校舎の北隅に建つ42平方メートルの1棟

旧西金小学校調理室は、茨城県久慈郡大子町西金にある木造平屋建の調理室で、昭和31年(1956年)に建てられ、平成30年(2018年)に登録有形文化財となった。建築面積は42平方メートル、屋根は切妻造桟瓦葺である。

建つ位置は校舎の正面側、北の隅。南を向いて据えられ、直角に折れる渡廊下で校舎の1階とつながる。校庭から見れば、大きな2階建の校舎に寄り添う小さな屋根がひとつ、という眺めになる。

仕上げは校舎と大きく違う。外壁は軒裏までモルタルで塗り込め、木部を表に出さない。内部も天井をボード張とする。校舎が外壁を下見板張としているのに対し、旧西金小学校調理室だけが板の見えない建物になっている。火を扱う部屋だという事情が、そのまま外観に出ている。

建築年の典拠は文部省の施設台帳である。校舎の上棟が昭和31年(1956年)12月であることを考えると、調理室と校舎はほぼ同じ時期に工事が進んでいたことになる。

給食のための建物という位置づけ

学校給食法が公布されたのは昭和29年(1954年)で、旧西金小学校調理室はその2年後に建てられている。小学校の敷地に調理のための独立した棟が置かれるようになった時期の建物ということになる。

西金の学校は明治5年(1872年)の寺子屋を起源とし、明治24年(1891年)に西金尋常小学校として開校式を行った。昭和32年(1957年)に新しい校舎が完成したのに合わせて大子町立西金小学校と改称し、平成17年(2005年)3月に閉校している。調理室が使われたのは、この学校の後半の50年ほどということになる。

登録有形文化財としての登録は平成30年(2018年)5月10日、登録番号は第08-0310号、登録基準は「造形の規範となっているもの」である。文化庁の解説は、旧西金小学校調理室について、音楽室・理科室と同じく新制小学校の最初期の構内の構成を伝えていると評価している。単体の建築としてよりも、校舎・特別教室棟と揃って残っていることに意味がある、という見方である。

見どころ

まず大きさを確かめたい。建築面積42平方メートルは、教室ひとつよりも小さい。同じ敷地で登録された3棟のうち最小で、533平方メートルの校舎とは10倍以上の開きがある。

次に軒の下を見る。モルタルは壁面だけでなく軒裏まで回り込んでいる。屋根の裏側は木造建築でいちばん火の回りやすい部分で、そこを塗り込めるのは意図のはっきりした処置である。同時期の校舎が下見板を見せているだけに、この1棟の扱いの違いがよく分かる。

渡廊下の折れ方も見ておきたい。校舎の壁に直角にぶつけず、いったん折れてから取り付く。校舎の北隅という位置と、南を向いて建てるという条件を両立させた結果である。

屋根は桟瓦葺。丸瓦と平瓦を組む本瓦葺ではなく、一枚の瓦で葺く簡便な形式で、昭和の学校施設では普通に使われた。旧西金小学校調理室の小さな切妻屋根も、その一例として見ることができる。

見学方法とアクセス

旧西金小学校調理室の所有者は大子町で、閉校後の敷地は町の教育施設として使われている。観光施設として公開されているわけではなく、内部に入っての見学はできない。開館時間も拝観料も設定されていない。

外観は敷地外の道路から確かめられる。ただし子どもが通う施設なので、敷地に立ち入っての見学や、人物が入る撮影は避けたい。撮影に関する規定は公表されていないため、事前に確認したい場合は大子町教育委員会事務局生涯学習担当(電話0295-72-1148)が窓口になる。

鉄道ならJR水郡線の西金駅が最寄りで、北へおよそ200メートル、徒歩5分ほど。無人駅で列車の間隔が空くので、往復の時刻を先に押さえておきたい。車の場合は久慈川に沿う国道118号を使う。来訪者用の駐車場の有無は確認できていない。

Q&A

Q旧西金小学校調理室は見学できますか。内部に入れますか。
A旧西金小学校調理室は大子町の教育施設の一部として使われており、内部の見学はできません。開館時間や拝観料もありません。外観は敷地外の道路から見られますが、子どもが通う施設のため、敷地内に入っての見学や撮影はお控えください。問い合わせ先は大子町教育委員会事務局生涯学習担当(電話0295-72-1148)です。
Q旧西金小学校調理室はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか。
A昭和31年(1956年)の建築で、建築年の典拠は文部省の施設台帳です。登録有形文化財への登録は平成30年(2018年)5月10日、登録番号は第08-0310号です。
Q旧西金小学校調理室はどのくらいの大きさで、どんな造りですか。
A木造平屋建、瓦葺で、建築面積は42平方メートルです。屋根は切妻造の桟瓦葺。外壁は軒裏までモルタル塗とし、内部も天井をボード張として、内外に防火の手当てをしています。
Q旧西金小学校調理室は校舎とどうつながっていますか。
A校舎の正面側の北隅に南を向いて建ち、直角に折れる渡廊下で校舎と接続しています。同じ敷地には校舎と理科室及び音楽室があり、3棟がそれぞれ登録有形文化財に登録されています。
Q旧西金小学校調理室へのアクセスは。最寄り駅はどこですか。
AJR水郡線の西金駅から北へおよそ200メートル、徒歩5分ほどです。所在地は茨城県久慈郡大子町西金250。西金駅は無人駅で本数が限られるため、時刻表の確認をおすすめします。車では久慈川沿いの国道118号を使います。

基本情報

名称旧西金小学校調理室
所在地茨城県久慈郡大子町西金250
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成30年(2018年)登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積42平方メートル
所有者大子町
公開状況町の教育施設として使用。内部は非公開

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 旧西金小学校調理室
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012287
文化遺産オンライン 旧西金小学校調理室
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/567891
茨城県教育委員会 いばらきの文化財 旧西金小学校校舎 理科室及び音楽室 調理室
https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-registered-5905/
大子町 旧西金小学校
https://www.town.daigo.ibaraki.jp/page/page008106.html

最終更新日: 2026.09.06