信岡家住宅井戸屋形とは
信岡家住宅井戸屋形は、広島県福山市新市町戸手の信岡家住宅で主屋の東南に建つ慶応4年(1868年)の井戸の覆屋で、平成20年(2008年)4月18日に登録有形文化財(建造物)となった。
東西棟で、桁行3.1メートル、梁間1.8メートル、面積5.6平方メートルの小さな建物である。屋根は寄棟造の桟瓦葺。西寄りに石造の井戸があり、東側には石を敷いた洗い場が続く。その両方を1つの屋根で覆っている。
慶応4年は、9月に明治へ改元される年である。信岡家住宅の8棟のなかでは、江戸時代の年号をもつ最後の建物にあたる。
登録の理由と価値
信岡家住宅井戸屋形は「再現することが容易でないもの」という基準で登録された。文化庁は、柱の据え方や壁の入れ方に特徴のある造りである点を挙げている。
井戸は、屋敷の暮らしを支えるもっとも基本的な設備だった。飲み水や炊事の水を汲み、洗い物や野菜洗いをこなす場として、主屋の土間に近い東南に置かれている。水を汲む場と洗う場を1つの屋根の下にまとめた形は、家事の流れに沿った合理的な造りといえる。
構造と見どころ
井戸と洗い場
屋根の下の西寄りに石造の井戸、東側に石敷の洗い場がある。汲んだ水をすぐ隣の洗い場で使える配置で、洗い場の石敷は水はけのよさを考えたものと考えられる。
洗い場側の礎石建の柱
洗い場のある東面の柱は、地面に据えた礎石の上に立てる礎石建としている。水を多く使う側の柱を石の上に載せることで、柱の足元が湿気で傷むのを防ぐ工夫とみられる。
差物と上下を開けた腰壁
南と北の両面には差物を入れて柱どうしをつなぐ。東と西の両面には腰壁を入れるが、その上と下を開けている。下を開ければ洗い場の水が抜け、上を開ければ光と風が入る。小さな覆屋ながら、面ごとに造りを変えているのがこの井戸屋形の見どころである。
寄棟造の屋根
屋根は四方に流れる寄棟造で、桟瓦で葺く。どの方向から見ても低く落ち着いた姿で、主屋や蔵の切妻屋根とは違う形をしている。
見学について
信岡家住宅井戸屋形は2026年10月時点で一般公開の案内がない。主屋の東南、屋敷のなかほどにあり、街道からは見えにくいと考えられる。信岡フラットミュージアムの催しで敷地に入れる日があっても、井戸屋形の周辺が見学範囲に含まれるかは催しごとに確認したい。
Q&A
- 信岡家住宅井戸屋形はいつ建てられましたか?
- 慶応4年(1868年)の建築です。この年の9月に明治へ改元されました。
- 信岡家住宅井戸屋形はどのような建物ですか?
- 石造の井戸と石敷の洗い場を覆う寄棟造桟瓦葺の覆屋で、桁行3.1メートル、梁間1.8メートル、面積5.6平方メートルです。
- 信岡家住宅井戸屋形の見どころはどこですか?
- 洗い場側の東面の柱を礎石建とし、南北面に差物、東西面に上下を開けた腰壁を入れた、面ごとに異なる造りです。
- 信岡家住宅井戸屋形はなぜ登録有形文化財になったのですか?
- 「再現することが容易でないもの」という基準で、平成20年(2008年)4月18日に登録されました。
- 信岡家住宅井戸屋形は見学できますか?
- 2026年10月時点で一般公開の案内はありません。屋敷のなかほどにあり、街道からは見えにくい位置です。
基本情報
| 名称 | 信岡家住宅井戸屋形(のぶおかけじゅうたくいどやかた) |
|---|---|
| 所在地 | 広島県福山市新市町大字戸手2166 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成20年(2008年)4月18日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造、瓦葺、面積5.6平方メートル |
| 所有者 | 有限会社信岡地所 |
| 公開状況 | 非公開(一般公開の案内なし) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「信岡家住宅井戸屋形」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007132
- 文化遺産オンライン「信岡家住宅井戸屋形」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/120004
最終更新日: 2026.10.08