11月2日、登録有形文化財の基準のうち「造形の規範となっているもの」として登録された。

文化庁の解説が評価するのは、間取りの組み立てである。東西棟の平屋は客を迎える接客部、西側の南北棟2階建は家族が暮らす住居部と、役割をはっきり分けている。客の通る道筋と家族の動線が交わらないように整理し、そのうえで数寄屋風の茶室まで備えていた。解説はこれを、近代の郊外住宅の一つの型を示すものと位置づける。

鉄道会社の住宅地に建った俸給生活者向けの小さな家が、30年ほどのあいだに客をもてなせる屋敷へ変わっていった。その結果がいまの西山家住宅主屋の形である。

西山家住宅主屋の見どころ

建売住宅の芯を探す

大正元年(1912年)の契約書には、木造瓦葺2階建の本家1棟、建坪25.5坪(約84平方メートル)、うち2階7.5坪とある。いまの西山家住宅主屋の半分にも満たない大きさで、当初は南北棟だけの家だった。東西棟はあとから継ぎ足されたものである。

豊中市の保存活用計画によれば、建てた当初の形をいまも残すのは、南北棟1階の8畳の和室と、2階の縁側の一部だけである。そのほかは手が入っている。大正2年(1913年)の台所増築、昭和10年(1935年)ごろの2階サンルーム増築、昭和16年から17年(1941〜1942年)に三越大阪支店住宅建築部が手がけた玄関と台所の改築、昭和43年から45年(1968〜1970年)の浴室まわりの改築などが重なっている。増改築の跡を年代ごとに追えるのが、この主屋の面白さである。

二つの屋根の重なり

屋根を見ると、棟ごとの性格の違いが分かる。2階は桟瓦葺の切妻造に片流れの屋根を添え、1階の接客部は一文字瓦を葺いた入母屋造とする。一文字瓦は軒先の瓦の下端を一直線にそろえたもので、軒の線がすっきりと通る。客の目に入る側ほど手をかけた屋根になっている。

縁側から眺める中庭

西山家住宅主屋の南側の縁側からは、重森三玲が昭和15年(1940年)に設計した中庭が見える。3か所の沓脱石を短冊形の石と飛石でつなぎ、目地に白川砂をまく。直線を生かした近代的な意匠で、石垣とモクセイの生垣で南の青龍庭と仕切られている。主屋の縁側は、昭和16年(1941年)に庭の完成に合わせて改築された部分である。

西山家住宅主屋の見学方法

西山家住宅主屋は高塀の内側にあり、内部も含めて常時は公開していない。令和8年(2026年)は高塀とともに修理工事が続いており、豊中市は同年7月4日に修理現場の見学会を開いた。近くで見られるのは、こうした市の催しや見学会に参加したときに限られる(2026年10月2日確認)。

見学の機会があれば、まず北の正門から延びる石敷きの園路の先にある玄関を見て、それから南側の縁側に回り、中庭越しに東西棟と南北棟の屋根の重なりを確かめたい。撮影の扱いは催しごとに案内されるので、申込時に確かめてほしい。西山家住宅への行き方と催しの申し込み方は西山家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q西山家住宅主屋はいつ建てられましたか?
A文化庁のデータベースでは大正元年(1912年)です。西山家はこの年の10月に、岡町住宅地の建売住宅を土地付きで購入しました。その後、昭和期にかけて何度も増改築されています。
Q西山家住宅主屋はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A平屋の接客部と2階建の住居部を分けて動線を整理し、数寄屋風の茶室も備えるなど、近代の郊外住宅の一つの型を示すとして「造形の規範となっているもの」の基準で登録されました。
Q西山家住宅主屋の建てた当初の部分は残っていますか?
A豊中市の保存活用計画によれば、南北棟1階の8畳の和室と2階の縁側の一部が当初の形を残しています。
Q西山家住宅主屋の中に入れますか?
A常時公開はしていません。令和8年(2026年)は修理工事中で、豊中市が開く見学会や催しに参加したときに見学できます(2026年10月2日確認)。
Q西山家住宅主屋から庭は見えますか?
A南側の縁側から、重森三玲が昭和15年(1940年)に設計した中庭を眺められます。中庭の南には名勝の青龍庭が続きます。

基本情報

名称西山家住宅主屋
所在地大阪府豊中市岡町南2丁目13
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成30年(2018年)登録
員数1棟
寸法建築面積175平方メートル(木造平屋一部2階建)
所有者豊中市
公開状況常時は非公開(修理中。市の見学会・催しの際に見学可)

参考文献

西山家住宅主屋(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012582
西山家住宅主屋(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/379967
名勝西山氏庭園(青龍庭)保存活用計画(豊中市教育委員会、2022年)
https://www.city.toyonaka.osaka.jp/jinken_gakushu/bunkazai/keikaku/nishiyamahozonkatuyo.files/nishiyama.pdf
西山家住宅(豊中市)
https://www.city.toyonaka.osaka.jp/jinken_gakushu/bunkazai/touroku_bunkazai/touroku05.html
「国指定名勝 西山氏庭園」主屋・高塀の修理現場見学会を開催しました(豊中市)
https://www.city.toyonaka.osaka.jp/shisetsu/hall/nishiyama/nisiyamakoukai.html

最終更新日: 2026.10.01