今林家住宅主屋とは
今林家住宅主屋は、京都府宮津市字万町にある明治25年(1892年)建築の町家の主屋で、平成14年(2002年)8月21日に登録有形文化財となった。木造2階建、瓦葺、建築面積は261平方メートルあり、今林家住宅の7棟のなかでもっとも大きい。万町の通りに面して建ち、屋敷の表の顔をつくっている。
年代には二つの記録がある。文化庁の国指定文化財等データベースは明治25年(1892年)とし、大正期(1912〜1925年)の増築を書き添える。宮津市の歴史紹介は主屋を明治22年(1889年)の建築としており、3年の開きがある。どちらを採るべきかを決める資料は、ここでは確認できていない。
登録の理由 ― 城下を代表する町家の表構え
登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、今林家住宅主屋を旧宮津城下を代表する町家建築のひとつに数える。評価の中心は、通りに向けた表の構えにある。
屋根は切妻造で、棟と平行な長い面を通りに向けた平入。通り側には半間幅の下屋庇を張り出す。正面は平格子と出格子で構え、玄関の戸口には引上式の大戸が残る。大戸は上に引き上げて開ける大きな板戸で、商家の出入口の古い形式を示す。
屋根の上にも見るべきものがある。棟の東寄りには越屋根を載せ、2階の西寄りは軒を低く抑えて袖卯建を付ける。越屋根は屋根の上にもう一段小さな屋根を架けた部分で、室内の煙や熱を逃がし、光を採る役目を持つ。
見どころ ― 二種類の格子と奥へ深まる座敷
今林家住宅主屋の正面でまず確かめたいのは、平格子と出格子の使い分けである。出格子は壁面から外へ張り出して組んだ格子、平格子は壁と同じ面に納めた格子で、ひとつの正面に両方が並ぶ。
袖卯建は2階の西端に付く小さな袖壁で、隣家との境の防火に役立ち、家の格を示す意味も持つとされる。軒を下げた2階の西側と、越屋根を載せた東側とでは、正面の高さの印象がかなり違う。
内部については、京都府国登録文化財所有者の会(京都登文会)の紹介が座敷に触れている。主屋には3室の座敷があり、いずれも長押を打ち回す。座敷飾りは奥の部屋ほど格の高い構えになるという。表から奥へ進むほど客を迎える空間の格が上がる造りで、糸問屋として栄えた家の規模がここからも読み取れる。
隣には西に旧店舗、東に米蔵が並ぶ。主屋の庇の高さは東の米蔵の庇と揃えられており、3棟の表側が一続きの町並みをつくっている。
見学方法
今林家住宅主屋は個人の住まいで、内部は公開されていない。京都登文会は屋敷の公開について「要問合」とし、公開の対象を旧店舗と旧生糸蔵に限っている(2026年9月25日確認)。座敷を見学できる機会は、この案内の範囲では見当たらない。
外観は万町の通りから見られる。格子と大戸、袖卯建の並ぶ正面は、通りの向かい側に立つと全体の構成がつかみやすい。少し離れて見上げれば、棟の東寄りに載る越屋根の形も分かる。
住まいとして使われている建物なので、撮影は公道からの外観にとどめ、玄関先には立ち入らないようにしたい。屋敷への行き方は今林家住宅のページにまとめてある。
Q&A
- 今林家住宅主屋はいつ建てられましたか?
- 文化庁のデータベースは明治25年(1892年)の建築とし、大正期(1912〜1925年)に増築されたと記します。宮津市の歴史紹介は明治22年(1889年)としており、資料によって3年の差があります。
- 今林家住宅主屋が登録有形文化財になったのはいつですか?
- 平成14年(2002年)8月21日に登録されました。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で、文化庁は旧宮津城下を代表する町家建築のひとつと評価しています。
- 今林家住宅主屋の内部は見学できますか?
- 個人の住まいのため内部は公開されていません。京都登文会の案内では、今林家住宅で公開の対象となるのは旧店舗と旧生糸蔵で、いずれも要問い合わせです(2026年9月25日確認)。
- 今林家住宅主屋の外観で注目すべき点は何ですか?
- 平格子と出格子を併用した正面、玄関に残る引上式の大戸、棟の東寄りに載る越屋根、軒を低くした2階西寄りの袖卯建です。いずれも万町の通りから見られます。
- 今林家住宅主屋の座敷はどのような造りですか?
- 京都登文会の紹介によれば、3室の座敷があり、どの部屋にも長押が打ち回されています。座敷飾りは奥の部屋ほど格の高い構えになっています。
基本情報
| 名称 | 今林家住宅主屋(いまばやしけじゅうたくしゅおく) |
|---|---|
| 所在地 | 京都府宮津市字万町604-1 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成14年(2002年)8月21日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造2階建、瓦葺、建築面積261平方メートル |
| 所有者 | 個人(文化庁データベースの所有者欄は空欄) |
| 公開状況 | 内部非公開(外観は通りから見学可) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 今林家住宅主屋(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002945
- 文化遺産オンライン 今林家住宅主屋
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/149555
- 第103回 今林家と糸問屋(宮津市)
- https://www.city.miyazu.kyoto.jp/site/citypro/5164.html
- 今林家住宅(京都府国登録文化財所有者の会)
- https://www.kyoto-tobunkai.org/catalogue/51.html
最終更新日: 2026.09.25