中筋家住宅主屋とは

中筋家住宅主屋は、和歌山県和歌山市禰宜の和佐地区にある中筋家の屋敷の中心となる住まいで、明治20年(1887年)に建てられ、平成10年(1998年)12月11日に国の登録有形文化財に登録された。木造平屋建、桟瓦葺の大きな民家である。

中筋家は、和佐組の大庄屋だった中筋家から安政年間(1854〜1860年)に分かれた家で、主屋は分家からおよそ30年を経た明治中期の建物にあたる。建築面積は205平方メートル。同じ屋敷で登録されたほかの4棟を合わせても153平方メートルなので、主屋1棟がそれを上回る。

屋敷の東側、県道に面した長屋門をくぐった奥に建ち、敷地の中ほどを占める。外まわりを長屋門や蔵が囲み、その内側に主屋が構えるという配置である。

登録の理由と価値

中筋家住宅主屋の登録基準は「再現することが容易でないもの」である。同じ屋敷のほかの4棟はいずれも景観への寄与を理由に登録されており、この基準によったのは主屋だけになる。評価の中心は、建物そのものに使われた材料と技術にある。

文化庁の解説は、せいの高い差鴨居や桜材の座敷縁など、良材をふんだんに用い、高度な技能でつくられた建物だと述べる。差鴨居は、柱と柱の間に渡して建具を受けるとともに、上からの荷重も支える太い横材である。「せい」は材の高さを指し、せいの高い材ほど柱を立てずに広い間口を支えられる。座敷の前の縁には、硬く木目の詰んだ桜材が張られている。

大庄屋の本家から分かれた家が、明治中期にこれだけの材をそろえて平屋の大きな主屋を建てたことは、当時の中筋家が地域で保っていた家の格をうかがわせる。

見どころ

中筋家住宅主屋は内部が公開されていないため、差鴨居や座敷縁を実際に見る機会はない。見どころは、屋敷全体のなかでの主屋の置かれ方にある。

東の長屋門、北の離れ座敷及び東蔵と西蔵が外周を固め、主屋はそれらに守られるように内側に構える。外まわりの4棟が景観への寄与で登録され、主屋だけが建物の質で登録されたのは、この配置と対応している。道から見えるのは外郭の建物であり、屋敷の中心はその奥にある。

規模の差も大きい。主屋の205平方メートルに対し、長屋門は50平方メートル、もっとも小さい便益棟は11平方メートルである。屋敷の建物のなかで、住まいとしての重みが主屋にどれだけ集まっていたかが数字からも読み取れる。

見学方法

中筋家住宅主屋は個人の住まいで、内部も敷地も公開されていない(2026年9月26日確認)。主屋は長屋門の内側に建つため、道から建物の姿を見ることはほとんどできない。

門の内側をのぞき込んだり、窓へレンズを向けたりするのは控えたい。

屋敷への行き方と見学の条件は、中筋家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q中筋家住宅主屋はいつ建てられましたか。
A明治20年(1887年)です。平成10年(1998年)12月11日に登録有形文化財に登録されました。
Q中筋家住宅主屋は見学できますか。
Aできません。個人の住まいで、内部も敷地も非公開です。主屋は長屋門の内側に建つため、道からもほとんど見えません(2026年9月26日確認)。
Q中筋家住宅主屋と旧中筋家住宅はどう違うのですか。
A旧中筋家住宅は和佐組の大庄屋を務めた本家の屋敷で、中筋家住宅はそこから安政年間に分かれた家の屋敷です。別の建物で、本家の屋敷は北へ300メートル足らずの位置にあります。
Q中筋家住宅主屋はなぜ登録有形文化財になったのですか。
A「再現することが容易でないもの」として登録されました。文化庁は、せいの高い差鴨居や桜材の座敷縁など、良材を用いて高度な技能でつくられた点を評価しています。
Q中筋家住宅主屋の広さはどのくらいですか。
A木造平屋建で、建築面積は205平方メートルです。同じ屋敷で登録されたほかの4棟の合計153平方メートルを1棟で上回ります。

基本データ

名称中筋家住宅主屋(なかすじけじゅうたくしゅおく)
所在地和歌山県和歌山市禰宜316
指定区分登録有形文化財(建造物) 登録番号 30-0021
指定年平成10年(1998年)12月11日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積205平方メートル
所有者個人
公開状況非公開(内部・敷地とも)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) 中筋家住宅主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001000
文化遺産オンライン 中筋家住宅主屋
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/185730
和歌山県教育庁「わかやまの文化財」 中筋家住宅
https://wakayama-bunkazai.jp/bunkazai/bunkazai-spot-375/

最終更新日: 2026.09.26