稲荷川第六砂防堰堤とは
稲荷川第六砂防堰堤は、栃木県日光市大字日光字天狗沢・中鈴地先の稲荷川に大正11年(1922年)に築かれた重力式コンクリート造の砂防堰堤で、平成14年(2002年)8月21日に国の登録有形文化財(建造物)に登録された。堤長69メートル、堤高7.3メートルで、所有者は国(国土交通省)である。
稲荷川は二荒山神社の神橋の下流約300メートルで大谷川に合流する。稲荷川第六砂防堰堤はその合流点から約2.8キロメートル上流にあり、稲荷川砂防堰堤群として登録された7基の中で最も下流に位置する。上流323メートルに第四堰堤が続く。登録番号は09-0054で、7基の連番の最初にあたる。
勾配を9.9%から5.4%へ
文化庁の解説は、稲荷川第六砂防堰堤の目的を数字で示している。この区間の川の勾配は9.9%あり、堰堤はそれを5.4%まで緩めることで、河道を安定させ、地盤を落ち着かせ、川沿いの斜面に緑が戻るのを促すとされる。
勾配9.9%は、100メートル進むあいだに川底がおよそ10メートル下がる急さである。堰堤の上流側に砂礫がたまると、たまった土砂の面が新しい川底となり、その傾きは元の川より緩くなる。流れの速さが落ちれば川底や岸が削られにくくなり、崩れていた岸に草木が根付く余地が生まれる。稲荷川第六砂防堰堤は、土砂を止める壁であると同時に、谷の傾きを造り替える装置でもある。
基礎は安山岩の岩盤に置かれ、堤高を抑えた重力式の練積堰堤として築かれた。表面の石積みは他の堰堤と同じ谷積である。日光砂防事務所は、大正11年(1922年)4月9日に施工中の様子を写した写真を公開している。
稲荷川第六砂防堰堤が登録された理由
稲荷川第六砂防堰堤の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。完成から百年を経た今も、勾配を緩めて谷を安定させるという当初の役目を果たし続けており、岩と緑に包まれた谷に溶け込む姿が評価された。
稲荷川第六砂防堰堤の見どころと見学
稲荷川第六砂防堰堤は屋外の砂防施設で、見学料はなく、川沿いの道から外観を見る形になる。堤体に登ることはできない。
下流から堰堤群を歩いてさかのぼると、最初に出会う登録有形文化財がこの第六である。注目したいのは堰堤の上下で変わる川の表情で、下流側では石の多い急な流れが、堰堤の上流側では砂礫のたまった緩やかな川床に変わる。文化庁が示した勾配の変化を、目で確かめられる場所である。流れの落ちる足もとには、基礎となった岩盤の様子にも目を向けたい。堰堤群への行き方は稲荷川砂防堰堤群のページにまとめてある。
Q&A
- 稲荷川第六砂防堰堤はいつ造られましたか?
- 大正11年(1922年)です。日光砂防事務所は、同年4月9日に施工中の写真を公開しています。
- 稲荷川第六砂防堰堤はどこにありますか?
- 日光市大字日光の稲荷川で、大谷川との合流点から約2.8キロメートル上流です。稲荷川砂防堰堤群の7基の中で最も下流にあります。
- 稲荷川第六砂防堰堤は何のために造られたのですか?
- 川の勾配を9.9%から5.4%まで緩め、河道と地盤を安定させて、岸に緑が戻るのを促すためです。文化庁の解説がこの数字を示しています。
- 稲荷川第六砂防堰堤の大きさは?
- 堤長69メートル、堤高7.3メートルです。安山岩の岩盤を基礎とする、堤高を抑えた重力式の練積堰堤です。
- 稲荷川第六砂防堰堤は見学できますか?見学料はかかりますか?
- 川沿いの道から外観を見学でき、見学料はかかりません。現役の砂防施設のため、堤体には登れません。雨の後は増水に注意してください。
基本情報
| 名称 | 稲荷川第六砂防堰堤(いなりがわだいろくさぼうえんてい) |
|---|---|
| 所在地 | 栃木県日光市大字日光字天狗沢・中鈴地先 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成14年(2002年)登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 堤長69メートル、堤高7.3メートル(重力式コンクリート造) |
| 所有者 | 国(国土交通省) |
| 公開状況 | 屋外の砂防施設。川沿いの道から外観を見学できる(見学料なし) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)稲荷川第六砂防堰堤
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002880
- 文化遺産オンライン 稲荷川第六砂防堰堤
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/187610
- 国土交通省関東地方整備局日光砂防事務所 国登録有形文化財・砂防堰堤の歴史
- https://www.ktr.mlit.go.jp/nikko/nikko00038.html
- 土木学会関東支部 日光稲荷川流域の砂防堰堤群
- https://www.jsce.or.jp/branch/kanto/04_isan/h26/h26_3.html
- とちぎの文化財 稲荷川第六砂防堰堤
- https://bunkazai.pref.tochigi.lg.jp/cultural/%E3%80%90%E7%A8%B2%E8%8D%B7%E5%B7%9D%E7%AC%AC%E5%85%AD%E7%A0%82%E9%98%B2%E5%A0%B0%E5%A0%A4%E3%80%91/
最終更新日: 2026.10.01