校庭より3メートル高い段の上に建つ特別教室棟

旧西金小学校理科室及び音楽室は、茨城県久慈郡大子町西金にある木造平屋建の特別教室棟で、昭和39年(1964年)に建てられ、平成30年(2018年)に登録有形文化財となった。建築面積は188平方メートル、屋根は瓦を葺く。

建つ位置が特徴的である。校舎の北側、校庭より3メートルほど高い段の上に、東西に長い棟を南面させて据える。敷地は南へ下る斜面なので、この段差は地形をそのまま使ったものである。

南側には下屋を吹放ちのまま差し掛けて外廊下を通し、その中央から渡廊下が伸びて校舎の2階北端に取り付く。段の高さがあるため、平屋のこの棟と2階建の校舎とが同じ床の高さで結ばれる。

内部は東半分が音楽室、西半分が理科室。南北両面のほとんどをガラス窓とし、二つの室に光を通している。

普通教室では足りないものを収める

校舎が完成したのは昭和32年(1957年)で、旧西金小学校理科室及び音楽室が加わったのはその7年後にあたる。実験の器具を据え、楽器を置き、水を使う。普通教室の並びには収まりにくい機能を別棟にまとめたのが、この建物である。

西金の学校は明治5年(1872年)の寺子屋を起源とし、明治24年(1891年)に西金尋常小学校として開校式を行った。昭和32年(1957年)の校舎完成に合わせて大子町立西金小学校と改称し、平成17年(2005年)3月に閉校している。特別教室棟が使われたのは、およそ40年ということになる。

建築年の典拠について、大子町の資料は閉校記念誌を挙げたうえで断定を避けている。文化庁の国指定文化財等データベースは昭和39年(1964年)とする。

登録有形文化財としての登録は平成30年(2018年)5月10日、登録番号は第08-0309号、登録基準は「造形の規範となっているもの」である。文化庁は旧西金小学校理科室及び音楽室を、新制小学校の最初期の構内の構成を伝える特別教室棟と位置づけている。校舎・調理室と揃って残ったことが評価の前提にある。

見どころ

南側に立つと、壁よりガラスのほうが多い。南北の両面がほとんど窓で、正午前後には室内を光が抜ける。顕微鏡をのぞく手元も、譜面台に載せた楽譜も、電灯に頼らずに読める明るさが求められた。窓の配置はその要求への答えである。

外廊下は壁を立てず、柱と屋根だけで通してある。吹放ちの下屋なので、風は抜けるが雨はしのげる。校舎から渡ってきた子どもたちは、この廊下を通って東の音楽室か西の理科室へ入った。

渡廊下の取り付き方も見ておきたい。校舎の2階北端に接続するため、平屋の棟と2階建の棟が水平につながる。3メートルの段差を階段でしのぐのではなく、建物の配置に組み込んでいる。

規模を並べると位置づけが分かりやすい。旧西金小学校理科室及び音楽室の188平方メートルは、校舎533平方メートルのおよそ3分の1、調理室42平方メートルの4倍あまりにあたる。3棟のなかで中位の大きさである。

見学方法とアクセス

旧西金小学校理科室及び音楽室は大子町の所有で、閉校後の敷地は町の教育施設として使われている。観光のために公開された建物ではなく、内部の見学は行われていない。開館時間や拝観料も設定されていない。

外観は敷地の外の道路から見られる。ただし高台に建つため、校舎の陰になって見通しがきかない角度もある。子どもが通う施設なので、敷地に入っての見学や人物が写る撮影は控えたい。撮影の規定は公表されていないので、確認したい場合は大子町教育委員会事務局生涯学習担当(電話0295-72-1148)へ問い合わせるとよい。

最寄り駅はJR水郡線の西金駅。北へおよそ200メートル、徒歩5分ほどで着く。無人駅で列車の本数が少ないため、帰りの時刻まで先に調べておきたい。車では久慈川沿いの国道118号を使う。来訪者用の駐車場があるかどうかは確認できていない。

Q&A

Q旧西金小学校理科室及び音楽室は見学できますか。内部は公開されていますか。
A旧西金小学校理科室及び音楽室は大子町の教育施設の一部として使われており、内部は公開されていません。開館時間や拝観料もありません。外観は敷地外の道路から見られますが、子どもが通う施設のため、敷地内に入っての見学や撮影はお控えください。問い合わせ先は大子町教育委員会事務局生涯学習担当(電話0295-72-1148)です。
Q旧西金小学校理科室及び音楽室はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか。
A昭和39年(1964年)の建築です。登録有形文化財への登録は平成30年(2018年)5月10日で、登録番号は第08-0309号です。建築年について、大子町の資料は閉校記念誌を典拠に挙げつつ断定を避けています。
Q旧西金小学校理科室及び音楽室の内部はどのような構成ですか。
A東半分が音楽室、西半分が理科室です。南北両面のほとんどをガラス窓として採光を確保しています。建築面積は188平方メートル、木造平屋建の瓦葺です。
Q旧西金小学校理科室及び音楽室は校舎とどうつながっていますか。
A校舎の北側、校庭より3メートルほど高い段の上に建ち、南側の外廊下の中央から伸びる渡廊下で校舎の2階北端に接続しています。外廊下は壁のない吹放ちの下屋です。
Q旧西金小学校理科室及び音楽室へのアクセスは。最寄り駅はどこですか。
AJR水郡線の西金駅から北へおよそ200メートル、徒歩5分ほどです。所在地は茨城県久慈郡大子町西金250。西金駅は無人駅で本数が限られるため、時刻表を先にご確認ください。車では久慈川沿いの国道118号を使います。

基本情報

名称旧西金小学校理科室及び音楽室
所在地茨城県久慈郡大子町西金250
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成30年(2018年)登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積188平方メートル
所有者大子町
公開状況町の教育施設として使用。内部は非公開

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 旧西金小学校理科室及び音楽室
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012286
文化遺産オンライン 旧西金小学校理科室及び音楽室
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/615350
茨城県教育委員会 いばらきの文化財 旧西金小学校校舎 理科室及び音楽室 調理室
https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-registered-5905/
大子町 旧西金小学校
https://www.town.daigo.ibaraki.jp/page/page008106.html

最終更新日: 2026.09.06