旅館金波楼大広間棟とは

旅館金波楼大広間棟は、熊本県八代市日奈久上西町の日奈久温泉にある昭和13年(1938年)建築の木造2階建の旅館建築で、平成21年(2009年)4月28日に国の登録有形文化財に登録された。登録番号は43-0106。

本館の東側奥に接続し、南北に長い棟として建つ。建築面積は356平方メートル、屋根は入母屋造の桟瓦葺で、東から南にかけて下屋の庇をめぐらせる。2階の全体が80畳の大広間にあてられ、北西隅には高さ15メートルの煉瓦造の煙突が付く。

登録の理由:造形の規範とされた80畳の座敷

旅館金波楼の3件のうち、旅館金波楼大広間棟だけが「造形の規範となっているもの」という基準で登録されている。本館と正門及び塀が町並みへの寄与で評価されたのに対し、こちらは建物そのものの意匠が評価の対象になった。

その中心が2階の大広間である。天井は網代に組んだ舟底天井で、中央が高く両側へ下がる舟の底を裏返したような形をとる。八代市の解説は、竹を細かく編み込んだ天井と、欄間や床の間に自然木の銘木を用いた数寄屋風の意匠を挙げている。

昭和13年(1938年)の増築で、明治42年(1909年)建築の本館に対して、昭和前期の座敷の好みが持ち込まれた。1つの宿の中で、年代の違う2つの建物を比べられるのもこの棟の価値である。

見どころ:床と違棚、琵琶床の銘木

旅館金波楼大広間棟の座敷飾りは、床、違棚、琵琶床の3つからなる。文化庁の解説は、そこに自然木の銘木を大胆にあしらっていると記す。床柱や棚板にどんな木がどんな形のまま使われているか、1本ずつ見比べると設計の遊びが分かる。

宿の案内によると、大広間は昭和13年(1938年)の造作を保つように手を入れながら使い続けられ、平成17年(2005年)にも改修された。宿の印である波と千鳥の意匠が各所に入り、本物の松・竹・梅の木を使った飾りもあるという。天井を見上げたあと、欄間や襖まわりに波と千鳥を探してみたい。

外では、北西隅の煉瓦造の煙突が目を引く。木造の旅館に高さ15メートルの煉瓦の筒が添う姿は、3件の中でもこの棟にしかない輪郭である。

旅館金波楼大広間棟の見学条件

旅館金波楼大広間棟は本館の奥にあるため、通りからは見えにくい。80畳の大広間を見るには館内に入る必要がある。

大広間を見られるのは、基本的に宿泊客である。宿は宿泊客向けに館内案内を行っているので、大広間を見たい場合は予約の際か到着時に申し出るとよい。使用状況によっては見られないこともあり得るので、見られるかどうかと撮影の可否は宿に確認してほしい。

Q&A

Q旅館金波楼大広間棟はいつ建てられ、いつ登録されましたか?
A昭和13年(1938年)に建てられ、平成21年(2009年)4月28日に登録有形文化財に登録されました。
Q旅館金波楼大広間棟はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A「造形の規範となっているもの」として登録されました。網代組の舟底天井や、銘木を使った床・違棚・琵琶床をもつ80畳の大広間の意匠が評価されています。
Q旅館金波楼大広間棟の大広間は何畳ですか?
A2階にある80畳の座敷です。
Q旅館金波楼大広間棟の煙突はどのくらいの高さですか?
A北西隅に付く煉瓦造の煙突で、高さは15メートルあります。
Q旅館金波楼大広間棟の大広間は見学できますか?
A館内に入る必要があり、基本的には宿泊客が館内案内を頼む形になります。見られるかどうかは、事前に宿へ確認してください。

基本情報

名称旅館金波楼大広間棟(りょかんきんぱろうおおひろまとう)
所在地熊本県八代市日奈久上西町字西町又361他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成21年(2009年)4月28日登録
員数1棟
寸法木造2階建、瓦葺、建築面積356平方メートル、煙突付(煙突の高さ15メートル)
所有者不明(文化庁データベースに記載なし)
公開状況営業中の旅館。大広間の見学は宿泊客向けの館内案内による(要確認)

参考文献

旅館金波楼大広間棟(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007703
旅館金波楼大広間棟(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/154305
旅館金波楼本館、大広間棟、正門及び塀(国登録)(八代市)
https://www.city.yatsushiro.lg.jp/kiji003943/index.html

最終更新日: 2026.09.29