窓を持たない醸造蔵

樽平酒造西蔵は、山形県東置賜郡川西町大字中小松にある造り酒屋の酒蔵で、明治後期に建てられ、平成9年(1997年)11月5日に国の登録有形文化財となった。読みは「たるへいしゅぞうにしぐら」、登録番号は06-0013。

構造は土蔵造の平屋建、屋根は鉄板葺きで、建築面積は205平方メートル。中蔵の北の端で、東蔵と向かい合うように建っている。

文化庁の解説によれば、内部には東蔵と同じく醸造タンクが収められている。明治に建て足された蔵が、江戸時代の中蔵・東蔵と組になって、いまも醸造の一角を受け持っている。

登録の理由―中蔵と並ぶ造形の規範

樽平酒造西蔵は、中蔵とともに「造形の規範となっているもの」の基準で登録された。7棟のうちこの基準が使われたのは2棟だけで、残る5棟は景観への寄与による登録である。

解説が挙げる特徴は2つある。中蔵と比べると建ちがやや低いこと、そして壁面に開口部を設けていないことである。窓も戸口も表に見せない白い壁面は、外光や外気を遮って中の温度を安定させたい醸造蔵には、理にかなった形である。

解説は、中蔵・東蔵と並んで土蔵造醸造施設の好例であると結んでいる。1棟の出来だけでなく、3棟がひと続きの醸造施設として残っていることが、評価の前提になっている。

見どころ―中蔵との高さの差

樽平酒造西蔵を見るときは、隣の中蔵と比べたい。解説のいう建ちの低さは、2棟の軒の高さを見比べると分かる。

壁面に開口部がないため、立面は白い面と屋根の線だけで構成される。装飾に頼らない、蔵本来の形がよく出ている。

向かいの東蔵は通りに妻を見せる蔵で、西蔵は敷地の奥にある。同じく醸造タンクを収めながら、町に向けた顔を持つ蔵と、ひたすら内側の仕事に徹する蔵という対照がある。

樽平酒造西蔵の見学

樽平酒造西蔵は現役の醸造蔵で、自由には入れない。内部は樽平酒造の酒蔵見学(平日午後・要予約)で案内される範囲に限られ、どの蔵に入るかは予約時に確かめたい。

敷地の奥にあるため、国道からは見えにくい。蔵内での撮影は、見学の際に案内者の指示に従いたい。行き方は樽平酒造のページにまとめてある。

Q&A

Q樽平酒造西蔵はいつ建てられたのですか?
A文化庁のデータベースでは明治後期の建築とされています。
Q樽平酒造西蔵の特徴は何ですか?
A壁面に開口部を設けていないことと、中蔵よりやや建ちが低いことです。内部には醸造タンクが収められています。
Q樽平酒造西蔵はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A中蔵・東蔵と並ぶ土蔵造醸造施設の好例とされ、「造形の規範となっているもの」の基準で平成9年(1997年)11月5日に登録されました。
Q樽平酒造西蔵は通りから見えますか?
A中蔵の北の端、敷地の奥にあるため、国道からは見えにくい位置です。
Q樽平酒造西蔵の中は見学できますか?
A自由には入れません。平日午後の予約制の酒蔵見学で、案内される範囲に限って見られます。

基本情報

名称樽平酒造西蔵(たるへいしゅぞうにしぐら)
所在地山形県東置賜郡川西町大字中小松2960
指定区分登録有形文化財(建造物)、登録番号06-0013
指定年平成9年(1997年)11月5日登録
員数1棟
寸法土蔵造平屋建、鉄板葺、建築面積205平方メートル
所有者樽平酒造株式会社
公開状況敷地の奥にあり通りからは見えにくい。内部は酒蔵見学(平日午後・要予約)で案内される範囲のみ

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):樽平酒造西蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000325
川西町:樽平酒造と掬粋巧芸館
https://www.town.kawanishi.yamagata.jp/kyoiku/bunka/taruhei.html
日本酒造組合中央会 酒蔵検索:樽平酒造(株)
https://japansake.or.jp/sakagura/jp/yamagata/taruhei-shuzou/

最終更新日: 2026.09.26