切石の擁壁に載る石の練塀

山吉山本家住宅練塀は、香川県小豆郡小豆島町馬木にある明治時代後期の石練塀で、平成17年(2005年)2月9日に国の登録有形文化財に登録された。登録番号は37-0257。山吉山本家住宅の南西の縁を囲い、番屋から離れ屋までをつないでいる。

道筋は文化庁の解説文に細かく記されている。番屋の西の妻から西へ向かい、屋敷地の南西の隅で北へ折れる。北へ進んで山吉醤油の諸味蔵の手前まで来ると、東へ直角に曲がり、離れ屋の北西の端に取り付いて終わる。折れ曲がりを含めた延長は30メートル。登録上は「石練塀、瓦葺」とされる。

塀は地面から直接立ち上がるのではなく、花崗岩の切石を精緻に積んだ石垣の擁壁の上に築かれている。その上に、石垣の切石より小振りな割石を高さ1.2メートルまで積み上げ、頂部に桟瓦葺の小さな屋根を載せる。

登録の理由:再現の難しい石積み

山吉山本家住宅の5件のうち、主屋・番屋・離れ屋・土蔵の4件は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。山吉山本家住宅練塀だけは基準が異なり、「再現することが容易でないもの」が適用されている。

この基準が選ばれた理由は、石の扱いにある。下の擁壁は大きな切石を精緻に積み、上の塀は小振りな割石を巧みに組み合わせる。石の大きさも加工の度合いも違う二つの石積みを、一つの構造として重ねている。解説文が「巧みに積み上げ」と書くとおり、割石の塀は形の定まらない石を選び、噛み合わせながら積む手仕事で、同じものを今つくり直すのは容易ではない。

小豆島醤油協同組合の沿革には、江戸時代に島から大坂城築城用の石材を運ぶ石船が行き来していたことが記されている。石を切り出し、積む技術が身近にあった島の土地柄が、この塀にも表れていると考えられる。

見どころ:二段の石積みと小屋根

山吉山本家住宅練塀を見るときは、上下の境目に目を向けたい。擁壁の切石は面が整えられ、平らな面を並べた落ち着いた表情を見せる。その上で塀の割石は、大小の石が詰まり合った細かな表情に変わる。同じ花崗岩の灰白色でありながら、下は面、上は粒で見せる対比になっている。

頂部の小屋根も塀の一部である。桟瓦を載せた屋根は、石積みの天端に雨水が溜まらないよう覆い、石の隙間から水が入り込むのを防ぐ。塀の高さ1.2メートルに対して瓦の屋根が一段載ることで、石の塀に建物のような輪郭が生まれる。

道筋にも屋敷の成り立ちが読める。塀は番屋の妻に始まり、離れ屋の端に終わる。建物と建物のあいだを塀で埋め、門・塀・建物がひと続きになって屋敷の境界をつくっている。途中の折れ点では、諸味蔵の手前で向きを変えており、住まいと醸造場の区切りがこの塀の曲がり角に表れている。

見学方法

山吉山本家住宅練塀は屋敷の南西の縁を回るため、5件のなかでは番屋とともに敷地の外から見やすい。石垣の擁壁と割石の塀、瓦の小屋根の三層は、道からでも十分に確かめられる。

ただし塀の内側は私有地で、見学の受付は確認できなかった。石垣に登ったり、塀に手をかけたりしないこと。撮影は公道から行い、塀越しに屋敷の内部へレンズを向けないよう配慮してほしい。

Q&A

Q山吉山本家住宅練塀は見られますか。
A屋敷の南西の縁を回る塀なので、外観は公道から見られます。塀の内側は私有地で、見学の受付は確認できませんでした。
Q山吉山本家住宅練塀はどのような構造ですか。
A花崗岩の切石を積んだ石垣の擁壁の上に、小振りな割石を高さ1.2メートルまで積み上げ、頂部に桟瓦葺の小屋根を載せた石練塀です。
Q山吉山本家住宅練塀の長さはどのくらいですか。
A折れ曲がりを含めた延長は30メートルです。番屋の西の妻から始まり、南西の隅と諸味蔵の手前で折れて、離れ屋の北西の端で終わります。
Q山吉山本家住宅練塀はいつ登録有形文化財になりましたか。
A平成17年(2005年)2月9日です。登録番号は37-0257で、建築年代は明治後期とされています。
Q山吉山本家住宅練塀の登録基準は他の建物とどう違いますか。
A主屋・番屋・離れ屋・土蔵は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」ですが、練塀だけは「再現することが容易でないもの」として登録されています。精緻な切石積みの上に割石を巧みに積んだ技術が評価されたものです。

基本情報

名称山吉山本家住宅練塀(やまよしやまもとけじゅうたくねりべい)
所在地香川県小豆郡小豆島町馬木字今坂甲710
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成17年(2005年)2月9日登録
員数1棟
寸法折曲り延長30メートル、高さ1.2メートル
所有者文化庁データベースに記載なし
公開状況一般公開の案内なし。外観は公道から

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース:山吉山本家住宅練塀
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00004665
文化庁 国指定文化財等データベース:山吉山本家住宅番屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00004661
小豆島醤油協同組合:小豆島醤油の歩み
https://shima-shoyu.com/history/

最終更新日: 2026.09.26