昭和32年に建った南北棟の木造校舎

旧西金小学校校舎は、茨城県久慈郡大子町西金にある木造2階建の小学校校舎で、昭和32年(1957年)に建てられ、平成30年(2018年)に登録有形文化財となった。建築面積は533平方メートル、屋根は切妻造で瓦を葺く。

敷地は南へ下る斜面を背にする。校舎は南北に長い棟を東向きに構え、正面はわずかに南へ振れている。総2階建で、外壁は下見板張。板を重ねた水平の線が上下の階を通して続き、中央の玄関部だけがモルタル塗になっている。この一面を境に、外観は南北へ分節される。

内部は片廊下式である。廊下は西側を通り、教室は東側、つまり校庭に面する側に並ぶ。玄関部には防火扉が設けられ、長い廊下をここで二つに区切っている。

棟札によれば上棟は昭和31年(1956年)12月14日。翌昭和32年(1957年)に完成し、大子町立西金小学校の校舎として使われはじめた。

132年の学校史と登録の理由

西金の学校は、明治5年(1872年)に西金村字宿の民家を借りて寺子屋を組織したことに始まる。明治24年(1891年)10月11日に西金尋常小学校の開校式が行われ、明治27年(1894年)には高等科を併設した。昭和16年(1941年)に下小川第一国民学校、昭和22年(1947年)に下小川第一小学校、昭和30年(1955年)の行政区画の変更で大子町立下小川小学校と、名称は時代ごとに変わっている。

大子町立西金小学校という名に落ち着いたのは昭和32年(1957年)で、新校舎の完成に合わせた改称だった。旧西金小学校校舎はこのときの建物にあたる。学校は創立から132年を数えた平成17年(2005年)3月に閉校した。

新制の小学校が発足したのは昭和22年(1947年)だから、この校舎は制度の切り替えから10年目の建築ということになる。文化庁の解説は、大きな改変を受けないまま、発足して間もない新制小学校の建築形式を伝える好例と評価している。登録有形文化財としての登録は平成30年(2018年)5月10日、登録番号は第08-0308号で、登録基準は「造形の規範となっているもの」である。

見どころ

東側の校庭に立つと、南北に伸びる総2階の壁面が一目には収まりきらない。建築面積533平方メートルは木造校舎として大きい部類に入り、棟が長い分だけ屋根も水平に伸びる。

視線が止まるのは中央の玄関部である。下見板が続く壁のなかで、そこだけがモルタルの平滑な面になり、板の水平線がいったん断ち切られる。内側には防火扉があり、火が廊下を走り抜けないよう建物を南北に二分している。外観の分節と内部の区画が、同じ位置で対応している。

廊下が西側にあることも見ておきたい。教室は東を向き、朝のうちから光が入る。斜面を背負った敷地で採光を優先した配置である。

旧西金小学校校舎の北側、校庭より3メートルほど高い段の上には理科室及び音楽室が建ち、正面側の北隅には調理室が建つ。いずれも渡廊下で校舎につながっており、3棟は別々に登録されているものの、配置としては一組の構内をなしている。

見学方法とアクセス

旧西金小学校校舎は大子町が所有し、閉校後も町の教育施設として使われている。観光向けに公開された建物ではなく、内部の見学は行われていない。開館時間や拝観料の設定もない。

外観は敷地の外の道路から見ることができる。ただし児童生徒が通う施設なので、敷地内に立ち入っての見学や、人物が写り込む撮影は控えたい。撮影について公表された規定はないため、必要があれば大子町教育委員会事務局生涯学習担当(電話0295-72-1148)にあらかじめ問い合わせるとよい。

最寄り駅はJR水郡線の西金駅で、駅から北へおよそ200メートル、徒歩5分ほどの距離にある。西金駅は無人駅で、水戸方面も郡山方面も列車の本数が限られるから、時刻表を先に確かめておきたい。車では久慈川沿いの国道118号を使う。来訪者用の駐車場があるかどうかは確認できていない。

Q&A

Q旧西金小学校校舎は見学できますか。内部は公開されていますか。
A旧西金小学校校舎は大子町の教育施設として使われており、内部は公開されていません。開館時間や拝観料の設定もありません。外観は敷地外の道路から見られますが、児童生徒が通う施設のため、敷地内に入っての見学や撮影はお控えください。見学を希望する場合は大子町教育委員会事務局生涯学習担当(電話0295-72-1148)へ事前にお問い合わせください。
Q旧西金小学校校舎はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか。
A昭和32年(1957年)の建築です。棟札には昭和31年(1956年)12月14日の上棟が記されています。登録有形文化財への登録は平成30年(2018年)5月10日で、登録番号は第08-0308号です。
Q旧西金小学校校舎へのアクセスは。最寄り駅からどのくらいですか。
AJR水郡線の西金駅から北へおよそ200メートル、徒歩5分ほどです。所在地は茨城県久慈郡大子町西金250。西金駅は無人駅で列車の本数が限られるため、時刻表を先にご確認ください。車では久慈川沿いの国道118号を使います。
Q旧西金小学校校舎はどのような構造で、どのくらいの大きさですか。
A木造2階建、瓦葺で、建築面積は533平方メートルです。屋根は切妻造。外壁は下見板張で、中央の玄関部だけをモルタル塗として南北に分節しています。内部は片廊下式で、廊下は西側を通ります。
Q旧西金小学校校舎はいつ閉校し、いまは何に使われていますか。
A西金小学校は明治5年(1872年)の寺子屋を起源とし、平成17年(2005年)3月に閉校しました。建物は現在も大子町が所有し、町の教育施設として使われています。大子町の文化財のページは、教育支援センターの適応指導室として活用していると記しています。

基本情報

名称旧西金小学校校舎
所在地茨城県久慈郡大子町西金250
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成30年(2018年)登録
員数1棟
寸法木造2階建、瓦葺、建築面積533平方メートル
所有者大子町
公開状況町の教育施設として使用。内部は非公開

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 旧西金小学校校舎
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012285
文化遺産オンライン 旧西金小学校校舎
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/621619
茨城県教育委員会 いばらきの文化財 旧西金小学校校舎 理科室及び音楽室 調理室
https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-registered-5905/
大子町 旧西金小学校
https://www.town.daigo.ibaraki.jp/page/page008106.html

最終更新日: 2026.09.06