名古屋城二之丸に建っていた兵舎

明治村歩兵第六聯隊兵舎は、愛知県犬山市の博物館明治村にある明治6年(1873年)建設の木造兵舎で、平成16年(2004年)2月17日に登録有形文化財(建造物)に登録された。

建てられた場所は名古屋城の二之丸である。明治2年(1869年)に兵部省が置かれ、陸軍はフランス式にならって整備が進められた。明治4年(1871年)には全国に4つの鎮台が置かれ、名古屋には東京鎮台の第三分営が入る。それが明治6年(1873年)に鎮台へ昇格し、このとき歩兵第六聯隊が編成された。

聯隊の敷地は中央に広い営庭をとり、それを囲むように10棟の中隊兵舎が並んでいた。明治村へ移されたのはそのうちの一棟、第十中隊の兵舎である。

建てられた当時は桁行が50メートル余りあった。移築にあたって復原されたのはおよそ3分の2で、現在の建築面積は389平方メートルである。昭和38年(1963年)に解体され、昭和40年(1965年)に明治村へ移された。鎮台の時代の兵舎が建物として残っている例はほとんどなく、明治村歩兵第六聯隊兵舎はその数少ないひとつにあたる。

登録の理由と、壁のなかの工夫

明治村歩兵第六聯隊兵舎が登録有形文化財となった根拠は、造形の規範となっていることにある。文化庁の国指定文化財等データベースは、木造2階建の寄棟造であること、外壁を白い漆喰塗の大壁として胴蛇腹を巡らせること、やや幅広の上げ下げ窓を開くこと、そして入口のポーチが起り屋根をトスカナ式の円柱で受けることを挙げ、鎮台時代の兵舎建築の遺存例と評価している。

見た目は白い壁に窓が並ぶだけの素っ気ない建物である。ところが壁の断面を知ると印象が変わる。7寸角、およそ21センチメートルの通し柱を土台から軒まで一本で立て並べ、その上に木摺を斜めに打ち、さらに平瓦を張って下地としたうえで白漆喰で仕上げている。愛知県の解説は、この構法を耐震、防火、防寒のいずれにも優れたものと評価する。

屋根を支える小屋組も丁寧である。梁間4間、およそ7.2メートルを飛ばす小屋組の随所に帯鉄が使われている。西洋の建築書を手がかりに、日本の大工が手持ちの材料と技術で兵舎を組み立てた結果が、この壁と小屋組に出ている。軒垂木まで漆喰で塗り込めているのも、火に対する構えの一部である。

員数は1棟。木造2階建、瓦葺で、建築面積は389平方メートルである。

ポーチの円柱、増やされた窓、内務班の部屋

外観

明治村歩兵第六聯隊兵舎の入口は、建物の前後に計4箇所ある。ポーチの屋根は緩やかに反った鉄板葺で、これをトスカナ式の円柱が支える。柱の中ほどはわずかに膨らんでいて、直線ではない。扉は櫛形の欄間を伴う唐戸で、軍の施設としては手のこんだつくりである。

壁を見ると、上下の階に幅広の上げ下げ窓が数多く並んでいる。ただし創建の時点では、窓の数は現在のおよそ半分だった。室内を明るくするために後から増やされたもので、明治村では展示の環境を考えて、増設された状態で復原している。当初の姿ではないことを承知したうえで、なぜ窓が足されたのかを考えながら見ると面白い。

内部

内部には兵士が寝起きした内務班の部屋が復原され、木製のベッドが置かれている。中隊長室と下士官室も当時の姿に戻されている。家具は装飾よりも耐久性を優先して作られたと伝えられ、実際に置かれているものを見ると、装飾らしい装飾がほとんどない。

白漆喰の壁と幅広の窓が並ぶ空間は明るく、想像される軍隊の建物より天井が高い。50メートルを超えていた当初の長さを思い浮かべながら歩くと、10棟が営庭を囲んでいた頃の規模が見当をつけやすくなる。

見学方法とアクセス

明治村歩兵第六聯隊兵舎は博物館明治村の4丁目36番地に建つ。入村料だけで見学でき、建物ごとの追加料金はない。内部に入って見学できるが、安全確保や修理のため立ち入りを制限する箇所が出ることがあるので、当日の掲示に従ってほしい。

