アプローチの突き当たりに構える長屋門

八栗寺の参道から北へ入り、屋敷へのアプローチ道路をたどると、その突き当たりに主屋を背にして山田家の長屋門が構える。長屋門とは、細長い建物の中央に通路を開いた門で、その両脇には奉公人の部屋や納屋、あるいは厩などが並んだ。この門は文字どおり長大で、桁行十四間と主屋に肩を並べる。

屋根は入母屋造・本瓦葺で、背後の主屋と同じ語彙をもつ。門と居宅が一対の姿として読めるのはそのためだ。規模そのものが多くを語る。これほどの長さの門は格をもつ家に許されたもので、江戸期に庄屋を務め、のちに酒を醸した山田家には、それを建てる家格があった。

登録では江戸後期、およそ宝暦から文政(一七五一~一八二九)にかけての建造とされ、周囲の大正期の酒造建物より古い。屋敷入口の石灯籠とともに、この門は登録建造物のなかで最も古い部類に入る。

門の企て

長屋門は無造作に置かれたのではない。門口の位置は、背後の主屋がもつ二つの玄関に対応している。格式ある客を迎える式台玄関と、土間の働く玄関。つまり門は、それが構える家の秩序に合わせて配され、格式の道は格式の戸口へ、日常の道は日常の戸口へと通じるよう仕組まれていた。

この対応を読み解くのがこの建物の面白さである。通路に立って主屋を見通すと、訪れる者の格がかつて歩む道そのものを形づくっていたことが見えてくる。近年、門の身舎は改装され、いまは食事の場としても使われる。奉公人の部屋が並んだ長い内部に、今は卓が置かれている。

登録群のなかの位置

長屋門は平成十三年(二〇〇一)十月十二日、主屋や屋敷内の他の建物とともに、歴史的景観に寄与するものとして国の登録有形文化財となった。屋敷全体の門として、この建物は到着の場面を縁取る。くぐり抜ければそこは屋敷の世界の内側で、居宅・酒蔵・煙突が周囲に配されている。

食事に訪れる人にとって、門は体験の敷居となる。通り抜ける前に通路で少し立ち止まり、その長さが主屋と呼応することを確かめ、かつて奥の二つの戸口に応じた二つの門口を探してみたい。

Q&A

Q長屋門とは何ですか。
A細長い建物の中央に通路を通した門です。両脇の身舎には奉公人の部屋や納屋などが入り、その規模が家の格を示しました。
Qいつ頃のものですか。
A登録では江戸後期、およそ一七五一年から一八二九年とされ、同じ屋敷の大正期の酒造建物より古い建物です。
Qなぜ門口が主屋と揃っているのですか。
A主屋の二つの玄関、客用の式台玄関と土間玄関に合わせて開けられており、進む道が家の秩序に対応するよう仕組まれています。
Q門は今、何かに使われていますか。
Aはい。長い内部は改装され、いまは山田家うどん店の食事空間の一部として利用されています。
Qどれくらいの大きさですか。
A桁行十四間と主屋に匹敵する長さで、建築面積は約百五十八平方メートルです。

基本情報

名称山田家(旧清酒源氏正宗醸造元)長屋門
所在地香川県高松市牟礼町牟礼3186
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日2001年(平成13)10月12日/登録番号 37-0076
時代江戸後期(1751〜1829年頃)
構造木造平屋建、瓦葺、建築面積158㎡、1棟
現況「うどん本陣 山田家」の一部として利用

References

文化庁 国指定文化財等データベース — 山田家(旧清酒源氏正宗醸造元)長屋門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002460
うどん本陣 山田家 — 公式サイト
https://www.yamada-ya.com/
うどん県旅ネット(香川県観光協会)— うどん本陣 山田家
https://www.my-kagawa.jp/udon/521/

最終更新日: 2026.07.05