功運寺とはどんな寺か
功運寺は、東京都中野区上高田にある曹洞宗の寺院で、天正2年(1574年)創建の萬昌院と慶長3年(1598年)創建の功運寺が昭和23年(1948年)に合併した寺であり、境内の山門・鐘楼・庫裏の3棟が平成26年(2014年)に国の登録有形文化財となった。
寺がみずから名乗る名は萬昌院功運寺(ばんしょういんこううんじ)、山号は龍寶山である。文化庁の登録名称と所有者の宗教法人名は「功運寺」で、読みは「こううんじ」。地図や案内では萬昌院功運寺と功運寺の両方の表記が使われているので、どちらで探しても同じ寺に行き着く。所在地は、寺の案内では上高田4-14-1、文化庁のデータベースでは庫裏が4-14-19、山門と鐘楼が4-14-3と書かれている。
功運寺の由緒 ― 二つの寺が上高田で一つになるまで
寺の案内によれば、萬昌院は戦国大名今川義元の子、今川長得が佛照圓鑑禅師を招いて半蔵門の近くに開いた寺である。何度か場所を移したのち、大正3年(1914年)に牛込から中野へ移ってきた。ところが3年後の大正6年(1917年)に本堂が火災で焼けている。
もう一方の功運寺は、徳川家康に仕えた大名永井尚政が、父と祖父の菩提を弔うために黙室芳誾禅師を招き、江戸城桜田門の外に開いた寺である。こちらも移転を重ね、大正11年(1922年)に三田から上高田へ移った。
大正年間にそろって上高田へ移った二つの寺は、戦後の昭和23年(1948年)に合併し、いまの萬昌院功運寺となった。昭和25年(1950年)には境内にまこと幼稚園が開かれ、いまも寺と同じ敷地で子どもたちが過ごしている。
功運寺の登録有形文化財3件
功運寺の3件は平成26年(2014年)10月7日に登録され、登録番号は13-0344(庫裏)、13-0345(鐘楼)、13-0346(山門)と続いている。いずれも登録有形文化財(建造物)で、登録基準は3件とも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。中野区は区内の国登録文化財の一覧に、3棟をひとまとめにして「功運寺庫裏・鐘楼・山門」と載せている。
- 山門:大正3年(1914年)の建築で、平成22年(2010年)に改修。間口3.2メートルの一間高麗門に、左右の袖塀が付く
- 鐘楼:寛延2年(1749年)ごろの建築で、大正3年(1914年)に現在地へ移築。高い石積の基壇に載る方一間の鐘楼で、面積は6.0平方メートル
- 庫裏:大正8年(1919年)の建築。木造平屋建、入母屋造の桟瓦葺で、建築面積は161平方メートル
年代を並べてみると、3棟はどれも萬昌院が上高田へ来た大正3年(1914年)から、功運寺が三田から移ってくる大正11年(1922年)までの間に、この地に建てられたか移されてきたものである。山門の建築と鐘楼の移築は萬昌院の移転と同じ年にあたり、庫裏は本堂が焼けた2年後に建った。登録名称はどれも「功運寺」を冠しているが、合併前の寺の歩みに重ねると、建物の年代の意味が見えてくる。鐘楼をどこから移したのかは、文化庁の解説にも中野区の資料にも書かれていない。
功運寺の境内と墓所
文化庁の解説によれば、功運寺の山門は境内の南を通る参道に開き、庫裏は境内の中央から西寄りに南を向いて建つ。鐘楼は山門と同じ地番に登録されている。参道から山門をくぐって北へ進むと、境内の建物が並ぶ配置である。
功運寺の墓地には、萬昌院が守ってきた吉良上野介義央の墓がある。ほかにも旗本の水野重郎左衛門、浮世絵師の歌川豊国、南蛮外科医の栗崎道有、作家の林芙美子らが眠り、萬昌院の開基につながる今川家、功運寺の開基である永井家の墓所もある。中野区は吉良家四代の墓を平成3年(1991年)4月に、水野重郎左衛門と歌川豊国の墓石を平成6年(1994年)7月に、それぞれ区の登録有形文化財としている。
功運寺への行き方と見学の心得
寺の案内では、功運寺へは東京メトロ東西線の落合駅から歩いて約8分、西武新宿線の新井薬師前駅から約10分、JR中央・総武線と都営大江戸線の東中野駅から約12分である。
功運寺は拝観時間や拝観料を案内しておらず、建物の内部を公開しているという案内も見当たらない。日々の法要や墓参りが営まれる寺で、境内には幼稚園もある。訪ねるなら日中にし、法要や園の妨げにならないよう静かに見学したい。登録された3棟を見に行く前や、墓所にお参りしたいときは、寺(電話03-3387-6321)に問い合わせておくと確実である。写真撮影の可否も寺の案内には書かれていないので、カメラを向ける前に確かめておきたい。
参考文献
- 国指定文化財等データベース「功運寺庫裏」(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010123
- 国指定文化財等データベース「功運寺鐘楼」(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010124
- 国指定文化財等データベース「功運寺山門」(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010125
- 中野区登録文化財・指定文化財一覧(中野区)
- https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kurashi/bunka/bunka/torokubunkazai/torokubunkazai.html
- 平成25年度国登録有形文化財「萬昌院功運寺(庫裏・鐘楼・山門)」「三岸家住宅アトリエ」(中野区)
- https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kurashi/bunka/bunka/torokubunkazai/torokubunkazai.files/shiteir.pdf
- 萬昌院功運寺 歴史(萬昌院功運寺)
- https://makotoyouchien.kids.coocan.jp/kounji/history.html
- 萬昌院功運寺 境内(萬昌院功運寺)
- https://makotoyouchien.kids.coocan.jp/kounji/keidai.html
- 萬昌院功運寺 案内図(萬昌院功運寺)
- https://makotoyouchien.kids.coocan.jp/kounji/access.html
- まこと幼稚園沿革(まこと幼稚園)
- https://makotoyouchien.kids.coocan.jp/makoto/enkaku.html
最終更新日: 2026.10.05
基本情報
| 名称 | 功運寺 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都中野区上高田4-14-3 |
| 所有者 | 宗教法人功運寺 |
| 指定 | 登録有形文化財 3件 |
| 座標 | 35.71214, 139.67839 |