本山寺大師堂 ― 本堂の南東で西を向く寛政の堂

本山寺大師堂は、香川県三豊市豊中町本山の本山寺境内にある寛政7年(1795年)建立の仏堂で、平成26年(2014年)12月19日に国の登録有形文化財に登録された。四国八十八ヶ所の札所では、本尊を祀る本堂と並んで弘法大師空海を祀る大師堂が参拝の要となり、遍路は両方で手を合わせてから納経所へ向かう。

建物は本堂の南東に位置し、西を向いて建つ。向かい側には東を向いた十王堂があり、2棟が本堂の前庭を左右から挟む構えになっている。建築面積は104平方メートル。明治16年(1883年)に改修を受けた。

登録の理由 ― 境内復興の姿を示す一棟

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は本山寺大師堂について、柱こそ角を削いだ面取角柱と控えめだが、組物を出組とし、柱間の中備に平三斗を置き、軒に支輪を付けた本格的な形式だと述べる。そのうえで、この境内で進められた復興整備の実像を示す建物と位置づけている。

本山寺では、中世の本堂を核にして、江戸時代の中期から後期にかけて周囲の堂宇が順に整えられた。本山寺大師堂はその流れの後半に建った一棟で、札所としての参拝の動線が固まっていく時期の姿をとどめている。

見どころ ― 簡素な柱と手の込んだ軒

平面は方三間、屋根は入母屋造の本瓦葺で、正面に一間の向拝を付ける。内部は前の二間を外陣、奥の一間を内陣とし、どちらにも格天井を張る。

増築の跡にも目を向けたい。向拝と背面の張出しは後から足された部分で、建った当初は向拝のない方三間の堂だったことになる。側面から眺めると、本体の屋根と張出し部分の関係をたどりやすい。

いちばんの見どころは軒下である。柱の上の組物は一手持ち出す出組で、柱と柱のあいだには平三斗が並び、その上の垂木の奥には支輪が斜めに張られる。柱が面取角柱という簡素な造りであるぶん、軒まわりに手間を集中させた設計がよく分かる。

見学方法

本山寺大師堂の外観は境内から自由に見られる。内部の拝観について寺からの案内は見当たらず、見学は外観が中心になる。正面では遍路が読経していることが多いので、長く正面を占めないよう心がけたい。

出組と支輪は、向拝の脇から斜めに見上げると読み取りやすい。正面が西を向いているため、午後になると軒下まで光が入り、組物の陰影がはっきりする。外観の撮影を制限する公式の規定は確認できなかったが、読経中の参拝者を写し込まない配慮をし、現地の掲示に従いたい。

Q&A

Q本山寺大師堂はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか?
A寛政7年(1795年)の建立で、明治16年(1883年)に改修されています。平成26年(2014年)12月19日に国の登録有形文化財に登録されました。登録番号は37-0408です。
Q本山寺大師堂には何が祀られていますか?
A四国八十八ヶ所の札所の大師堂は弘法大師空海を祀る堂で、本山寺大師堂も同じ役割を担います。遍路は本堂と大師堂の両方で参拝します。
Q本山寺大師堂の内部は見学できますか?
A内部公開についての案内は確認できず、見学は外観が中心になります。出組の組物、中備の平三斗、軒の支輪は外から観察できます。
Q本山寺大師堂は境内のどこにありますか?
A本堂の南東で、西を向いて建っています。南の二王門から入ると本堂へ向かう右手にあたり、左手で東を向いているのが十王堂です。
Q本山寺大師堂の建築上の特徴は何ですか?
A方三間・入母屋造・本瓦葺の堂に一間の向拝を付けた形で、柱は簡素な面取角柱ですが、出組の組物、中備の平三斗、軒の支輪という本格的な軒まわりを持ちます。向拝と背面の張出しは後の増築です。

基本情報

名称本山寺大師堂(もとやまじだいしどう)
所在地香川県三豊市豊中町本山甲字新田1760-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成26年(2014年)12月19日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積104平方メートル
所有者宗教法人本山寺
公開状況外観は境内から見学可、拝観料なし

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)本山寺大師堂
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010368
三豊市 文化財一覧(登録有形文化財)
https://www.city.mitoyo.lg.jp/kakuka/kyouikuiinkai/shogai/3_1/history_bunnkazai/13938.html
四国八十八ヶ所霊場会 七宝山持宝院本山寺
https://88shikokuhenro.jp/70motoyamaji/

最終更新日: 2026.09.26