加田家住宅とは

加田家住宅は、和歌山県和歌山市薮ノ丁にある昭和時代初期の和風邸宅で、昭和4年(1929年)上棟の主屋をはじめ、茶室・土蔵・屋敷社など9件が平成19年(2007年)に国の登録有形文化財に登録された。読みは「かだけじゅうたく」で、所在地の町名は文化庁のデータベースでは「薮ノ丁」、和歌山県と和歌山市の文化財サイトでは「藪ノ丁」と書かれている。

和歌山城の天守から南東へ直線でおよそ300メートル、城下の南側に広がる住宅地の一角にある。西を正面とするほぼ長方形の敷地に、表門と塀、主屋、庭園、茶室とその露地、屋敷神の社と鳥居がそろって残る。

母の古稀を祝って建てられた加田家住宅

和歌山県教育委員会の文化財ポータル「わかやまの文化財」によると、加田家住宅は昭和初期に当時の当主が母親の古稀(70歳)を祝って建てた邸宅である。和歌山市の説明では、敷地はもと三宝柑の畑だった。柑橘の畑を宅地に改め、そこへ新しく屋敷を構えたことになる。

工事は2段階で進んだ。まず昭和4年(1929年)に、棟梁の谷口亀三郎と補佐の岡藤次郎が主屋を建てた。その2年後、京都の数寄屋大工である平井儀三郎と笛吹嘉一郎の手で、茶室の不老庵と暁月亭が完成している。茶室を平井儀三郎が手がけたことは、県のポータルによれば棟札から判明した。文化庁の解説は、平井を表千家と関わりのある数寄屋大工として紹介している。

県のポータルは、加田家住宅の9件がいずれも上質な造りで、全体がきわめて良好に維持管理されている点にも触れている。建てられてから80年近くを経た平成19年(2007年)の登録時にも、昭和初期の屋敷の構えがほぼそのまま残っていた。

加田家住宅の9件と登録

加田家住宅の9件は平成19年(2007年)5月15日付でそろって登録有形文化財となり、登録番号は30-0103から30-0111まで続く。登録基準は茶室だけが「再現することが容易でないもの」、ほかの8件は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁のデータベースに載る年代と規模は次のとおり。

  • 主屋:昭和4年(1929年)。木造平屋建、瓦葺、建築面積266㎡
  • 土蔵:昭和6年(1931年)。土蔵造2階建、瓦葺、建築面積20㎡
  • 茶室:昭和6年(1931年)。木造平屋建、瓦葺、建築面積46㎡
  • 腰掛待合:昭和時代初期。木造平屋建、瓦葺、建築面積6.7㎡、雪隠付
  • 露地門:昭和時代初期。木造、杉皮葺、間口1.0m
  • 社:昭和時代初期。木造平屋建、銅板葺、建築面積1.1㎡
  • 鳥居:昭和6年(1931年)。石造、高さ2.2m、幅1.7m
  • 表門:昭和時代初期。木造、瓦葺、間口2.2m、潜戸付
  • 塀:昭和時代初期。煉瓦造、瓦葺、総延長31m

登録年月日について、和歌山県教育委員会と和歌山市の登録有形文化財一覧には「平成19年9月15日」とあるが、文化庁のデータベース、県の文化財ポータル、市の個別解説はいずれも5月15日としている。このサイトでは文化庁のデータベースに従った。

加田家住宅の屋敷構え

加田家住宅の表は西の道路側にある。敷地の西辺のほぼ中央に表門が立ち、その左右から煉瓦造の塀が延びる。塀の外側には地元産の青石が貼られ、道に面した長い石積のように見える。

表門を入った先、敷地の中央に主屋が建つ。主屋の正面の北寄りには土蔵が置かれ、主屋の座敷は庭園に面して雁行形に並ぶ。庭園の奥、主屋の後方には茶室があり、その間の露地に腰掛待合が、茶室の暁月亭の前には露地門が立つ。露地門と腰掛待合は、茶会の客を主屋の側から茶室へ導く露地を形づくっており、茶の湯のための空間が住まいの奥に組み込まれている。

敷地の北東の隅には石積の基壇があり、その上に屋敷神の社が祀られ、前に石の鳥居が立つ。住まい、蔵、茶の空間、祀りの場が1つの敷地にまとまっているのが加田家住宅の構成である。各棟の造りと見どころは、それぞれのページにまとめた。

加田家住宅の見学とアクセス

加田家住宅は個人が所有する住宅である。文化庁、和歌山県、和歌山市の資料には公開日や見学の受付についての記載がなく、内部と庭は一般に公開されていない。訪ねる場合は敷地に立ち入らず、外から眺めるにとどめたい。道路に面しているのは西側の表門と塀なので、見るなら西側の道からになる。撮影する際も、住む人の暮らしへの配慮を忘れないようにしたい。

最寄りの目印は和歌山城である。和歌山城の公式サイトによれば、JR和歌山駅から和歌山城方面のバス(0系統・25系統など)に乗り、「和歌山城前」(旧称「公園前」)で降りる。乗車は10分ほど。南海和歌山市駅からは城まで歩いて約15分かかる。加田家住宅は城の天守から南東へおよそ300メートルの住宅地にあり、番地は薮ノ丁6である。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)加田家住宅主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006154
国指定文化財等データベース(文化庁)加田家住宅土蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006161
国指定文化財等データベース(文化庁)加田家住宅茶室
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006162
国指定文化財等データベース(文化庁)加田家住宅腰掛待合
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006187
国指定文化財等データベース(文化庁)加田家住宅露地門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006215
国指定文化財等データベース(文化庁)加田家住宅社
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006212
国指定文化財等データベース(文化庁)加田家住宅鳥居
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006216
国指定文化財等データベース(文化庁)加田家住宅表門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006213
国指定文化財等データベース(文化庁)加田家住宅塀
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006214
わかやまの文化財(和歌山県教育庁文化遺産課)加田家住宅
https://wakayama-bunkazai.jp/bunkazai/bunkazai-spot-341/
和歌山市の文化財 加田家住宅(主屋、土蔵、腰掛待合、茶室、露地門、社、鳥居、表門及び塀)
https://wakayamacity-bunkazai.jp/shitei/537/
和歌山県教育委員会 国登録有形文化財(一覧)
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/500700/mokuroku/d00155458.html
史跡和歌山城 交通アクセス
https://wakayamajo.jp/access/

最終更新日: 2026.10.01

基本情報

名称加田家住宅
所在地和歌山県和歌山市薮ノ丁6
指定登録有形文化財 9件
座標34.22531, 135.17387