入村料は大人2500円、高校生1500円、中学生と小学生が700円で、未就学児は無料である(2026年9月確認)。20名以上の団体割引と年間パスポートもある。

開村時間は季節で変わる。3月と4月から7月、9月と10月は午前9時30分から午後5時まで。8月は午前10時から午後5時まで。11月は午前9時30分から午後4時までで、土曜日と休日は午後5時まで延びる。12月から2月は午前10時から午後4時まで。入村は閉村の30分前までである。休村日は夏と冬にまとまって設定されるため、出発前に開村カレンダーを見ておきたい。

個人での写真撮影に手続きは要らない。ただし建物内での三脚使用と、山林に立ち入っての撮影は禁じられている。桁行の長い建物なので、正面から全体を入れるには少し離れた位置に立つとよい。

交通は、名鉄犬山駅東口から明治村行きの岐阜バスに乗るのが基本になる。名古屋駅と栄からは名鉄バスの直行便がある。車の場合は中央自動車道の小牧東インターチェンジから3キロメートル、北口を出てすぐの駐車場は普通車1000円である。明治村歩兵第六聯隊兵舎のある4丁目は正門から奥まった位置にあるため、村内バスを使うか北口側から入る順路にすると歩く距離を抑えられる。

Q&A

Q明治村歩兵第六聯隊兵舎は見学できますか。入館料と開いている時間は。
A見学できます。博物館明治村の入村料に含まれ、建物単独の料金はありません。入村料は大人2500円、高校生1500円、中学生と小学生が700円です。開村時間は季節で変わり、春と秋はおおむね午前9時30分から午後5時まで、冬は午前10時から午後4時までです。入村は閉村の30分前で締め切られます。
Q明治村歩兵第六聯隊兵舎はもともとどこにあった建物ですか。
A名古屋城の二之丸です。明治6年(1873年)に名古屋鎮台が置かれ、歩兵第六聯隊が編成されたときに建てられた中隊兵舎のひとつで、第十中隊の兵舎にあたります。昭和38年(1963年)に解体され、昭和40年(1965年)に犬山市の明治村へ移築されました。
Q明治村歩兵第六聯隊兵舎は建設当時のままの大きさですか。
A同じではありません。名古屋城内にあった当時は桁行が50メートル余りありましたが、移築にあたって復原されたのはおよそ3分の2です。現在の建築面積は389平方メートルです。窓の数も創建時のおよそ2倍に増えており、明治村は後から増設された状態で復原しています。
Q明治村歩兵第六聯隊兵舎の中には何が展示されていますか。
A兵士が寝起きした内務班の部屋が復原され、木製のベッドが置かれています。中隊長室と下士官室も当時の姿に戻されています。家具は耐久性を重視して作られたと伝えられており、装飾の少ない実用本位のつくりを確認できます。
Q明治村歩兵第六聯隊兵舎の外壁はどのように造られていますか。
A7寸角、およそ21センチメートルの通し柱を土台から軒まで立て並べ、木摺を斜めに打ち、平瓦を張って下地としたうえで白い漆喰で仕上げています。愛知県の解説は、この構法を耐震、防火、防寒のいずれにも優れたものと評価しています。軒垂木も漆喰で塗り込められています。

基本情報

名称明治村歩兵第六聯隊兵舎
所在地愛知県犬山市内山1 博物館明治村内
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年2004年(平成16年)登録
員数1棟
寸法木造2階建、瓦葺、建築面積389平方メートル
所有者公益財団法人明治村
公開状況公開(博物館明治村の入村料に含まれる。内部見学可)

参考文献

国指定文化財等データベース 明治村歩兵第六聯隊兵舎 — 文化庁
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003860
明治村歩兵第六聯隊兵舎 — 文化遺産オンライン
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/188590
明治村歩兵第六聯隊兵舎 — 文化財ナビ愛知(愛知県)
https://jmapps.ne.jp/aichi_bunkazai/det.html?data_id=1906
歩兵第六聯隊兵舎 — 博物館明治村
https://www.meijimura.com/sight/歩兵第六聯隊兵舎/
各種料金 — 博物館明治村
https://www.meijimura.com/guide/price/
開村スケジュール — 博物館明治村
https://www.meijimura.com/guide/open/
アクセス — 博物館明治村
https://www.meijimura.com/guide/access/

最終更新日: 2026.09.03