屋敷の中心に据えられた平屋の母屋
山吉山本家住宅主屋は、香川県小豆郡小豆島町馬木にある明治時代後期の木造平屋建の住宅で、平成17年(2005年)2月9日に国の登録有形文化財に登録された。登録番号は37-0252。醤油醸造所と同じ屋敷地に建つ山吉山本家住宅5件のうち、暮らしの中心となった建物である。
敷地の中央からやや東に寄せ、棟を東西に通して建つ。平面は桁行18メートル、梁行11メートル。登録上の建築面積は233平方メートルで、主屋から西の離れ屋へ延びる渡り廊下も登録の範囲に含まれている。
屋根は二段に分かれる。中心の上屋は切妻造で桟瓦葺、その四周に本瓦葺の下屋を廻す。内部は東側を土間、西側を床上の居室とする。南面のほぼ中央には入母屋造の玄関が張り出し、北東の角からは切妻造の釜屋が突き出している。
登録の理由と「豪壮な構え」
山吉山本家住宅主屋に適用された登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説文は、張り出した玄関と突き出した釜屋を挙げ、この主屋が豪壮な構えをとると評している。
平屋でありながら規模が大きく、正面に格式のある玄関を突き出す形は、醤油業で財を成した家の母屋にふさわしい。土間を東、座敷を西に振り分ける構成は、この地域の農家や商家に通じる素直な間取りである。そこに入母屋の玄関と本瓦の下屋を重ねたところに、明治後期の醸造家が住まいに込めた意識が表れている。
渡り廊下が主屋の附属として登録されている点も見逃せない。隠居屋と伝えられる離れ屋は、この廊下によって主屋とひと続きになる。二棟を分けて建てながら、雨に濡れずに行き来できる動線を確保した。家族の住まい方が、建物どうしのつなぎ方に残っている。
見どころ:上屋と下屋で葺き分けた瓦
山吉山本家住宅主屋でいちばん面白いのは、屋根の葺き分けである。通常、格の高い本瓦葺は建物の中心に用い、付属的な下屋は手間の少ない桟瓦葺にすることが多い。この主屋は逆で、上屋が桟瓦、四周の下屋が本瓦になっている。
本瓦は丸瓦と平瓦を交互に組むため、軒先に丸瓦の小口が等間隔に並び、陰影の深い線ができる。地上から見上げたときに目に入るのは、上屋よりも手前にある下屋の軒である。見る人の視線がもっとも届く位置に重い瓦を回した、と考えると筋が通る。
隣の離れ屋は反対に、上屋が本瓦、下屋が桟瓦である。同じ屋敷の中で母屋と隠居屋が逆の葺き方をしている理由は記録に残っていないが、二棟を見比べると屋根の表情の違いがよく分かる。
北東に突き出た釜屋にも触れておきたい。ここで言う釜屋は、住まいの煮炊きのための竈を置いた部分で、主屋の一部である。同じ屋敷地の北側には醸造場の火を扱う「山吉醤油釜屋」が別に登録されているが、主屋の釜屋とは別の建物である。
見学方法
山吉山本家住宅主屋は内部を公開しておらず、見学の受付も確認できなかった。敷地内へは立ち入れない。
主屋は番屋と練塀の内側、屋敷の中央に建つため、敷地の外から全体を見ることは難しい。見えるとすれば、番屋越しにのぞく屋根の一部である。撮影は公道からにとどめ、住まいの窓や戸口にレンズを向けないよう配慮してほしい。
Q&A
- 山吉山本家住宅主屋は見学できますか。内部に入れますか。
- 一般公開や内部見学の案内は確認できませんでした。敷地内には立ち入らず、外から眺める形になります。主屋は屋敷の中央に建つため、外から見えるのは屋根の一部程度です。
- 山吉山本家住宅主屋はいつ建てられ、どのくらいの大きさですか。
- 文化庁のデータベースでは明治後期の建築とされています。木造平屋建で、桁行18メートル、梁行11メートル、建築面積は233平方メートルです。
- 山吉山本家住宅主屋はいつ登録有形文化財になりましたか。
- 平成17年(2005年)2月9日に登録されました。登録番号は37-0252で、番屋・離れ屋・土蔵・練塀と同じ日の登録です。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」です。
- 山吉山本家住宅主屋の釜屋は、山吉醤油釜屋と同じ建物ですか。
- 別のものです。主屋の釜屋は北東に突き出した台所部分で、主屋の一部として登録されています。山吉醤油釜屋は醸造場の建物で、別件として登録されています。
- 山吉山本家住宅主屋と離れ屋はつながっていますか。
- 渡り廊下でつながっています。この廊下は主屋の附属として主屋の登録に含まれています。
基本情報
| 名称 | 山吉山本家住宅主屋(やまよしやまもとけじゅうたくしゅおく) |
|---|---|
| 所在地 | 香川県小豆郡小豆島町馬木字今坂甲710 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成17年(2005年)2月9日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 桁行18メートル、梁行11メートル/建築面積233平方メートル |
| 所有者 | 文化庁データベースに記載なし |
| 公開状況 | 一般公開の案内なし。外観は敷地外から |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース:山吉山本家住宅主屋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00004660
- 文化庁 国指定文化財等データベース:山吉山本家住宅離れ屋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00004662
- 小豆島町:醤の郷の近代化産業遺産群
- https://www.town.shodoshima.lg.jp/gyousei/kakuka/shogaigakushuka/2/1/3151.html
最終更新日: 2026.09.26