信岡家住宅茶室及び腰掛とは

信岡家住宅茶室及び腰掛は、広島県福山市新市町戸手の信岡家住宅で主屋の座敷棟の南に建つ昭和初期の茶室と、その西に置かれた腰掛からなる建物で、平成20年(2008年)4月18日に登録有形文化財(建造物)となった。

茶室は木造平屋建、入母屋造の茅葺で、現在は銅板で仮に葺いている。建築面積は18平方メートル。腰掛は木造、銅板葺で、面積は3.5平方メートルである。茶室は昭和初期に建てられ、昭和30年(1955年)頃にこの場所へ移築された。

中門の伝えによれば、茶室の建つ場所には以前、御成座敷があった。信岡家住宅茶室及び腰掛は、屋敷で客を迎える場の役割を、江戸時代の座敷から受け継いだ建物といえる。

登録の理由と価値

信岡家住宅茶室及び腰掛は「造形の規範となっているもの」という基準で登録された。文化庁はこの茶室を「近代田舎屋風茶室の好例」と評している。田舎屋風とは、農家の素朴な造りを茶室に取り入れた作風で、茅葺の屋根や自然のままの材を使った構えに特徴がある。

設計は茶道速水流の家元によると伝えられる。流派の家元が手がけたとされる茶室が、地方の旧家の屋敷に移されて残っている点も、この建物の来歴として興味深い。

構造と見どころ

茅葺の入母屋屋根

屋根は入母屋造の茅葺で、棟は南北に通る。現在は茅の上を銅板で覆った仮の葺き方になっているが、茅葺の厚みを生かした柔らかな屋根の輪郭は保たれている。

6畳大の主室と3畳大の水屋

内部は6畳大の主室と、その背後の3畳大の水屋からなる。主室は茶をもてなす席、水屋は道具を整え茶の準備をする場である。小間よりやや広い6畳大の席は、数人の客をゆったり迎えられる大きさである。

躙口と貴人口

南西の角には、南に向けてにじり口を、西に向けて貴人口を開ける。躙口は身をかがめてくぐる小さな入口、貴人口は立ったまま出入りできる障子の入口で、ひとつの角に両方を開けた構成は、客の格に応じて入口を使い分けたものと考えられる。

西に置かれた腰掛

茶室の西には腰掛待合がある。客が席入りを待つあいだ腰を下ろす吹き放しの小さな建物で、銅板葺の屋根の下に腰掛けを設けている。腰掛から茶室の西面の貴人口へと続く動線が、茶事の流れをそのまま形にしている。

見学について

信岡家住宅茶室及び腰掛は、信岡フラットミュージアムの一部として使われている。ミュージアムの案内では、施設は長屋門と茶室からなり、開館は催しや教室のある時に限られる。立礼式の茶道教室なども開かれている。

2026年10月時点で、茶室を定期的に公開する案内は確認できなかった。茶室を見たい場合は、ミュージアムのウェブサイトやInstagram(nobuoka_flat)で催しの予定を確かめ、茶室が会場になる日を選びたい。

Q&A

Q信岡家住宅茶室及び腰掛はいつ建てられましたか?
A茶室は昭和初期の建築で、昭和30年(1955年)頃に現在の場所へ移築されました。
Q信岡家住宅茶室及び腰掛の茶室は誰が設計したのですか?
A茶道速水流の家元の設計と伝えられています。文化庁は近代の田舎屋風茶室の好例と評価しています。
Q信岡家住宅茶室及び腰掛の茶室はどのような造りですか?
A入母屋造茅葺(現在は銅板で仮葺)の平屋で、建築面積18平方メートルです。6畳大の主室と3畳大の水屋からなり、南西角に躙口と貴人口を開けています。
Q信岡家住宅茶室及び腰掛はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A「造形の規範となっているもの」という基準で、平成20年(2008年)4月18日に登録されました。
Q信岡家住宅茶室及び腰掛は見学できますか?
A信岡フラットミュージアムの一部として、催しや教室のある日に使われています。定期公開の案内はないため、ミュージアムの催し情報を確かめてから訪れてください。

基本情報

名称信岡家住宅茶室及び腰掛(のぶおかけじゅうたくちゃしつおよびこしかけ)
所在地広島県福山市新市町大字戸手2166
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成20年(2008年)4月18日登録
員数1棟(茶室と腰掛)
寸法茶室:木造平屋建、茅葺(銅板仮葺)、建築面積18平方メートル/腰掛:木造、銅板葺、面積3.5平方メートル
所有者有限会社信岡地所
公開状況信岡フラットミュージアムの催し・教室の開催日に利用(不定期)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「信岡家住宅茶室及び腰掛」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007131
文化遺産オンライン「信岡家住宅茶室及び腰掛」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/187033
福山観光コンベンション協会「【国登録有形文化財】信岡家住宅」
https://www.fukuyama-kanko.com/travel/tourist/detail.php?id=122
信岡フラットミュージアム
https://nobuoka-museum.jimdofree.com/

最終更新日: 2026.10.08