旧朴舘家住宅とは 旧奥州街道沿いの山あいに建つ大型民家

旧朴舘家住宅(岩手県二戸郡一戸町)は、岩手県二戸郡一戸町小鳥谷にある文久2年(1862年)頃の建築と伝わる茅葺の大型民家で、主屋と土蔵の2棟が平成23年(2011年)に国の重要文化財に指定された。読みは「きゅうほおのきだてけじゅうたく」である。

旧朴舘家住宅は、一戸町のほぼ中央、旧奥州街道に沿った山あいに位置する。一戸町によれば、朴舘家は江戸時代中頃に現在の二戸市浄法寺町漆沢から移り住んだ。昭和初期までは山林750町歩、田畑12町歩を持つ大地主で、時代に応じて林業、農業、漆蝋の生産、牛馬の生産、木炭業、養蚕などを営み、常に10人前後を雇っていたという。主屋と庭は地区の行事の場にもなっていた。

敷地は緩やかな北向きの斜面で、中央に主屋が東を正面にして建ち、その西側に土蔵が南を向いて建つ。主屋は平成2年(1990年)5月1日に岩手県の有形文化財に指定され、平成4年(1992年)に朴舘家から一戸町へ寄付された。国の重要文化財の指定では、主屋と土蔵に加えて土地も併せて保存の対象になっている。

旧朴舘家住宅が重要文化財に指定された理由

主屋は桁行29.9メートル、梁間16.4メートルの寄棟造で、一戸町は約150坪の広さをもつ岩手県内最大規模の民家としている。文化庁の解説は、重厚な軸部の構成と広大な内部空間をもつ大規模民家であることをまず評価する。

もう一つの評価点は間取りである。正面に式台を構え、奥に3室の座敷を並べるなど、客を迎える空間が充実している。その一方で、北側には牛馬を飼うための広い土間がある。文化庁は、こうした構成が当地の牧畜との結びつきを示し、南部藩領の上層民家の特徴をよく表していると説明している。指定基準は「流派的又は地方的特色において顕著なもの」である。

岩手県では、主屋に馬屋をL字形につなげた曲り家がよく知られる。旧朴舘家住宅は馬屋を建物の中に収め、上から見ると長方形になる直屋(すごや)の形で、一戸町はこれを「直ご屋」と呼んでいる。

旧朴舘家住宅の見どころ 八寸角の柱と二重の梁

主屋の北側約4割は土間で、深く掘り込んだ広いマヤ(馬屋)を板壁で囲い、残りを作業場のニワとする。一戸町によれば、牛や馬を常に10頭ほど飼っていたという。

床上の南側は、部屋が3列に並ぶ。土間に面した北の列は、正面に式台、その北に2畳ほどのネベヤ、後ろに板敷の広いダイドコ、背面にハシリが続く。ダイドコには前後2か所に囲炉裏が切られ、灯明用のマツイシが据えられている。中の列は東からジョイ、ナンドの順で、上手の南の列には西の奥からオクザシキ、ナカザシキ、シタザシキの3室が並ぶ。座敷には内法長押が回り、オクザシキには床と物入れが造られ、ナカザシキとの境には筬欄間が入る。

構造の見どころは軸組と小屋組の太さにある。ダイドコのまわりには八寸角の柱が立ち、成(高さ)の大きい差物で固められている。ジョイやシタザシキでは、成が2尺を超える差物が架け渡される。一戸町の説明では、柱の大半は栗で、一部に杉とケヤキを使い、座敷の巨大な差物には松が用いられている。小屋組は角材や瓜剥きの梁を二重に架け、1間ごとに立てた小屋束を貫で固め、その上に扠首を組む。屋根の棟は土と草をのせた芝棟で、煙出しが上がる。

土蔵は桁行11.5メートル、梁間8.6メートルの土蔵造2階建で、切妻造の置き屋根を鉄板で葺き、南面の出入口に庇を付ける。外壁は漆喰塗、腰はモルタルの洗出し仕上げで、1階の西側は土間の味噌部屋になっている。文化庁の詳細解説では、墨書から明治16年(1883年)頃の建築とされている。

