屋敷地の北東に建つ昭和20年の茶室棟

松本家住宅茶室は、福島県いわき市中之作の松本家住宅に建つ昭和20年(1945年)の茶室棟で、平成10年(1998年)12月11日に登録有形文化財となった。木造平屋建、瓦葺で、建築面積は53平方メートルある。

松本家住宅茶室は屋敷地の北東の隅にあり、西側には同じ年に建てられた離れが接続している。屋根は切妻造で、南側の妻に「一太郎庵」と書かれた額を掲げる。登録番号は07-0026である。

座敷・茶室・水屋の3室

松本家住宅茶室の中は、3つの部屋で組み立てられている。まず書院構えを備えた8畳大の座敷があり、そこに1間半の床が付く。1間半はおよそ2.7メートルで、座敷の正面としてはゆったりした幅である。

座敷に続くのが6畳大の茶室で、炉が切ってある。炉は寒い季節の茶会で釜を掛けるための設えで、この部屋が実際に茶を点てるために造られたことが分かる。茶道具を整える3畳大の水屋が、その裏方を受け持つ。

客を通す座敷、茶を点てる部屋、支度の部屋が1棟に収まっており、文化庁の解説が「茶室を持つ離れ」と呼ぶとおりの構成になっている。

なぜ登録されたのか

松本家住宅茶室の登録基準は「造形の規範となっているもの」である。文化庁は、簡素なたたずまいでありながら上質な造りの建物であるとし、茶室を持つ離れの好例と評価している。

松本家は天保6年(1835年)から酒造業を営む旧家で、この茶室は、隣の離れとともに家の暮らしのなかで茶の湯が占めていた位置を具体的に示す。いわき市の登録有形文化財のなかでは、離れとともに最も早く登録された1棟でもある。

見どころ

松本家住宅茶室でまず注目したいのは、南妻の「一太郎庵」の額である。庵号を掲げることで、この棟がただの離れ座敷ではなく、名を持つ茶室として建てられたことが示されている。庵号の由来は、公表資料では確認できなかった。

もう1つは、座敷と茶室の釣り合いである。書院構えと1間半の床を持つ8畳大の座敷は格式のある接客の場で、炉付きの6畳大の茶室はそれより一回り小さい。格のある座敷と茶の場を隣り合わせにした組み方に、文化庁が「簡素ながら上質」と評した造りの考え方がうかがえる。

見学方法

松本家住宅茶室は個人が所有する住まいの一部で、内部は公開されていない。公開の案内も見当たらない(2026年10月時点)。

松本家住宅茶室は屋敷地の北東に建つが、公道からどの程度見えるかは公表資料では確認できなかった。敷地に立ち入ることはできず、撮影も公道からに限られる。

Q&A

Q松本家住宅茶室は見学できますか。
A個人が所有する住まいの一部で、内部は公開されていません。公開の案内も見当たらず(2026年10月時点)、敷地に立ち入ることはできません。
Q松本家住宅茶室はいつ建てられ、いつ登録されましたか。
A昭和20年(1945年)の建築で、平成10年(1998年)12月11日に登録有形文化財となりました。登録番号は07-0026です。
Q松本家住宅茶室にはどんな部屋がありますか。
A書院構えを備えた8畳大の座敷と1間半の床、炉を切った6畳大の茶室、3畳大の水屋の3室からなります。
Q松本家住宅茶室の「一太郎庵」とは何ですか。
A南側の妻に掲げられた額に書かれた庵号です。名の由来は公表資料では確認できません。
Q松本家住宅茶室と離れはどういう関係ですか。
A離れは茶室の西側に接続する寄棟造の書斎棟で、同じ昭和20年(1945年)の建築です。2棟は同じ日に登録されました。

基本データ

名称松本家住宅茶室
所在地福島県いわき市中之作字榎戸31-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成10年(1998年)12月11日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積53平方メートル
所有者個人
公開状況非公開(公開の案内なし)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):松本家住宅茶室
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000941
文化遺産オンライン:松本家住宅茶室
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/138211
いわき市:いわき市の国登録有形文化財(令和元年(2019年)9月10日現在)
https://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1001000004791/files/tourokubunkazai.pdf

最終更新日: 2026.10.07