旧甲斐家住宅店蔵とは

旧甲斐家住宅店蔵は、福島県喜多方市字一丁目の熱塩街道に面して建つ大正12年(1923年)完成の土蔵造2階建の店舗で、平成13年(2001年)に登録有形文化財に登録された。

醸造業を営んだ甲斐家が商いの顔として街道沿いに構えた見世蔵で、建築面積は103平方メートル、屋根は瓦葺である。1階に店舗と応接間、2階に座敷を置き、上下の階を螺旋状の階段でつないでいる。屋敷の東端にあたり、北隣から東塀が延び、南には表門が棟の通りをそろえて並ぶ。店蔵の背後には主屋が続いている。

甲斐家は江戸期には酒造業を営み、明治以後は味噌・醤油の醸造に転じた。旧甲斐家住宅店蔵は四代目吉五郎が蔵座敷・主屋・庭と同時に建てたもので、喜多方市が公開する建築当初の写真にも、現在と同じ街道側の外観が写っている。

登録の理由 ― 再現の難しい職人仕事

旧甲斐家住宅店蔵は「再現することが容易でないもの」という基準で登録された。文化庁の解説は、立ちの高い総2階の構えと、2階の軒を大きく持ち出した重厚な外観を挙げ、2階の窓まわりなど細部に精巧な仕事が見られるとしている。

土蔵造の店蔵は、厚い土壁を幾層にも塗り重ねてつくる。窓まわりの段や軒下の繰形は左官がこての仕事で形を出すもので、同じ水準の手間をいま再び掛けるのは難しい。喜多方市が保存修理を建築当初の工法に沿って進め、大工や左官の技術継承の場とも位置づけているのは、この建物の価値がそうした手仕事にあるからである。

登録日は平成13年(2001年)10月12日で、同じ日に醤油蔵も登録された。

見どころ ― 螺旋階段と2階の軒

旧甲斐家住宅店蔵の内部でよく知られるのが、1階と2階をつなぐ螺旋状の階段である。直線の箱階段を据えることの多い蔵造りの店舗では珍しく、限られた床面積で上り下りの動線を収める工夫とも読める。

街道から見上げると、2階の軒が深く張り出し、背の高い黒い壁面にくっきりした影を落とす。窓の扉や外まわりの飾りは、細部まで手を抜かない仕上げとして知られる。喜多方市は店蔵を「和洋折衷の意匠を取り入れた」建物と紹介しており、1階の応接間は洋風の内装でまとめられている。

休館前は観光案内所として使われ、来訪者が最初に足を踏み入れる建物だった。

旧甲斐家住宅店蔵の見学方法

旧甲斐家住宅店蔵は街道に面しているため、休館中でも外観は道路から眺められる。正面は東向きで、午前中に街道の東側から見ると壁面に光が当たり、2階の軒の出がよく分かる。工事の段階によっては足場や養生シートで覆われていることがある。

内部は令和5年(2023年)4月から保存修理工事のため公開を休止しており、2025年には構造補強の工事が行われた。螺旋階段を含む内部を見られるのは年1回程度の特別公開の機会で、次回は令和9年(2027年)3月の予定である。屋敷への行き方と工事の予定は旧甲斐家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q旧甲斐家住宅店蔵はいつ建てられましたか?
A大正12年(1923年)に完成しました。四代目甲斐吉五郎が蔵座敷・主屋・庭とあわせて建てたものです。
Q旧甲斐家住宅店蔵の中には入れますか?
A令和5年(2023年)4月から保存修理工事のため休館中で、通常は入れません。年1回程度の特別公開があり、次回は令和9年(2027年)3月の予定です。
Q旧甲斐家住宅店蔵の外観は休館中でも見られますか?
A見られます。熱塩街道に面しているので、道路から正面の外観を眺められます。工事の時期によっては足場や養生シートで一部が隠れることがあります。
Q旧甲斐家住宅店蔵の螺旋階段とは何ですか?
A1階の店舗・応接間と2階の座敷を結ぶ螺旋状の階段で、文化庁の解説にも記されています。蔵造りの店舗では珍しい造りです。
Q旧甲斐家住宅店蔵はなぜ登録有形文化財なのですか?
A「再現することが容易でないもの」として登録されました。立ちの高い外観、大きく張り出した2階の軒、2階の窓まわりの精巧な細部が評価されています。

基本情報

名称旧甲斐家住宅店蔵
所在地福島県喜多方市字1-4611
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成13年(2001年)登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積103㎡
所有者喜多方市
公開状況外観は道路から見学可。2023年から保存修理工事のため休館中(工事は2030年度まで予定)

参考文献

旧甲斐家住宅店蔵(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002351
旧甲斐家住宅店蔵(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/139621
旧甲斐家蔵住宅とは(喜多方市)
https://www.city.kitakata.fukushima.jp/site/kyukaike/57980.html
旧甲斐家蔵住宅の保存修理工事を行っています。(喜多方市)
https://www.city.kitakata.fukushima.jp/site/kyukaike/57982.html
旧甲斐家蔵住宅の復活に力を貸してください!(喜多方市)
https://www.city.kitakata.fukushima.jp/site/kyukaike/63259.html
旧甲斐家蔵住宅(ふくしまの旅/福島県観光物産交流協会)
https://www.tif.ne.jp/jp/entry/article.html?spot=6311

最終更新日: 2026.10.01