石州瓦とは

石州瓦は、島根県西部の石見地方(石州)で焼かれる瓦である。島根県の解説によれば、原料は県西部で採れる良質な粘土と、松江特産の来待石からつくる釉薬で、これを1200度を超す温度で焼き上げると独特の赤い色が生まれる。高温で焼き締めるため、透水や凍結、積雪の重み、塩害などへの耐久性が高いとされる。

産業技術総合研究所の解説は、石州瓦を寒さに強い独特の赤瓦とし、来待石から作る釉薬を使った赤瓦が江戸時代中期に作られるようになったと説明している。赤褐色の瓦屋根は石見地方の町並みの大きな特徴で、寒さの厳しい日本海側の各地にも運ばれて葺かれた。一般の桟瓦葺の瓦と同じ形のものが多く、色と焼きの違いで区別される。

記録と実物で見分ける手がかり

記録では「石州瓦葺」のように、屋根の葺材として書かれる。新潟県関川村の平田大六家住宅土蔵は、天保6年(1835年)の建築で、緩い置屋根形式の石州瓦葺とし、産地から遠く離れた日本海側の土地で石州瓦が使われていたことを示す。島根県邑南町の稲積家住宅主屋は、桁行10間、梁間5間の切妻造石州瓦葺の大型民家である。山口県萩市のむつみ村役場土蔵は、本庁舎とともに石州瓦を葺く。

現地では、瓦の色を見る。釉薬による艶のある赤褐色であれば石州瓦の可能性が高い。ただし、同じような赤瓦は他の産地でも焼かれており、沖縄の赤瓦とは製法も形も異なる。産地の特定は記録の記載に拠りたい。

参考文献

石州瓦|島根県
https://www.pref.shimane.lg.jp/admin/seisaku/koho/photo/211/8.html
須藤定久「島根県の石州瓦と原料粘土」|地質ニュース(産業技術総合研究所)
https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/00_06_10.pdf
平田大六家住宅土蔵|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001332
稲積家住宅主屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00006426
むつみ村役場土蔵|文化遺産オンライン
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/191229

最終更新: 2026.09.27