ガラス工場の角地に建つ昭和16年の住まい
佐竹ガラス主屋は、大阪府和泉市幸2丁目にある昭和16年(1941年)建築の木造2階建の住宅で、平成13年(2001年)4月24日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「さたけがらすしゅおく」。
昭和2年(1927年)創業の工芸用色ガラス棒メーカー、佐竹ガラスの敷地の南端、道路が交わる角地に建つ。敷地の中には住居と工場が入り混じっており、そのなかで住まいとして建てられたのがこの佐竹ガラス主屋である。屋根は瓦葺の入母屋造、建築面積は275平方メートルで、北西の面には平屋の事務所がつながっている。
文化庁の解説は、この建物を「市中心部」に位置すると記す。工場の煙突や作業棟ではなく、2階建の和風の住まいが町角の顔になっている。敷地の外から佐竹ガラスを見たとき、最初に目に入るのはこの佐竹ガラス主屋である。
登録の理由:6棟のうち1棟だけの「造形の規範」
同じ日に登録された佐竹ガラスの6棟のうち、登録基準の「造形の規範となっているもの」を適用されたのは佐竹ガラス主屋だけである。事務所・溶解場・作業場・調合場・鎮守社の5棟は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。ほかの5棟が屋敷構えの一部として評価されたのに対し、主屋は建物そのものの意匠が評価されたことになる。
評価の中心にあるのは外観の組み立てである。1階の正面は白い漆喰の壁と繊細な縦格子でまとめられ、2階は黒漆喰の壁に虫籠窓を穿つ。平側の虫籠窓には文様があしらわれている。白と黒、開いた格子と塗り込めの壁が上下で対比をなし、それが二つの道路側に向かって現れる。
格子と虫籠窓は、近世以来の町家に見られる要素である。昭和16年という比較的新しい時期に、その語彙を丁寧に踏まえた住まいが工場の傍らに建てられ、以後も住居として使い続けられてきた。和泉市の文化財紹介が、伝統的和風建築の主屋や事務所が工場と一体で維持されている点を貴重だとするのは、この組み合わせを指している。
佐竹ガラス主屋の見どころ
まず1階の格子を近くで見たい。縦の桟が細く、間隔が詰んでいるため、少し離れると白壁の前に薄い膜が掛かったように見える。晴れた日には格子の影が漆喰に細かく落ちる。
次に視線を2階へ上げる。黒漆喰の壁は1階よりも重く、そこに開いた虫籠窓の文様が小さく浮かぶ。文様があしらわれているのは平側、つまり軒の長い側の面である。角地に建つため、正面と平側の両方を一度に視野に収められる位置がある。
屋根は入母屋で、事務所の屋根と棟の向きをそろえている。主屋から事務所へと低くなっていく屋根の連なりも、外から見て取れるこの建物の特徴の一つである。
佐竹ガラス主屋の見学
佐竹ガラス主屋は住まいとして建てられた建物で、内部を一般に公開するという案内は出ていない。角地に建つため、外観は敷地の前の道路から眺めることができる。
佐竹ガラスは操業中の工場であり、工場見学や体験教室も予約制である。予約なしに敷地へ入ることは控え、外観は道路側から見るのがよい。見学や体験で訪れる場合も、主屋の内部が案内に含まれるとは限らない。建物の撮影を考えている場合は、予約の際に可否を確かめておきたい。
Q&A
- 佐竹ガラス主屋はいつ建てられましたか?
- 文化庁の国指定文化財等データベースによると、佐竹ガラス主屋は昭和16年(1941年)の建築です。木造2階建、瓦葺で、建築面積は275平方メートルです。
- 佐竹ガラス主屋はなぜ登録有形文化財に登録されたのですか?
- 佐竹ガラス主屋は、平成13年(2001年)4月24日に登録基準の「造形の規範となっているもの」として登録されました。白漆喰と縦格子の1階、文様入りの虫籠窓を開けた黒漆喰の2階からなる外観が評価されています。
- 佐竹ガラス主屋の中は見学できますか?
- 佐竹ガラス主屋の内部を公開するという案内は出ていません。外観は敷地の前の道路から見ることができます。工場見学や体験教室は予約制なので、建物について知りたいことがあれば予約時に尋ねてください。
- 佐竹ガラス主屋はどこにありますか?
- 佐竹ガラス主屋は大阪府和泉市幸2丁目11-30、佐竹ガラスの敷地の南端の角地に建っています。北西側には同じく登録有形文化財の佐竹ガラス事務所が接続しています。
- 佐竹ガラス主屋の虫籠窓とはどんな窓ですか?
- 虫籠窓は、町家の2階の壁に縦長の格子状の開口を塗り込めてつくる窓です。佐竹ガラス主屋では黒漆喰の2階の平側に設けられ、文様があしらわれています。
基本情報
| 名称 | 佐竹ガラス主屋 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府和泉市幸2丁目11-30 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成13年(2001年)4月24日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造2階建、瓦葺、建築面積275平方メートル |
| 所有者 | 文化庁データベースに記載なし(佐竹ガラス株式会社の敷地内) |
| 公開状況 | 内部公開の案内なし(外観は道路から見学可) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):佐竹ガラス主屋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002154
- 和泉市の文化財紹介(和泉市文化財活性化推進実行委員会):佐竹ガラス
- https://izbun.jp/introduction/shinoda/satakegarasu.html
- 佐竹ガラス株式会社:会社概要・あゆみ
- https://www.satake-glass.com/company/
最終更新日: 2026.09.25