村井醸造脇蔵とは
村井醸造脇蔵は、茨城県桜川市真壁町真壁72の角地に立つ土蔵造2階建の蔵で、明治35年(1902年)以前に建てられ、平成12年(2000年)12月4日に国の登録有形文化財に登録されました。建築面積は105平方メートル、もとは穀蔵として使われていました。
村井醸造の敷地にある4件の登録物件のうち、最初に登録されたのがこの村井醸造脇蔵です。登録番号は第08-0045号、茨城県の連番のかなり早い位置にあたります。この日付には地元の事情があります。平成11年(1999年)から行政が登録文化財制度の積極的な活用を始め、数年のうちに真壁ではおよそ104棟が登録されました。この集中的な取り組みが、真壁を人の訪れる町に変えます。村井醸造脇蔵はその第一波に入っていました。同じ敷地の店舗と煙突が登録されるのは、4年後のことです。
茨城県教育委員会は、この蔵を「交差点に面して建ち、街並み景観の重要なランドマークとなっている」と説明しています。実際に建物が果たしている役割の記述として、これは的確です。角地は二面が通りに露出するため、そこに立つ蔵は、規模から想像される以上に街並みの見え方を担うことになります。
穀蔵と、それを建てた家
村井家は江戸時代からこの地で醸造業を営んできました。その最も古い記録は、意外にも地元のものではありません。滋賀県日野町観光協会が発行した資料に、延宝年間(1673年から1680年)に行商人であった村井重助が常陸国真壁の町へ醤油・味噌販売の出店を構えたとあり、これが日野商人による関東出店の最も古い記録だとされています。真壁は上方の商品が東北の市場へ運ばれる中継地にあたっていました。近江の商人がここにいた理由はそこにあります。
醤油と味噌、のちに酒を扱う家には穀物を置く場所が要ります。村井醸造脇蔵はそのために建てられました。文化庁の解説は「もと穀蔵」と記しています。名称にある「脇蔵」は、主となる蔵の脇に立つ蔵という意味で、造りや意匠を表す語ではありません。商家の屋敷内に並ぶ蔵の名づけは、たいていこのように用途と位置で決まります。
建設年代は明治35年(1902年)以前とされ、それ以上は絞り込まれていません。この上限が示すのは、村井醸造脇蔵が鉄とコンクリートの時代よりも前の建物だということです。真壁の商家が火と湿気という問題に、土と木と石だけで答えを出していた段階に属します。
三つの素材が積み上がる
切石積の基礎
基礎は丁寧に切り揃えた石を積んだもので、文化庁の解説はその仕事の丁寧さをわざわざ取り上げています。偶然ではありません。真壁は筑波山の麓にあり、何百年も花崗岩を切り出してきた町です。良い石も、それを刻む石工も、どちらも地元にありました。切石積の基礎は土壁を地面の湿気から持ち上げる働きをしますが、村井醸造脇蔵の場合はそれに加えて、外観に据わりのよい水平の台座を与えています。
板、そして漆喰
石の上、腰の部分は縦板壁で、その上は漆喰壁です。公式の解説はこの二つが「調和し」と書いていますが、理由は割付にあります。板の帯は基部として十分な深さがありながら、漆喰の面積を食うほどには深くない。数歩先にある同じ敷地の店舗と比べると違いがはっきりします。あちらの腰は横に張る簓子下見板張です。一つの敷地に立つ二棟の土蔵造が、同じ問題に別々の答えを出しています。
南北に走る棟
村井醸造脇蔵の平面は桁行7間、梁間4間で、およそ13メートルに7メートル。屋根は切妻造を桟瓦葺で葺いています。棟は南北に走り、東西棟の店舗とは直角の向きです。角地でこの向きを取ると、妻側が一方の通りに、長い平側がもう一方の通りに向くことになります。どちらの方向から近づいても建物の形が読めるのは、そのためです。
見学方法とアクセス
村井醸造脇蔵は外から見る建物です。個人所有で、いまも稼働している酒蔵の敷地の一部であり、内部は公開されていません。もっとも、角地の建物は見るには都合がよい。交差点の向かい側に下がれば、妻面と平側、切石積の基礎、そして棟の線までを一度に視野に入れられます。真壁の蔵の多くはこうはいきません。料金も、くぐる門も、公道からの撮影の制限もありません。
所在地は茨城県桜川市真壁町真壁72、上宿通りに面する村井醸造の店舗と同じ敷地です。眺めるだけでなく説明を聞きたい場合は、事前予約制の酒蔵見学があります。申し込みは電話か公式サイトの問い合わせフォームから。仕込みの季節は電話に出られないことが多いため、蔵はフォームをすすめています。所要は30分ほど、一度に10人程度まで、最後に無料の試飲が付きます。案内は月曜から土曜の午前9時から午後5時で、日曜と祝日は休みです。10月から3月は仕込みのため蔵内の案内が休止され、麹室はいつでも見学の対象外です。
