尾垂木とは
尾垂木は、組物の中を斜めに貫いて外へ突き出し、その先端で軒の荷重を受ける太い材である。垂木のように斜めに入るが、屋根面を受ける垂木とは別の、組物の一部をなす部材である。
JAANUS(日本建築・美術用語辞典)によれば、三手先の組物では尾垂木が二手目を貫いて三手目を支え、建物の内側へ長く延びた尻を屋根の重みで押さえる。軒先が下がろうとする力を、内側の尻にかかる荷重で打ち消すてこの仕組みである。禅宗様では一手目と二手目を貫いて通すとされる。
東京都東村山市の正福寺地蔵堂(応永14年・1407年、国宝)では、昭和8年の修理で尾垂木尻の持送りから建立年を記した墨書が見つかった。尾垂木の尻が建物内部に深く入り込んでいることが、こうした発見にもつながっている。
記録での書かれ方と見るときの手がかり
記録では、組物の形式に「尾垂木付」を冠して書くことが多い。新潟県上越市の高田別院大門(文政10年・1827年)は「禅宗様の尾垂木付三手先組物で軒を大きく張り出し」と記録され、滋賀県長浜市の明楽寺鐘楼(天保8年・1837年)は「組物は尾垂木付の二手先」とされる。二手先に付く例のほか、広島県安芸高田市の福泉坊鐘楼(昭和29年)のように「尾垂木付の出組」とする例もあり、三手先専用の部材ではない。
現地では、軒下の組物を横から見上げる。組物の中ほどから斜め下向きに突き出した太い材の先端があれば尾垂木である。先端は斜めに切り落としたり、彫刻を施したりして見せ場にすることが多い。
尾垂木を二本重ねたものは二重尾垂木と書かれる。記事では、記録が尾垂木付と明記しているときにだけ尾垂木に触れ、組物の段数(二手先・三手先)と合わせて書く。
参考文献
- JAANUS(Japanese Architecture and Art Net Users System)odaruki 尾垂木
- https://projects.mcah.columbia.edu/jaanus/record/odaruki
- 文化遺産オンライン(文化庁)正福寺地蔵堂
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/173812
- 国指定文化財等データベース(文化庁)高田別院大門
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010572
- 国指定文化財等データベース(文化庁)明楽寺鐘楼
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014625
- 国指定文化財等データベース(文化庁)福泉坊鐘楼
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010353
最終更新: 2026.10.04