旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵とは

旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵は、福島県喜多方市字一丁目にある明治後期(1898〜1912年)建築の土蔵造の醸造蔵で、令和3年(2021年)に登録有形文化財に登録された。

味噌を貯える2階建の味噌蔵と、麹を育てる平屋の麹蔵が柱と壁を共有して一棟になったもので、登録上の員数は1棟、建築面積は105平方メートルである。屋根は切妻造桟瓦葺。屋敷の南西角にあって裏門の南に連なり、敷地の外郭の一部をなしている。

旧甲斐家住宅の10件のうち、大正の大普請より前にさかのぼる唯一の建物である。甲斐家は三代目吉五郎のときに麹づくりで繁盛し、四代目が味噌・醤油の醸造を始めたと伝わる。旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵は、その家業の移り変わりの時期に建てられた蔵ということになる。

登録の理由 ― 用途に応じて造り分けた2つの蔵

旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準で登録された。文化庁の解説は、窓の多い2階建の味噌蔵と、窓が少なく越屋根を載せた平屋の麹蔵が柱と壁を共有すること、窓まわりに洋風の意匠を凝らしていることを挙げている。

窓の数の違いは用途の違いから来ている。麹は温度と湿り気を一定に保って菌を育てるため、外気の出入りを絞り、屋根の上に越屋根を設けて熱と湿気を抜く。一方の味噌蔵は2階建で開口が多く、貯蔵と出し入れのしやすさを優先した造りと読める。一つの外壁の内側で、2つの工程の条件を造り分けている。

見どころ ― 越屋根と洋風の窓まわり

旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵を外から見るときは、屋根の稜線に注目したい。平屋の麹蔵の屋根に一段高く載る越屋根が、隣の2階建の味噌蔵との高さの差とともに輪郭をつくる。

窓まわりには洋風の意匠が施されている。明治後期の醸造蔵にこうした飾りを加えた点は、のちに建てられる店蔵の和洋折衷の意匠にも通じる。東側には下屋が付き、そこから渡り廊下で北の醤油蔵へつながる。南塀は麹蔵の前で三角アーチの扉口を開いており、塀と蔵が一体で南西の角を構えている。

旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵の見学方法

旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵は屋敷の南西角にあり、西側の通りと南の小路に面している。文化庁の登録写真も麹蔵の西面外観で、休館中でも道路側からこの面を見ることができる。工事の段階によっては足場や養生シートで覆われていることがある。

屋敷は令和5年(2023年)4月から保存修理工事のため休館しており、蔵の内部は公開されていない。年1回程度の特別公開の機会があり、次回は令和9年(2027年)3月の予定だが、公開範囲は工事の進み具合で変わる。屋敷への行き方と工事の予定は旧甲斐家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵はいつ建てられましたか?
A明治後期(1898〜1912年)の建築です。旧甲斐家住宅の10件のなかで最も古く、大正期の大普請より前からある蔵です。
Q旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵は2棟ですか、1棟ですか?
A味噌蔵と麹蔵の2つの蔵が柱と壁を共有しており、登録上は1棟として扱われています。建築面積は合わせて105平方メートルです。
Q旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵の越屋根は何のためにありますか?
A麹蔵の屋根の上に一段高く載る越屋根は、麹を育てる際の熱や湿気を逃がすためのものと考えられます。
Q旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵は外から見られますか?
A西側の通りと南の小路に面しているので、休館中でも道路から外観を見ることができます。工事の時期によっては足場などで隠れる場合があります。
Q旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵の中は見学できますか?
A令和5年(2023年)4月から保存修理工事のため休館中で、通常は見学できません。年1回程度の特別公開があり、次回は令和9年(2027年)3月の予定です。

基本情報

名称旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵
所在地福島県喜多方市字一丁目4611-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和3年(2021年)登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積105㎡
所有者喜多方市
公開状況外観は道路から見学可。2023年から保存修理工事のため休館中(工事は2030年度まで予定)

参考文献

旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013931
旧甲斐家住宅味噌蔵及び麹蔵(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/544471
旧甲斐家住宅南塀(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013936
旧甲斐家蔵住宅とは(喜多方市)
https://www.city.kitakata.fukushima.jp/site/kyukaike/57980.html
旧甲斐家蔵住宅の保存修理工事を行っています。(喜多方市)
https://www.city.kitakata.fukushima.jp/site/kyukaike/57982.html

最終更新日: 2026.10.01