藤田家住宅内蔵とは

藤田家住宅内蔵は、島根県江津市江津町328にある明治前期の土蔵造2階建の蔵で、平成21年(2009年)1月8日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「ふじたけじゅうたくうちぐら」。建築面積は47平方メートルで、文化庁データベースの西暦欄は1868〜1911年とする。

名前のとおり、藤田家住宅内蔵は屋敷の内側に置かれた蔵である。主屋の東、本町通りから見れば主屋の奥に建ち、座敷とは渡り廊下でつながる。道を隔てた東蔵・北蔵・南蔵とは違い、住まいから屋根の下を通って出入りできる蔵だった。

敷地に合わせて食い違う平面

藤田家住宅内蔵は南北に棟を通す。ただし一直線の箱ではなく、敷地の形に合わせて南の部分と北の部分が食い違っており、内部もそれに応じて2室に分かれる。外から見れば、壁面と棟が途中で段をつけてずれる形になる。

屋根は切妻造で石州瓦の赤瓦を葺き、外壁は白い漆喰で仕上げる。赤い瓦と白い壁は藤田家の蔵に共通する組み合わせで、形の変わった内蔵も仕上げは屋敷のほかの蔵とそろえている。

竹の野地を流れ方向に張る小屋組

文化庁が藤田家住宅内蔵の特色として挙げるのは、屋根を支える小屋組である。屋根の勾配に沿って斜めに架ける登梁を用い、その上に横材を渡し、さらに竹で組んだ野地を屋根の流れる方向に張っている。解説はこれを珍しい技法と記す。

野地は瓦の下地になる面で、板を張るのが一般的である。藤田家住宅内蔵では、軒から棟へ向かう向きに竹を並べ、それを横材が受ける。竹の向きは屋根を流れる雨水の向きと同じになる。なぜこの張り方を選んだのかを記した資料は見当たらないが、身近な竹を下地に生かし、横材の段で受け止める組み方は、この蔵を手がけた大工の判断を示すものとして目を引く。

藤田家住宅内蔵が登録された理由

藤田家住宅内蔵は、登録基準のうち「再現することが容易でないもの」に当たるとして登録された。登梁と横材、竹の野地を重ねた屋根裏は、同じ材料と手間をそろえて作り直すことが難しい。藤田家住宅の8件でこの基準によるのは内蔵と北蔵の2棟で、どちらも評価の中心は屋根を支える架構にある。

北蔵が太い梁を3段に重ねる量感で見せるのに対し、藤田家住宅内蔵は下地の材の選び方と張る向きに工夫がある。同じ屋敷の蔵でも、屋根裏の考え方がはっきり違う。

藤田家住宅内蔵の見学

藤田家住宅内蔵は個人の住宅の敷地内、主屋の東側に建つ。公開についての公式な案内は確認できず、竹の野地を張った屋根裏は蔵の内部にあるため見ることはできない。

本町通りからは主屋の陰になる位置で、通りから内蔵の姿を見通すのは難しいと考えておきたい。敷地には入らず、公道から見える範囲にとどめること。

Q&A

Q藤田家住宅内蔵はいつ頃の建物ですか?
A明治前期の建物です。文化庁データベースの西暦欄は1868〜1911年で、平成21年(2009年)1月8日に国の登録有形文化財に登録されました。
Q藤田家住宅内蔵の「内蔵」とはどういう意味ですか?
A屋敷の内側に置かれた蔵という意味です。藤田家住宅内蔵は主屋の東に建ち、座敷と渡り廊下でつながっています。
Q藤田家住宅内蔵の珍しい技法とは何ですか?
A屋根裏の組み方です。登梁の上に横材を渡し、竹の野地を屋根の流れる方向に張っており、文化庁の解説は珍しい技法としています。
Q藤田家住宅内蔵は見学できますか?
A見学できません。個人の住宅の敷地内にあり、主屋の奥にあたるため通りからも見通しにくい位置です。
Q藤田家住宅内蔵の平面はどんな形ですか?
A南北棟ですが、敷地の形に合わせて南と北の部分が食い違っています。内部も2室に分かれ、建築面積は47平方メートルです。

基本情報

名称藤田家住宅内蔵(ふじたけじゅうたくうちぐら)
所在地島根県江津市江津町328
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年2009年登録
員数1棟
寸法建築面積47平方メートル
所有者個人(文化庁データベースに所有者名の記載なし)
公開状況非公開(主屋の奥にあり通りからは見通しにくい)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)藤田家住宅内蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00007537
国指定文化財等データベース(文化庁)藤田家住宅北蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00007540
天領江津本町甍街道(江津市)
https://www.city.gotsu.lg.jp/soshiki/4/4657.html

最終更新日: 2026.09.29