湯之島館本館とは

湯之島館本館は、岐阜県下呂市湯之島の旅館「湯之島館」の敷地中央に建つ昭和6年(1931年)築の木造3階建の客室棟で、平成22年(2010年)に登録有形文化財に登録された。

屋根は入母屋造桟瓦葺で、建築面積は462平方メートル。南向きの斜面に建ち、西側に渡り廊下が取り付いて、その先の玄関棟とつながる。登録された3棟のなかでもっとも大きく、いまも客室として使われている。

宿は湯之島館本館を、4年の歳月をかけて完成させた建物と紹介している。昭和2年(1927年)の計画開始から数えた年数とみられ、宿の沿革では着工を昭和4年(1929年)10月、完成を昭和6年(1931年)11月としている。

造形の規範とされた平面

湯之島館本館は、登録基準のうち「造形の規範となっているもの」として登録された。登録番号は21-0177である。玄関と渡り廊下が景観への寄与で登録されたのに対し、湯之島館本館は建物そのものの出来が評価されている。

平面は中廊下を軸に組まれている。中廊下を挟んで西と南に客室を並べ、北と東には便所や食堂などをまとめた。見晴らしのよい側を客室に、裏手を設備に振り分けた、明快な構成である。

文化庁の解説がとくに取り上げるのは南側の扱いだ。眺望を考えて南面の客室を雁行させ、窓を連続させて開放的につくっている。客室を一部屋ずつ前後にずらして並べることで、それぞれの部屋が斜面の下の景色に向けて窓を開けられるようになっている。

内部についても、良質で、和風意匠の粋を凝らした建築と評されている。宿によれば、湯之島館本館の客室は銘木を随所に使った数寄屋造で、詳しい内装の設計図がなかった時代に、棟梁たちが工夫を重ねた意匠が残るという。

雁行する南面と3階の展望台

湯之島館本館を外から眺めるなら、南面の雁行に注目したい。客室の張り出しが段々にずれ、窓の連なりが折れながら横へ続いていく。平らな壁面を見せる正面ではなく、部屋ごとに角が立つ面である。

宿は湯之島館本館の3階に展望台を設けており、英語の案内では部屋に荷物を置いたらまずそこへ上がるよう勧めている。宿は下呂温泉でもっとも高い位置にあり、展望台からは温泉街を見下ろす眺めが得られる。

宿が本館の特別室として案内する「七重八重之間」は、31畳の本間に控えの間を備えた部屋で、昭和33年(1958年)秋に昭和天皇と香淳皇后が過ごした。同じく本館の「雲井之間」は、昭和51年(1976年)夏に当時皇太子であった上皇ご夫妻が食事をとった部屋として伝えられている。

一方で宿は、本館の一般客室について、防音も建てられた当時のままで隣室の気配が伝わることがあると断っている。設備を現代の水準に合わせきらず、昭和初期の造りを残していることの表れでもある。

湯之島館本館の見学

湯之島館本館の内部に入るには、湯之島館に泊まるのが確実である。宿は湯之島館本館の客室を「有形文化財 本館」として予約できる部屋に位置づけており、文化財の建物のなかで一晩を過ごせる。3階の展望台も滞在中に上がることができる。

外観の全体をつかむには、敷地の高い位置から見下ろすのがよい。湯之島館でもっとも高台にある景山荘の客室からは、湯之島館本館の屋根の組み方が見えると宿は案内している。玄関の前に立つと、玄関棟の屋根越しに湯之島館本館の3階建の姿がのぞく。

客室や廊下はほかの客も使うため、撮影は宿の「湯之島館めぐり」に挙がる場所や自分の客室にとどめるのが無難である。宿への行き方と日帰りプランの条件は湯之島館のページにまとめてある。

Q&A

Q湯之島館本館に泊まることはできますか?
A泊まれます。湯之島館は湯之島館本館の客室を「有形文化財 本館」として予約を受け付けています。空室と料金は湯之島館の公式サイトか電話(0576-25-4126、受付は午前9時から午後6時)で確認してください。
Q湯之島館本館はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか?
A湯之島館本館は昭和4年(1929年)10月に着工し、昭和6年(1931年)11月に完成しました。平成22年(2010年)に玄関、渡り廊下とともに登録有形文化財に登録され、登録番号は21-0177です。
Q湯之島館本館はどのような間取りですか?
A中廊下を挟んで西と南に客室、北と東に便所や食堂などを配した木造3階建です。南側の客室は眺めを考えて雁行に並び、窓が連続しています。
Q湯之島館本館の展望台はどこにありますか?
A湯之島館本館の3階にあります。下呂温泉でもっとも高い位置に建つ宿の上階から、温泉街を見下ろすことができます。
Q湯之島館本館には皇室ゆかりの部屋がありますか?
A宿が本館の特別室として案内する「七重八重之間」には昭和33年(1958年)秋に昭和天皇と香淳皇后が滞在し、「雲井之間」では昭和51年(1976年)夏に当時皇太子であった上皇ご夫妻が食事をとったと伝えられています。

基本情報

名称湯之島館本館
所在地岐阜県下呂市湯之島字平岩625
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成22年(2010年)登録
員数1棟
寸法建築面積462平方メートル、木造3階建
所有者文化庁データベースに記載なし(運営は飛騨川温泉土地株式会社)
公開状況営業中の旅館の客室棟。内部は宿泊客が利用

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 湯之島館本館
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00007998
文化遺産オンライン 湯之島館本館
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/212570
湯之島館 湯之島館の歴史
https://www.yunoshimakan.co.jp/about-history
湯之島館 お部屋
https://www.yunoshimakan.co.jp/rooms
湯之島館 英語版サイト
https://www.yunoshimakan.co.jp/en/
湯之島館 湯之島館めぐり
https://www.yunoshimakan.co.jp/tour
湯之島館 日帰りプラン(景山荘の客室案内を含む予約ページ)
https://reserve.489ban.net/client/yunoshimakan/0/detail/539582

最終更新日: 2026.09.24