善行寺太鼓楼とはどのような建物か

善行寺太鼓楼は、愛知県名古屋市中川区愛知町の真宗大谷派安井山善行寺にある太鼓を納めた楼で、江戸時代後期の建立とされ、平成30年(2018年)5月10日に登録有形文化財(建造物)に登録された。登録番号は23-512である。

山門の北東方に建つ。木造平屋一部3階建、屋根は瓦葺、建築面積は50平方メートル。東西を棟の方向とする切妻造の屋根の、中央よりやや西寄りに、方一間の宝形造の楼を載せ、四周に下屋を回している。

形を言葉で追うと分かりにくいが、実物は理解しやすい。横に長い切妻屋根があり、そこから小さな四角錐の屋根をもつ塔が一つ突き出している。突き出す位置が中央ではなく西へずれている。この非対称が善行寺太鼓楼の外形の特徴になっている。

太鼓楼が浄土真宗の寺院にある意味

文化庁の国指定文化財等データベースが記録する善行寺太鼓楼の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。寺の解説はさらに踏み込み、浄土真宗寺院の伽藍構成を特徴づける太鼓楼として貴重だとしている。

太鼓楼は、太鼓を納めて時を告げ、法要の開始などを知らせる建物である。鐘楼が鐘を吊るのに対し、太鼓楼は太鼓を据える。真宗の寺院では、鐘楼と並んで境内の構成要素として位置づけられてきた。善行寺の境内に鐘楼と太鼓楼が両方あるのは、この伽藍のかたちを備えているということになる。

音を出す設備が二種類あることには実務的な意味もある。鐘と太鼓では音色も届く距離も違う。寺の外へ広く時を知らせるのと、境内にいる人へ合図を送るのとでは、必要な音が同じではない。善行寺太鼓楼が本堂ではなく山門寄りに置かれているのも、音の届き方と無関係ではないだろう。

納屋だった一階と、楼へ上がる痕跡

善行寺太鼓楼で最も面白いのは、上と下で用途が違っていたことである。寺の解説によれば、内部は後世に居室化されているが、もとは納屋であり、西半には中二階と楼への上り口が残っている。

つまりこの建物は、上部が時を告げる楼、下部が物を納める納屋という二重の役割を担っていた。信仰の設備と日常の設備が一棟に同居している。寺の建物というと本堂や山門のような表向きの施設を思い浮かべやすいが、寺は生活の場でもあり、米や道具を置く場所を必要とする。善行寺太鼓楼は、その両方の需要を一棟で満たしていた。

「木造平屋一部3階建」という文化庁の記載も、この構成の反映である。下屋を回した平屋の本体に対し、楼の部分だけが3階の高さに達する。用途の違いが、そのまま断面の高さの違いになっている。

外から見るときは、切妻屋根のどのあたりから楼が立ち上がっているかを確かめたい。西へ寄っているのは、西半に中二階と上り口があるという内部の構成に対応する。外形の非対称は、内部の使い分けが表に出たものと読める。

見学方法とアクセス

善行寺太鼓楼は境内に建ち、外観は近くから見ることができる。公式サイトによれば、墓地と納骨堂への参拝は午前8時から午後5時までであれば予約なしで可能である。内部は居室化されており、公開の案内は出ていない。

拝観料の定めは公式サイトに示されていない。撮影の可否についても明示された規定はないため、判断に迷う場合は寺務所に確認したい。電話は052-351-5000、対応時間は平日の午前10時から午後5時までである。

最寄り駅は近鉄名古屋線の黄金(こがね)駅で、徒歩約9分。名古屋駅からはタクシーで約9分である。車では名古屋高速5号万場線の黄金インターチェンジから約4分、駐車場は10台分ある。周辺の道路が一方通行になっていると寺は注意を促している。

山門をくぐって右手奥に進むと善行寺太鼓楼にたどり着く。7月の大相撲名古屋場所の時期には境内の東側に稽古用の土俵が置かれるため、この一角の見通しは普段と変わる。

Q&A

Q善行寺太鼓楼はいつ建てられましたか。
A文化庁の国指定文化財等データベースは年代を江戸時代後期としており、西暦では1751年から1830年の範囲を示しています。昭和前期に改修が加えられました。
Q善行寺太鼓楼はどのような建物ですか。
A木造平屋一部3階建、瓦葺で、建築面積は50平方メートルです。東西棟の切妻造の屋根の中央より西寄りに、方一間の宝形造の楼を載せ、四周に下屋を回しています。楼の部分だけが3階の高さに達します。
Q善行寺太鼓楼の内部は見学できますか。
A内部は後世に居室化されており、公開の案内は出ていません。外観は境内から見ることができ、公式サイトは墓地と納骨堂への参拝を午前8時から午後5時までとしています。内部について知りたい場合は電話052-351-5000(平日の午前10時から午後5時)で相談してください。
Q善行寺太鼓楼と鐘楼はどう違うのですか。
A太鼓楼は太鼓を納めて時や法要の合図を知らせる建物、鐘楼は梵鐘を吊る建物です。善行寺には両方があり、太鼓楼は山門の北東方、鐘楼は本堂の南西方に位置します。寺の解説は、太鼓楼を浄土真宗寺院の伽藍構成を特徴づけるものとしています。
Q善行寺太鼓楼へのアクセス方法を教えてください。
A近鉄名古屋線の黄金駅から徒歩約9分です。名古屋駅からはタクシーで約9分。車では名古屋高速5号万場線の黄金インターチェンジから約4分で、駐車場は10台分あります。山門をくぐって右手奥へ進んだ位置に建っています。

基本データ

名称善行寺太鼓楼(ぜんぎょうじたいころう)
所在地愛知県名古屋市中川区愛知町4132
指定区分登録有形文化財(建造物)/登録基準「国土の歴史的景観に寄与しているもの」
指定年平成30年(2018年)5月10日登録 登録番号23-512
員数1棟
寸法木造平屋一部3階建、瓦葺、建築面積50平方メートル
所有者宗教法人善行寺
公開状況境内は午前8時から午後5時まで参拝可能。内部は居室化されており公開の案内なし

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「善行寺太鼓楼」
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012373
文化庁「登録有形文化財登録基準」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei_kijun.html
名古屋市「国登録文化財」
https://www.city.nagoya.jp/kankou/rekishi/1017268/1034462/1017208.html
真宗大谷派 安井山 善行寺「善行寺について」
https://zengyoji.or.jp/about/
真宗大谷派 安井山 善行寺 公式サイト(アクセス・よくあるご質問)
https://zengyoji.or.jp/

最終更新日: 2026.08.31