小里川発電所本館とは
小里川発電所本館は、茨城県常陸太田市徳田町にある大正14年(1925年)建設の水力発電所建屋で、平成16年(2004年)11月8日に登録有形文化財に登録された。里美地区を南北に貫いて流れる里川の上流域に建ち、運転を始めたのは翌大正15年(1926年)2月である。計画したのは小里川電力株式会社で、現在は東京発電株式会社が所有し、無人のまま発電を続けている。
建物は鉄筋コンクリート造の平屋建、建築面積186平方メートル。屋根は切妻造で瓦棒鉄板を葺き、平側の中央に玄関ポーチを張り出す。小屋組には鉄骨のフィンクトラスを用いた。内部には横軸水車と発電機を据え、落差102.31メートル、出力1000キロワットで運転している。
山側の斜面には、上部水槽から一気に下ってくる水圧鉄管が伸びる。杉に覆われた急斜面を鉄管がまっすぐ落ちてくる構図は、小里川発電所本館を正面から眺めたときにいちばん強く目に入る。
登録有形文化財としての価値
登録の基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。里川では明治41年(1908年)の中里発電所を皮切りに開発が進み、大正15年(1926年)までに複数の発電所が並んだ。茨城県で最初に電源開発された流域であり、小里川発電所本館はその最終段階にあたる。
同じ里川沿いの賀美発電所と徳田発電所の本館が木造であるのに対し、小里川発電所本館は鉄筋コンクリート造で建てられた。所有する東京発電株式会社も、この違いを本館の特徴として挙げている。木造から鉄筋コンクリート造へ移る境目の建屋が、ひとつの川筋に並んで残っている。
平成29年(2017年)には、これらの施設が「里川水系水力発電所群」として土木学会の選奨土木遺産に認定された。小里川発電所本館は、取水所・放水路・余水路とともにその構成要素に数えられている。
見どころ
小里川発電所本館の外観でまず見たいのは軒まわりである。軒蛇腹が段状につくられ、単調になりがちな箱形の壁面に陰影を落としている。玄関ポーチも同じ調子でまとめられていて、当時としては新しい材料だった鉄筋コンクリートを、どう建築の言葉に翻訳するかを考えた跡が読み取れる。
屋根の瓦棒鉄板葺も見落とせない。等間隔に走る瓦棒の細い影が、切妻の面をきれいに分割する。鉄板葺は山あいの発電所で広く使われた仕上げで、里川沿いの他の建屋も同じ葺き方をとっている。
前面には放水路が開き、背後には水圧鉄管が上がる。水がどこから来てどこへ帰るのかが、立った場所から一続きに見渡せる。発電所と聞いて思い浮かべる巨大な設備とは違い、1000キロワットの水力発電が平屋一棟でおさまっていることが分かる。
小里川発電所本館の見学方法とアクセス
小里川発電所本館は稼働中の発電施設で、内部は公開されていない。見学会や特別公開の予定も設けられていない。敷地は東京発電株式会社の私有地のため立ち入れないが、建物の外観は前を通る道路から望める。撮影も道路上からであれば妨げられない。柵の内側に入ったり機器に触れたりしないよう気をつけたい。
公共交通の便は限られる。国道349号を里美地区まで北上し、徳田町へ入るのが一般的な経路で、JR水郡線の終点である常陸太田駅からは自動車でおよそ1時間かかる。来訪者用の駐車場はないので、路肩に停める場合は生活道路をふさがない位置を選びたい。
川沿いの道は狭く、足元が舗装されていない箇所もある。増水しているときや雪の日は近づかないほうがよい。(見学に関する情報は2026年9月時点)
Q&A
- 小里川発電所本館は見学できますか?内部に入れますか?
- 稼働中の無人発電所のため、内部は公開されていません。外観は前面の道路から見ることができます。敷地は私有地なので立ち入りはできません。
- 小里川発電所本館はいつ建てられましたか?
- 大正14年(1925年)の建設で、運転開始は翌大正15年(1926年)2月です。計画したのは小里川電力株式会社でした。
- 小里川発電所本館へのアクセスは?最寄り駅はどこですか?
- 所在地は常陸太田市徳田町です。JR水郡線の終点、常陸太田駅から国道349号経由で自動車でおよそ1時間かかります。公共交通の便は限られます。
- 小里川発電所本館は撮影できますか?
- 公道からの撮影に制限はありません。敷地内に入っての撮影や、設備に近づいての撮影はできません。
- 小里川発電所本館はどんな構造ですか?
- 鉄筋コンクリート造平屋建、建築面積186平方メートル、切妻造の瓦棒鉄板葺です。小屋組は鉄骨フィンクトラスで、内部に横軸水車と発電機を据えています。
基本データ
| 名称 | 小里川発電所本館 |
|---|---|
| 所在地 | 茨城県常陸太田市徳田町1284-2 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成16年(2004年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 鉄筋コンクリート造平屋建、鉄板葺、建築面積186平方メートル |
| 所有者 | 東京発電株式会社 |
| 公開状況 | 外観のみ。内部は非公開 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 小里川発電所本館(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00004313
- 文化遺産オンライン 小里川発電所本館
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/184223
- 有形文化財(東京発電株式会社)
- https://tokyohatsuden.co.jp/csr/cultural_property/
- 土木学会関東支部 選奨土木遺産 里川水系水力発電所群
- https://www.jsce.or.jp/branch/kanto/04_isan/h29/h29_4.html
最終更新日: 2026.09.05