旧朴舘家住宅の見学方法と公開休止

旧朴舘家住宅は、保存修理工事のため令和7年(2025年)8月1日から令和12年(2030年)9月30日まで(予定)公開を休止している。一戸町によると、平成5年(1993年)の屋根の葺替え以降は大規模な修理が行われておらず、雨漏りによる構造材の腐朽や不同沈下による建物のゆがみが進み、倒壊の危険性が高まっていた。町は令和6年度(2024年度)から保存修理に着手し、建物の半解体を伴う根本修理を進めている。

休止前は見学無料で、見学時間は午前9時から午後4時までだった。工事期間中に敷地の外からどこまで建物が見えるかは、公式の案内に記載がない。修理の様子は町のホームページなどで知らせるとされているので、訪れる前に一戸町教育委員会の世界遺産課文化財係に確かめておきたい。

所在地は一戸町小鳥谷字朴舘20番地1である。東北観光推進機構の案内では、IGRいわて銀河鉄道の小鳥谷駅から徒歩で35分、車で5分、八戸自動車道の一戸インターチェンジから車で10分ほどかかる。公開が再開された後の見学時間や撮影の可否は、再開時の町の案内で確認してほしい。

Q&A

Q旧朴舘家住宅は今見学できますか?
A旧朴舘家住宅は保存修理工事のため、令和7年(2025年)8月1日から令和12年(2030年)9月30日まで(予定)公開を休止しています。最新の状況は一戸町に確認してください。
Q旧朴舘家住宅はいつ建てられたものですか?
A主屋は文久2年(1862年)頃の建築と伝えられます。土蔵は墨書から明治16年(1883年)頃の建築とされています。
Q旧朴舘家住宅はどのくらいの大きさですか?
A主屋は桁行29.9メートル、梁間16.4メートルで、一戸町は約150坪の岩手県内最大規模の民家としています。土蔵は桁行11.5メートル、梁間8.6メートルの2階建です。
Q旧朴舘家住宅は曲り家ですか?
Aいいえ。旧朴舘家住宅は馬屋を建物の中に収めた長方形の直屋(すごや)です。北側の約4割を占める土間の一部が馬屋になっています。
Q旧朴舘家住宅へのアクセスは?
AIGRいわて銀河鉄道の小鳥谷駅から徒歩約35分、車で約5分です。八戸自動車道の一戸インターチェンジからは車で約10分です。

基本情報

名称旧朴舘家住宅(岩手県二戸郡一戸町) 主屋・土蔵
所在地岩手県二戸郡一戸町小鳥谷字朴舘20番地1
指定区分重要文化財
指定年平成23年(2011年)
員数2棟(ほかに土地)
寸法主屋 桁行29.9m、梁間16.4m/土蔵 桁行11.5m、梁間8.6m
所有者一戸町
公開状況保存修理工事のため公開休止中(2030年9月30日まで予定)

参考文献

国指定文化財等データベース 旧朴舘家住宅(岩手県二戸郡一戸町) 主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00004545
国指定文化財等データベース 旧朴舘家住宅(岩手県二戸郡一戸町) 土蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00004546
文化遺産オンライン 旧朴舘家住宅 主屋
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/241383
文化遺産オンライン 旧朴舘家住宅 土蔵
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/174354
一戸町 旧朴舘家住宅
https://www.town.ichinohe.iwate.jp/soshikikarasagasu/sekaiisanka/bunkazaikakari/1/01/944.html
いちのへ観光公社・一戸町観光協会 国指定重要文化財「旧朴舘家住宅」
https://www.ichinohekankou.jp/sightseeing/history-2/hounokidateke/
東北観光推進機構 国指定重要文化財「旧朴舘家住宅」
https://www.tohokukanko.jp/attractions/detail_1001559.html

最終更新日: 2026.10.05

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