水路に沿って58メートル続く石の塀

新照寺石塀は、鹿児島県姶良市住吉の新照寺の境内を囲む明治28年(1895年)築の石造の塀で、平成20年(2008年)4月18日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「しんしょうじいしべい」、登録番号は46-0071である。

塀は境内の南辺と西辺に沿って折れ曲がり、延長は58メートルある。境内のきわには水路が流れており、新照寺石塀はその水路に沿って築いた石積の擁壁の上に載っている。水路から見ると、下に擁壁、上に塀という二段の石積が続く形になる。

姶良市の紹介では、新照寺石塀は正門とともに、本堂の完成から2年後に水流金太郎の寄付で完成した。

壁に嵌め込まれた銘板石が年代を示す

新照寺石塀の年代は、塀そのものに記録が残っている。塀の石の一つとして銘板石が嵌め込まれており、文化庁はこの銘板から築造の年代が判明したと解説している。建物の年代を棟札で確かめる本堂に対して、塀は石に刻んだ記録で自らの年を示している。

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。境内の南と西の2辺を長く縁取る石塀は、道路や水路の側から寺を見たときの景色の大部分を占める。新照寺の4件のうち、外から最も長い距離にわたって見えるのがこの塀である。

城郭風の擁壁と3段の長石

新照寺石塀を見るときは、下の擁壁と上の塀を分けて眺めたい。下の擁壁を文化庁は「城郭風」と形容している。水路の岸から石を積み上げて境内の地盤を支える石積で、城の石垣を思わせる構えである。

その上に立つ塀は、断面が一尺角、つまり約30センチ角ほどの細長い石を3段に積み、頂部に笠石を載せたものである。長石を横に寝かせて段を重ねるので、塀の面には水平の目地が3本通り、擁壁の石積とは表情がはっきり違う。

見どころは塀が角で折れる出隅の部分である。新照寺石塀は、出隅の笠石に反りをつけて端をわずかに持ち上げている。正門の門柱の笠石と同じ細工で、塀のような付属の工作物にまで同じ手間をかけているところに、この寺の石造りへのこだわりが見える。

新照寺石塀の見学

新照寺石塀は境内の外まわりに築かれているため、南側と西側の道路から見ることができる。水路の側から見上げると、擁壁と塀の二段構えがよくわかる。出隅の笠石の反りは、南辺と西辺が出会う境内の南西の角で確かめたい。

塀の北の端には通用門があり、西側の道路からの石段がそこへ上っている。道路から撮影するときは、通行する車に気をつけたい。

Q&A

Q新照寺石塀はいつ造られましたか?
A明治28年(1895年)です。塀に嵌め込まれた銘板石から年代が判明しています。姶良市は正門とともに寄付で完成したと紹介しています。
Q新照寺石塀の長さと構造は?
A延長58メートルの石造の塀です。水路沿いの城郭風の石積擁壁の上に、約30センチ角の長石を3段に積み、頂部に笠石を載せています。
Q新照寺石塀はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」です。出隅の笠石に反りをつけるなど、凝ったつくりが文化庁の解説に挙げられています。
Q新照寺石塀はどこから見られますか?
A境内の南辺と西辺に沿っているので、南側と西側の道路から見られます。境内に入らなくても外観を確かめられます。
Q新照寺石塀の年代を示す銘板石はどこにありますか?
A文化庁の解説は石塀に嵌め込まれていると記すだけで、正確な位置は示していません。塀を歩いてたどりながら探すことになります。

基本情報

名称新照寺石塀(しんしょうじいしべい)
所在地鹿児島県姶良市住吉字櫻木545
指定区分登録有形文化財(建造物)、登録番号46-0071
指定年平成20年(2008年)4月18日登録
員数1棟
寸法石造、延長58メートル
所有者新照寺
公開状況外観は周囲の道路から見学可

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):新照寺石塀
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007154
文化遺産オンライン:新照寺石塀
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/183366
鹿児島県教育庁文化財課「かごしま文化財事典」:新照寺石塀
https://k-bunkazai-school.com/cultural/f-q-60069/
姶良市:国登録文化財(新照寺本堂・正門・石塀・通用門)
https://www.city.aira.lg.jp/bunkazai/kanko/bunka/bunkazai/kunitoroku.html

最終更新日: 2026.09.29