敷地内の駐車は乗用車3台程度とマイクロバス・小型バスまで。大型バスは入れないため、真壁高上町駐車場(真壁町真壁279-1、普通車65台)を利用してください。鉄道はJR水戸線岩瀬駅からタクシーで約20分。つくば駅からはつくば市バスで約50分の筑波山口へ出て、桜川市バス「ヤマザクラGO」で約20分、上宿バス停が最寄りです。車では北関東自動車道の桜川筑西インターチェンジから約20分になります。
2月4日から3月3日にかけては地区で「真壁のひなまつり」が開かれ、100軒を超える家や店に雛人形が並び、普段は入れない建物の内部が公開されることもあります。村井醸造脇蔵の周りの通りが混み合うのはこの時期だけで、同時に、真壁を歩いて最も得るものが多い時期でもあります。人出を避けたいなら、この期間の外の晴れた午前がよいでしょう。冬の低い光が漆喰の壁を横から舐めるように当たる時間帯は、この蔵を見るには向いています。
Q&A
- 村井醸造脇蔵の内部は見学できますか。
- できません。個人所有で稼働中の酒蔵の一部であり、内部は公開されていません。外観は公道から自由に見られます。角地に立っているため、敷地に入らなくても二面の外観をまとめて眺められます。酒蔵見学を予約すれば敷地内を案内してもらえますが、蔵の内部は対象外です。
- 村井醸造脇蔵はもともと何に使われていた蔵ですか。
- 穀物を納める穀蔵として建てられました。村井家は江戸時代からこの地で醸造業を営んでいます。名称の「脇蔵」は主となる蔵の脇に立つ蔵という意味です。建設は明治35年(1902年)以前、建築面積105平方メートルの2階建です。
- 村井醸造脇蔵はいつ登録されましたか。
- 平成12年(2000年)12月4日、登録番号第08-0045号として登録されました。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」です。村井醸造の4件の登録物件のうち最も早く、店舗と煙突より4年先んじています。真壁の名を高めたおよそ104棟の登録の流れのなかにありました。
- 村井醸造脇蔵の所有者は誰ですか。
- 茨城県教育委員会は所有者を「個人」と記載しています。文化庁の国指定文化財等データベースでは所有者名の欄が空欄で、これは個人所有の登録物件では珍しくありません。実際には村井醸造株式会社が使用・管理する敷地の中にあります。
- 村井醸造脇蔵へはどのように行けばよいですか。
- 所在地は茨城県桜川市真壁町真壁72です。最寄り駅はJR水戸線の岩瀬駅で、タクシーで約20分。南からはつくば駅発のつくば市バスで約50分の筑波山口へ行き、桜川市バス「ヤマザクラGO」に乗り換えて約20分、上宿バス停で降ります。車なら桜川筑西インターチェンジから約20分です。
基本情報
| 名称 | 村井醸造脇蔵(むらいじょうぞうわきぐら) |
|---|---|
| 所在地 | 茨城県桜川市真壁町真壁72 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)、登録番号第08-0045号 |
| 指定年 | 2000年(平成12年)12月4日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 建築面積105平方メートル、桁行7間・梁間4間、2階建、土蔵造・瓦葺 |
| 所有者 | 個人(茨城県教育委員会による)。文化庁の国指定文化財等データベースでは所有者名の欄は空欄 |
| 公開状況 | 外観のみ公道から常時無料で見学可。内部は非公開 |
参考文献
- 村井醸造脇蔵/国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001995
- 村井醸造脇蔵ほか1棟/茨城県教育委員会
- https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-registered-6558/
- 桜川市真壁伝統的建造物群保存地区/桜川市
- https://www.city.sakuragawa.lg.jp/education/bunkazai/city_bunkazai/kuni_bunkazai/page003423.html
- 真壁のひなまつり/桜川市
- https://www.city.sakuragawa.lg.jp/tourism_guide/play/page002066.html
- 酒蔵見学のご案内/村井醸造株式会社
- https://www.komei.co.jp/brew-factory2.html
最終更新日: 2026.09.08