客を迎えるために建てられた棟

安達家住宅座敷は、茨城県桜川市真壁町の商家の主屋西側に接続する木造平屋建の接客棟で、江戸時代末期の建設と考えられ、2017年に登録有形文化財に登録された。文化庁の国指定文化財等データベースは、建設年代を1830年から1868年の間としている。

座敷は、家のなかで外から来た人を迎えるために区切られた空間を指す。安達家ではその役割に一棟を割いた。建築面積は90平方メートル、屋根は寄棟造桟瓦葺。主屋につながりながら、出入りは別に取る。

敷地内の他の棟と比べると、この棟の性格がはっきりする。新宿通りに面する見世蔵は、商品を抱え通りに晒される棟だから厚い塗り壁で固めた。その奥、火の回りにくい位置で人目にも触れない場所に建つ安達家住宅座敷は、木部を見せる普通の木造で、費用は防火ではなく造作に向けられている。

昭和45年(1970年)頃に改修を受けているが、当初の構えは読み取れる状態にある。

3室を一列に並べる

入口には式台が設けられている。玄関の内側に低く張り出した板の段で、客はここに膝をついて挨拶を交わす。日常の出入り口ではなく、儀礼のための構えであることを示す部分である。

その先、安達家住宅座敷は9畳・10畳・8畳の3室を一列に並べる。8畳には床の間、その脇に段違いの棚を組む床脇、庭側へ張り出す付書院がそろい、書院造の要素が一室に集まる。10畳には幅およそ4.5メートルの大床を構え、文化庁が解説で述べる「格式ある構え」の実質はこの2室にある。

このように部屋を一列に並べる平面は、間仕切りを外して2室あるいは3室を続きの一間として使えるようにしたものである。婚礼や葬儀、年始の集まりのように、人が多く集まる日のための備えだった。

見どころは装飾の派手さではない。どの部屋が上位に置かれているかは、床や書院があるかどうかで決まる。畳の枚数だけでは順位が読めないのがこの時代の座敷である。

登録の理由

安達家住宅座敷は、2017年10月27日、第88回の登録で国の文化財登録原簿に載った。登録番号は第08-0301号、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。員数は1棟、所有者は個人。

同じ日に、同じ敷地の見世蔵及び主屋と薬医門もそれぞれ別番号で登録されている。1軒の商家に残る3棟がまとめて評価されながら、登録としては別々に立っている形になる。

真壁の旧町なかには約100棟の登録有形文化財があり、うち約17.6ヘクタールが2010年に重要伝統的建造物群保存地区に選定された。ただし通りに面した店の部分に比べ、敷地の奥にある座敷は建て替えの対象になりやすく、残る例は少ない。安達家住宅座敷が登録された理由の一つはそこにある。

見学方法とアクセス

安達家住宅座敷は敷地の奥にあり、現在も個人の住まいの一部である。内部は公開されていない。新宿通りからは、この棟の正門にあたる薬医門と、その奥に続く屋根の線を見ることができるが、室内を見る機会は通常ない。

撮影は道路からであれば妨げられていない。敷地内に入ることや、門の中へレンズを向けることは避けてほしい。

行き方は、JR水戸線の岩瀬駅から桜川市バス「ヤマザクラGO」に乗り、旧町なかの「下宿」または「上宿」で下車する。つくばエクスプレスのつくば駅からは、つくば市バス北部シャトルで筑波山口へ出て乗り換える経路があり、全体でおよそ90分。車なら常磐自動車道の土浦北インターチェンジから40分ほどである。

毎年2月上旬から3月3日にかけての「真壁のひなまつり」は、町なかの多くの家が雛人形を座敷に飾って開ける期間で、この種の部屋を実際に見られる数少ない機会になる。参加は各戸の判断によるため、どの家が開けるかは年によって変わる。事前に桜川市商工観光課(0296-55-1159)へ問い合わせておきたい。

Q&A

Q安達家住宅座敷の内部は見学できますか?
Aできません。個人の住まいであり、座敷は公開されていません。見学できるのは新宿通りからの外観です。
Q安達家住宅座敷にはどんな部屋がありますか?
A9畳・10畳・8畳の3室が一列に並びます。8畳には床の間・床脇・付書院がそろい、10畳には幅およそ4.5メートルの大床が設けられています。
Q安達家住宅座敷はいつ建てられたものですか?
A文化庁のデータベースは1830年から1868年の間、江戸時代末期としています。昭和45年(1970年)頃に改修を受け、2017年に文化財として登録されました。
Q安達家住宅座敷へはどう行けばよいですか?
AJR水戸線岩瀬駅から桜川市バス「ヤマザクラGO」で「下宿」または「上宿」下車です。つくば駅からは北部シャトルで筑波山口へ出て乗り換え、およそ90分かかります。
Q真壁で座敷の内部を見られる時期はありますか?
A毎年2月上旬から3月3日の「真壁のひなまつり」の期間は、多くの家が座敷に雛人形を飾って公開します。どの家が参加するかは年ごとに変わります。

基本情報

名称安達家住宅座敷
所在地茨城県桜川市真壁町真壁字新宿町424-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成29年(2017年)登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積90平方メートル
所有者個人
公開状況内部非公開。外観は新宿通りから見学可

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「安達家住宅座敷」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011861
茨城県教育委員会 いばらきの文化財「安達家住宅見世蔵及び主屋ほか2棟」
https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-registered-5932/
桜川市「桜川市真壁伝統的建造物群保存地区」
https://www.city.sakuragawa.lg.jp/education/bunkazai/city_bunkazai/kuni_bunkazai/page003423.html
桜川市「真壁の町並み」
https://www.city.sakuragawa.lg.jp/tourism_guide/learn/page000455.html

最終更新日: 2026.09.05