俳号を冠した茅葺の草庵茶室

昭和10年(1935)、千代尼百五十回忌に際して聖興寺に建てられた建物のひとつに、草風庵と呼ばれる茅葺の茶室がある。名は飾りではない。草風は千代尼が用いた俳号のひとつで、この小さな建物はその俳名を題に負っている。

千代尼堂の南側に東面して建ち、格式ばった数寄屋というより、開放的で気取らない草庵風の茶室として立ち現れる。建築面積はおよそ61平方メートル。隣の追善堂よりは大きいが、なお慎ましい規模である。

特徴ある屋根と登録の価値

草風庵は平成19年(2007)に国の登録有形文化財となった。最も目を引くのは屋根である。南北棟の入母屋に東西棟の入母屋屋根を交差させ、突き出した凸型の輪郭をつくる。これほど小さな建物には珍しい構成で、庭に対して変化に富む姿を見せる。

平面も屋根に呼応する。正面中央の突出部が広間8畳、北に茶室4畳、背面から南側に水屋、正面に土庇を配する。全体は穏やかな意匠でまとめられ、俳人の庵にふさわしい落ち着きを備える。

拝観のポイント

草風庵は、千代尼堂・千代尼塚・遺芳館とともに、境内西側の追善の一画に属する。ここは参詣者を迎える区域であり、庵の外観と特徴的な屋根を間近に見ることができる。

銅板の仮葺で守られた茅葺と、開かれた正面が、庵を閉ざさず庭とつなげている。東側の瓦葺の茶室と読み合わせると、ひとつの境内に二つの異なる茶室の理念が並び立っていることが分かる。

Q&A

Q草風庵という名の由来は何ですか。
A草風は千代尼が用いた俳号のひとつで、この茶室は俳人にちなんで名づけられました。
Qいつ建てられたのですか。
A昭和10年(1935)、千代尼堂と同時に百五十回忌のために建てられ、平成19年(2007)に登録有形文化財となりました。
Q屋根の特徴は何ですか。
A南北棟の入母屋に東西棟の入母屋を交差させ、突き出した凸型の輪郭をつくります。小規模な建物としては珍しい形です。
Qどのような部屋がありますか。
A突出部に広間8畳、北に茶室4畳、背面と南に水屋、正面に土庇を備えます。
Q見学できますか。
A千代尼堂や墓とともに、境内の追善区域の一部として外観を見学できます。

基本情報

名称聖興寺草風庵
所在地石川県白山市中町56-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日平成19年(2007)12月5日登録(同年12月19日告示)
登録番号17-0167
登録基準国土の歴史的景観に寄与しているもの
時代・年代昭和10年(1935)
構造及び形式等木造平屋建、茅葺(銅板仮葺)、建築面積61平方メートル
員数1棟
所有者宗教法人聖興寺
公開状況現役の寺院で内部は通常非公開。千代尼堂・草風庵・遺芳館(拝観料200円)は見学可。

参考文献

Agency for Cultural Affairs National Cultural Properties Database
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00006715
加賀の千代女|白山市公式ホームページ
https://www.city.hakusan.lg.jp/bunka/bunkashinko/1002773/1002775/index.html
聖興寺|うらら白山人(白山市観光サイト)
https://www.urara-hakusanbito.com/spot/detail_1100.html
聖興寺 公式サイト
https://shokoji.jp/

最終更新日: 2026.07.11