天満神社の末社2棟とは
天満神社の末社2棟は、和歌山県和歌山市和歌浦の天満神社(和歌浦天満宮)の境内にある慶長年間(1596〜1615年)の小さな本殿2棟、末社多賀神社本殿と末社天照皇太神宮豊受大神宮本殿で、昭和49年(1974年)に「天満神社」の名で1件2棟として国の重要文化財に指定された。
末社は本社に付属してまつられる小さな社をいう。天満神社の2棟は、本殿の東側後方に建てられた覆屋の中に並んで納まっている。多賀神社本殿は一間社春日造、天照皇太神宮豊受大神宮本殿は二間社流造で、どちらも屋根は檜皮葺である。天照皇太神宮・豊受大神宮は伊勢の内宮と外宮の名で、その2社を1棟にあわせてまつる。
読みは、文化庁が「てんしょうこうたいじんぐう」、和歌山市が「あまてらすこうたいじんぐう」とし、資料によって異なる。
天満神社の末社2棟が重要文化財である理由
建立年を記した資料はない。和歌山市によれば、様式と手法から、浅野幸長による慶長の社殿再興の際に建てられたものとみられる。神社の伝えでは、末社の創立は分からず、平安時代から鎮座していたともいわれ、慶長に本殿を再興したときに今の場所へ移されたという。
文化庁の解説は、天満神社の末社2棟について、どちらも小規模で形式は異なるが細部はよく似ており、装飾が豊かで地域的な特色を備えた遺構として重要だとしている。同じころに建てられた本殿と楼門が先に重要文化財となっていたことにも触れ、境内の慶長の建物群を補う形で昭和49年(1974年)5月21日に指定が加わった。
形式の書き方には食い違いがある。文化庁データベースの構造欄と和歌山市は天照皇太神宮豊受大神宮本殿を二間社流造とするが、同じデータベースの解説文は「二間社春日造」と書く。ここでは構造欄と市の記述に従った。
天満神社の末社2棟の見どころ
2棟の違いは屋根の向きに出る。多賀神社本殿の春日造は、妻(三角の側)を正面に向け、そこに庇を付ける形。天照皇太神宮豊受大神宮本殿の流造は、平側を正面にして前の屋根を長く流し、そのまま庇とする形である。並べて見ると、正面の屋根の線が一方は山形、もう一方はなだらかな斜面になる。
和歌山市が挙げる見どころは細部にある。2棟とも土台の上に建ち、正面に浜縁を設ける。蟇股や、庇の柱の上に付く象鼻(象の頭をかたどった木鼻)に、当時としては進んだ手法がみられるという。文化庁も、小さな建物ながら装飾が豊かであることを評価している。
形式が違うのに細部がよく似ている、という文化庁の指摘を手がかりに見比べたい。屋根の形を見分けたら、次は蟇股や象鼻の彫りに目を移し、2棟に共通する手法を探すと、慶長再興の工事で一緒に建てられたという見方にも実感がわく。
天満神社の末社2棟の見学
天満神社の末社2棟は覆屋の中にあるため、建物は覆屋の外から見ることになる。覆屋の内部への立ち入りや特別公開の案内は出ていない。
撮影について神社は案内を出していない。末社にお参りする人の前をふさがないよう、少し下がって眺めたい。境内への行き方と参拝時間は天満神社(和歌山市)のページにまとめた。
Q&A
- 天満神社の末社2棟とは何ですか?
- 本殿の東側後方の覆屋に並ぶ、末社多賀神社本殿と末社天照皇太神宮豊受大神宮本殿の2棟です。「天満神社」の名で1件2棟として重要文化財に指定されています。
- 天満神社の末社2棟はいつ建てられましたか?
- 建立年の記録はありませんが、様式から慶長年間(1596〜1615年)、浅野幸長による社殿再興のときのものとみられています。
- 天満神社の末社2棟が重要文化財になったのはいつですか?
- 昭和49年(1974年)5月21日です。本殿(大正5年=1916年)と楼門(昭和10年=1935年)より後の指定です。
- 天満神社の末社2棟の形式は?
- 多賀神社本殿が一間社春日造、天照皇太神宮豊受大神宮本殿が二間社流造で、どちらも檜皮葺です。文化庁の解説文だけは後者を二間社春日造と書いています。
- 天満神社の末社2棟は近くで見られますか?
- 覆屋の中にあるため、覆屋の外から眺める形になります。内部への立ち入りや特別公開の案内はありません。境内の参拝は午前8時から午後5時までで無料です。
基本情報
| 名称 | 天満神社(末社多賀神社本殿、末社天照皇太神宮豊受大神宮本殿) |
|---|---|
| 所在地 | 和歌山県和歌山市和歌浦(神社の住所は和歌浦西2-1-24) |
| 指定区分 | 重要文化財(建造物) |
| 指定年 | 昭和49年(1974年)5月21日 |
| 員数 | 2棟 |
| 寸法 | 多賀神社本殿 正面1間、天照皇太神宮豊受大神宮本殿 正面2間 |
| 所有者 | 天満神社 |
| 公開状況 | 境内は午前8時から午後5時まで参拝自由(無料)、覆屋の外から見学 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):天満神社 末社多賀神社本殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2820
- 国指定文化財等データベース(文化庁):天満神社 末社天照皇太神宮豊受大神宮本殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2821
- 文化遺産オンライン:天満神社 末社多賀神社本殿
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/123827
- 文化遺産オンライン:天満神社 末社天照皇太神宮豊受大神宮本殿
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/146518
- 和歌山市の文化財:天満神社 末社多賀神社本殿、末社天照皇太神宮・豊受大神宮本殿
- https://wakayamacity-bunkazai.jp/shitei/5523/
- 和歌浦天満宮:歴史
- https://wakauratenmangu.jp/history.html
最終更新日: 2026.10.04
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