藤田家住宅南蔵とは

藤田家住宅南蔵は、島根県江津市江津町154にある明治前期の土蔵造2階建の蔵で、平成21年(2009年)1月8日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「ふじたけじゅうたくみなみぐら」。文化庁データベースの西暦欄は1868〜1911年とする。

藤田家住宅南蔵は、主屋と本町通りをはさんだ西側の敷地に建つ3棟の土蔵のひとつで、北蔵の南に南北棟で建つ。建築面積は82平方メートルで、同じ敷地の東蔵(43平方メートル)、北蔵(69平方メートル)より大きく、3棟のなかで最大である。

畳を敷いた2室

屋根は切妻造で石州瓦の赤瓦を葺き、東西の両面に下屋を設ける。外壁は白い漆喰仕上げ。

藤田家住宅南蔵の内部は、1階・2階とも3室ずつに分かれる。そのうち1階の南の2室は畳敷である。板敷がふつうの蔵に畳の部屋を設けていることから、この部分は物を納めるだけでなく、人が座って使う場も兼ねていたと考えられる。具体的な用途は資料に記されていない。

出格子と家紋を飾る南の妻面

藤田家住宅南蔵でいちばん見ておきたいのは、南の妻面である。1階に出格子を付け、その上に家紋をあしらっている。出格子は町家の表側に使われることの多い意匠で、蔵の外壁に付くのは珍しい。

文化庁の解説は、この南妻面について、南に面する神社の参道を意識した構成だと記す。四つの面のうちここだけに意匠を集め、参道を行き来する人の目に向けて蔵の顔をつくっているわけである。どの神社の参道を指すかは、解説には書かれていない。

畳敷の2室も1階の南側にある。装飾を施した南妻面と、その内側の畳の部屋が同じ側にそろっている点は、南を表として扱った蔵だったことをうかがわせる。

藤田家住宅南蔵が登録された理由

藤田家住宅南蔵は、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準で登録された。土蔵は敷地の奥に置く無装飾の建物になりやすいが、藤田家住宅南蔵は妻面を参道側の表構えとして整えている。景観への配慮が建てた側にもともとあったという点で、この基準がよく当てはまる建物である。

同じ敷地の東蔵が本町通りに妻を向けるのに対し、南蔵は南の参道側に妻を向ける。通りと参道という二つの方向に、それぞれの蔵が顔を向けている。

藤田家住宅南蔵の見学

藤田家住宅南蔵は個人の所有する蔵で、内部は公開されていない。畳敷の部屋に入ることはできず、拝観時間や料金の定めもない。

見どころの南妻面は建物の外側にあるので、南側の公道から見られる位置であれば外観を確かめられる。出格子と家紋の配置は、妻面の正面から見上げるとわかりやすい。写真は公道上から撮り、敷地や扉に近づかないこと。

Q&A

Q藤田家住宅南蔵の内部は見学できますか?
A見学できません。個人の所有する蔵で、内部は公開されていません。平成21年(2009年)1月8日に国の登録有形文化財に登録されました。
Q藤田家住宅南蔵に畳敷の部屋があるのはなぜですか?
A1階の南の2室が畳敷です。物を納めるだけでなく、人が座って使う場も兼ねていたと考えられますが、具体的な用途は資料に記されていません。
Q藤田家住宅南蔵で特に注目すべき箇所はどこですか?
A南の妻面です。1階に出格子を付け、上部に家紋をあしらっており、文化庁は南の神社参道を意識した構成としています。
Q藤田家住宅南蔵の規模はどのくらいですか?
A土蔵造2階建で建築面積82平方メートルです。同じ敷地の3棟の土蔵のなかで最も大きく、1階・2階とも3室に分かれます。
Q藤田家住宅南蔵はいつ頃の建物ですか?
A明治前期の建物です。文化庁データベースの西暦欄は1868〜1911年です。

基本情報

名称藤田家住宅南蔵(ふじたけじゅうたくみなみぐら)
所在地島根県江津市江津町154
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年2009年登録
員数1棟
寸法建築面積82平方メートル
所有者個人(文化庁データベースに所有者名の記載なし)
公開状況非公開(南妻面は外から見学可)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)藤田家住宅南蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00007541
国指定文化財等データベース(文化庁)藤田家住宅北蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00007540
国指定文化財等データベース(文化庁)藤田家住宅東蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00007539
天領江津本町甍街道(江津市)
https://www.city.gotsu.lg.jp/soshiki/4/4657.html

最終更新日: 2026.09.29