いちばん短い一基
旧北陸線のトンネルのなかで、鮒ヶ谷トンネルは最短級にあたり、直線状にわずか約64メートルを通すのみである。所在は敦賀市阿曽、葉原トンネルの北およそ1.1キロメートル。短さこそがこの隧道の魅力でもある。長大トンネルが闇と反響のものであるのに対し、ここはほとんど一目で把握でき、それゆえ構造を観察しやすい。
どう築かれたか
断面は路線共通の、単線仕様の馬蹄形。覆工は標準的な材の分担に従い、切石の側壁に煉瓦のアーチを架ける。ここではアーチを長手積とし、曲面に沿って煉瓦の長い面を見せる。探しておきたい細部は北坑門である。その頂部は水平に切らず、上方の斜面に合わせて傾斜させてある。小さな調整だが、標準設計を地形の実際に合わせた工夫であり、坑門に控えめながら独自の輪郭を与えている。
価値と見学
鮒ヶ谷は2016年、路線の他構造物とともに登録され、国土の歴史的景観への寄与が評価された。その価値は、短く良く築かれた一基が、馬蹄形断面から傾斜する坑門頂部まで、明治の鉄道隧道の標準的な細部を明快に読ませてくれる点にある。
敦賀市が所有し、旧線に沿う単線幅の道路上にある。短く直線状のため光は通り抜けるが、注意事項は同じである。対向車に気を配り、前照灯を点け、補修による区間閉鎖があるため通行可否を確認してほしい。
Q&A
- 鮒ヶ谷トンネルはどれくらい短いのですか。
- 約64メートルで、旧北陸線でも最短級です。直線状のため、光が通り抜けます。
- 坑門で何を見ればよいですか。
- 北坑門は、頂部を水平に切らず上方の斜面に合わせて傾斜させています。小さいながらも意図された、この一基を特徴づける造作です。
- 長手積とは何ですか。
- 煉瓦の長い面を見せる積み方です。このトンネルの煉瓦アーチは、切石の側壁の上にこの長手積で架けられています。
- 場所と所有者は。
- 敦賀市阿曽、葉原トンネルの北約1.1キロメートルにあり、敦賀市が所有します。2016年に登録有形文化財となりました。
基本情報
| 名称 | 旧北陸線鮒ヶ谷トンネル |
|---|---|
| 所在地 | 福井県敦賀市阿曽 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) 2016年(平成28年)2月25日登録 |
| 登録番号 | 18-0145 |
| 年代 | 明治28年頃(1895年頃) |
| 構造・形式 | 石造及び煉瓦造 延長64m、幅員4.1m |
| 所有者 | 敦賀市 |
| アクセス | 旧北陸線跡(単線幅の公道)沿い。前照灯を点けること。訪問前に通行状況を確認のこと |
参考資料
- Agency for Cultural Affairs, National Cultural Properties Database — Funagaya Tunnel
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00010953
- Tsuruga City Tourism Association — Former Hokuriku Line Tunnels
- https://tsuruga-kanko.jp/spot/history_culture/hokuriku-line-tunnel/
- Fukui Prefecture Official Travel Guide (Fuku-e.com)
- https://www.fuku-e.com/spot/detail_1640.html
最終更新日: 2026.07.09